自営業の年金はどうなる?

自営業の人は国民年金に加入していると思いますが、20~60歳までの40年間の保険料を完納した場合の満額は、78万1,700円(月額6万円5,141円)となります。ただこれは2020年度の場合です。支給される時の物価や賃金を考慮して、毎年見直されています。

国民年金の第1号被保険者=自営業というイメージをもっている人が多いかもしれませんが、「平成29年 国民年金被保険者実態調査の概要」(2017年)によると、第1号被保険者の職業でもっとも多いのは「無職」で、全体の34.2%を占めています。次いで「パート・アルバイト(臨時)」(31.4%)です。「自営業主」は16.5%と意外と割合は少なくなっています。

これを踏まえて国民年金の平均受給額を確認してみます。

厚生労働省の「平成30年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」(2018年度)によると、

  • 厚生年金保険(第1号)の平均年金月額:14万3,761円
  • 国民年金の平均年金月額:5万5,708円

(※ここでの厚生年金保険の平均年金月額には、基礎年金月額も含まれます)
となっています。

さらに国民年金の平均年金月額について年齢別にみてみると、

国民年金の平均年金月額(受給権者数)

65~69歳:5万6,831円(795万9,326人)
70~74歳:5万6,429円(787万4,093人)
75~79歳:5万5,972円(668万9,076人)
80~84歳:5万6,336円(502万3,131人)
85~89歳:5万4,708円(326万7,638人)
90歳以上:4万7,803円(157万9,347人)
合計:5万5,708円(3,266万4,448人)

となっています。

60歳の挑戦

2019年6月の世帯収入は平均35万5,000円、生計費は平均25万6,000円となっています。9万9,000円の黒字です。貯蓄がある世帯は60.6%となっており、その額は「501万~1,000万円以下」がもっとも多くなっています。ここまでみると、「働く必要はないのでは?」と思ってしまいますが、60歳前後で自営業に挑戦する人もいるようです。

自営業は自由に働けて定年もありませんが、自分の仕事の能力がダイレクトに収入に反映され、年金も国民年金になりますから、それなりの貯えが必要になってきそうです。

参考

「平成30年度 中小企業・小規模事業者における経営者の参入に関する調査に係る委託事業調査報告書」三井UFJリサーチ&コンサルティングの
「60代の雇用・生活調査」JILPT
【調査概要】
アンケート調査
• 調査対象は60~69歳の5,000人(個人を対象)
• 住民基本台帳から層化二段系統抽出法により抽出、訪問留め置き法
• 調査時期は2019年7~8月。有効回答2,883人(有効回答率57.7%)
「平成30年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」厚生労働省
「平成29年 国民年金被保険者実態調査の概要」厚生労働省
「申告所得税標本調査結果」国税庁

【ご参考】貯蓄とは

総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。

尾藤 ちよ子