イラン、イスラエル、サウジとの関係は?

また、バイデンアメリカの誕生は、中東情勢を大きく変化させる。

トランプ政権はイラン核合意から一方的に離脱するだけでなく、イランへの経済制裁を発動し、今年1月のイラン革命防衛隊ソレイマニ司令官の殺害のように、中東情勢を大きく不安定化させた。

また、トランプ政権のイスラエル重視政策によって、パレスチナの地位や尊厳は大きく揺らぎ、最近ではイスラエルとの国交正常化を巡りアラブ諸国の間でも分断が生じている。

しかし、こういったものはバイデンアメリカによって大きく変化するだろう。まず、バイデン氏はイラン核合意へ戻る姿勢を示しており、イラン核合意の行方は別として、トランプ政権下での米・イランの緊張は改善される。米国のイラン核合意への回帰は、フランスやドイツも歓迎している。

また、バイデン政権下ではイスラエルに偏った政策は抜本的に見直されると思われ、今後は米国とイスラエルの関係に距離が生じる可能性がある。

さらに、バイデン政権がイランへ関与する姿勢に転換することを、イランと敵対するサウジアラビアは良く思わないことから、米国とサウジアラビアの間にも距離が生じる可能性がある。

いずれにせよ、バイデン政権ではオバマ政権時へ回帰し、トランプ政権4年間での政策を根本的に転換することになる。

和田 大樹