不妊治療の専門病院に通うものの…

こうして、不妊治療を始めたAさん夫婦。しかし、妊娠までの道のりは想像以上に険しいものでした。

「40歳ということもあり、すぐに体外受精に挑戦することに。何度も受精卵を移植しましたが、妊娠には至りませんでした。

残念な結果を目の当りにするたびに、『どうして?』ともどかしい気持ちが募っていく私たち。夫婦で話し合い、『夫婦の時間が少なさや食生活の乱れ、冷え性が原因なのでは』という考えに至りました。共働きで忙しく、食事や体質に気遣う時間が確保できていなかったのです」

これらの問題点を解決するため、Aさんは大好きだった仕事を辞める決意をしました。子作りに専念する道を選んだのです。

「私にとっての退職は、まさに断腸の思いでした。悩みに悩みましたが、『これで子どもを授かれるなら…』と決心。にもかかわらず、その後も妊娠することはできませんでした。

収入は減りましたが、治療費は膨らむ一方です。私が挑戦した体外受精は自費診療なので、保険が適用されません。採卵や胚移植、薬、注射などの費用はすべて自己負担となるのです。気が付けば、わが家は不妊治療に200万円も費やしていました」

退職して不妊治療に専念するAさんに立ちはだかる、金銭的な問題。「仕事を辞めたのに妊娠できない」という焦りも加わり、金銭的にも精神的にも辛い日々が続いたと言います。