この記事の読みどころ

  • 7-9月期の大企業の全産業景況感判断指数(BSI)及び全産業の設備投資計画に要注目です。
  • 前回、4-6月期のBSIは2014年4-6月期以来の低水準となりました。
  • 今回のBSIは、前回調査の7-9月期(来期見通し)+5.8を上回るかどうかがポイントです。

大企業の全産業景況感判断指数及び全産業の設備投資計画に注目

今週は、9月13日(火)8:50に、7-9月期四半期法人企業景気予測調査が発表されます。これは、企業の景況感に加え、設備投資の実績と実績見込み及び計画を調査したものです。

法人企業景気予測調査は、日銀の企業短期経済観測調査(短観)の内容を予測するものとして、注目されています。特に、マーケット参加者は、大企業の全産業景況感判断指数(以下、BSI)や、全産業の設備投資計画に注目しています。

2014年4-6月期以来の低水準となったBSI

前回、4-6月期のBSIは-7.9と2四半期連続でマイナスとなり、消費税率が8%に引き上げられた2014年4-6月期以来の低水準となりました。

この時期は、円高に加え、熊本地震があったことから、自動車やスマートフォン向け部品が落ち込み、大企業の製造業のBSIが-11.1となりました。また、非製造業も、日銀によるマイナス金利導入の影響から金融業や保険業が振るわず、大企業の非製造業のBSIは-6.3となりました。

また、先行きは7-9月期(来期見通し)が+5.8、10-12月期(来々期見通し)は+7.4になる予想です。なお、2016年度の設備投資は、+3.8%(前年度比)の予想となりました。

出所:SPEEDAをもとに筆者作成

今回のBSIは前回調査の7-9月期(来期見通し)+5.8を上回るか?

今回、7-9月期のBSIが、前回調査の7-9月期(来期見通し)+5.8を上回るかどうかに、マーケット参加者は注目しています。もし、上回る内容となった場合、TOPIXや日経平均などの各株式指数の支援材料となるでしょう。

【参考情報】法人企業景気予測調査の基礎知識

そもそも法人企業景気予測調査とは

法人企業景気予測調査は、財務省と内閣府が共同で実施しており、6月、9月、12月、3月の上旬から中旬までに公表されます。

法人企業統計調査と似た名称なので、紛らわしいと感じる人も多いと思いますが、この法人企業景気予測調査は、景況感に加え、設備投資の実績と実績見込み及び計画を調査するものです。

調査対象は、資本金・出資金・基金1000万円以上(電気・ガス・水道業及び金融業、保険業は資本金1億円以上)の法人となっています。

設備投資計画も発表されますが、ここでの設備投資の定義は、有形固定資産及びソフトウェア投資額を含み、土地購入額を除いたベースで、前年同期比増減率が表示されます。

法人企業景気予測調査の特徴は、年度初めの前段階である1-3月期の設備投資計画が、保守的な回答で出てくる傾向にあることです。特に、1-3月期の設備投資計画がマイナスとなった時は、悲観的に捉える必要がありません。

また、法人企業景気予測調査は、日銀の企業短期経済観測調査(短観)の内容を予測するものとして注目されています。

※元データの確認は、財務省のウェブサイトをご参照ください。

 

岡野 辰太郎