「離婚」の動機ってどんなこと?
さいごに、夫婦が離婚に至る動機は、どんなものが多いのでしょうか。家庭裁判所への申立て人別にみていきます。(以下、すべて単位は「件」)
申立人が「妻」のケース(総数4万4040)
性格が合わない…1万7242
生活費を渡さない…1万2943
精神的に虐待する…1万1094
暴力を振るう…9039
異性関係…6800
浪費する…4298
家庭を捨てて省みない…3194
性的不調和…2893
家族親族と折り合いが悪い…2850
酒を飲み過ぎる…2774
病気…801
同居に応じない…748
……………その他…4630、不詳…2774
申立て人が「夫」のケース(総数 1万6502)
性格が合わない…9958
精神的に虐待する…3326
異性関係…2218
家族親族と折り合いが悪い…2162
浪費する…2001
性的不調和…1963
暴力を振るう…1496
同居に応じない…1468
家庭を捨てて省みない…910
生活費を渡さない…704
病気…664
酒を飲みすぎる…388
……………その他… 3340、不詳…696
【出典】2019年度司法統計「表19 婚姻関係事件数 申立ての動機別申立人別 全家庭裁判所」
お金に関わる動機としては、「生活費を渡さない」が妻からの申立てのケースで第2位に入っています。また、相手が「浪費する」と答えたのは、妻側からの申立てでは6位、夫側からの申立てでは5位となっています。
このデータだけでは、それぞれの夫婦の離婚動機を知ることはもちろんできません。ただ、金銭感覚の違いから「性格が合わない」と判断する人もいるでしょう。また、厳しい家計管理をして、相手に自由なお金を使わせないというようなケースは「精神的に虐待する」に分類されている可能性もあります。「異性関係」の場合であれば、交際相手との遊興費で家計を壊している、ということも多いに推測できます。
さいごに
いきおいにまかせて離婚するケースも多いでしょう。ただ、別れた後もそれぞれの生活は続きます。
特に専業主婦(夫)であった場合などは、財産分与、慰謝料、養育費など、お金に関わる事項には特に冷静に考えていく必要があるでしょう。同時に、就労などによって定期的な収入を確保していく準備も怠らないようにしたいものです。
【参考】
「離婚後の財産分与事件のうち認容・調停成立件数 支払額別婚姻期間別 全家庭裁判所」
「婚姻関係事件数 夫の年齢別妻の年齢別 全家庭裁判所」
「婚姻関係事件数 申立ての動機別申立人別 全家庭裁判所」
いずれも、裁判所「令和元年度 司法統計」より
池上 翠