生理の悩みや車の運転…企業のズレた考えが見えるケースは他にも
また、花王が販売する生理用品ロリエの「kosei-fulプロジェクト」が炎上したのも記憶に新しいところです。これは「生理を“個性”ととらえれば、私たちはもっと生きやすくなる」というメッセージを込めたプロジェクトだといいますが、生理には個人差があり生理痛が重くて体を動かすことも辛い人も多数いる中でそれを個性という言葉に閉じ込めてしまうことには違和感があります。
これが生理ではなく、「あなたの片頭痛は個性です」「あなたの花粉症は個性です」と言われたら、片頭痛や花粉症で苦しむ人からは「個性じゃない!」と怒りの声が聞こえきそうなことは明らかです。
また、2019年には日本を代表する自動車メーカーであるトヨタが「女性ドライバーの皆様へ質問です。やっぱり、クルマの運転って苦手ですか?」という投稿をしたこともありました。わざわざ「女性ドライバー」と限定していること、そして「やっぱり」という言葉が組み合わされていたことで「女性ドライバーは自動車の運転がニガテ」という投稿者の思い込みが透けて見えます。
さらに選択肢は「とても苦手」「すこし苦手」「どちらでもない」「得意です!」の4つ。4つのうち2つは「苦手」を意味する選択肢であり、ここにも「女性って自動車運転がニガテでしょ?」という投稿者の思い込みが見え、多くの女性たちの反発を招いてしまいました。
トヨタは何らかの統計を取って女性ドライバーのほうが自動車の運転に苦手意識があるという結果を得ていたのかもしれませんが、こういった書き方が多くの女性の反発を招くことは予想外だったのでしょうか。
おわりに
SNSが発達して多くの人の声が世界中に届くようになりました。おかしいものにはおかしいと言える時代になったとも言えます。とはいえ、たくさんの学ぶべき事例があるにもかかわらず、こうした炎上騒ぎが次々と起こるのは残念です。物事に対する思い込みを捨て、性別や年齢に関係なく誰もが気持ち良く暮らせる世の中にしていきたいものです。
大塚 ちえ