株式市場の振り返り-雇用統計発表を控え、極めて静かな動きに終始

2016年9月2日(金)の東京株式市場は静かな動きとなりました。日経平均株価は前日比でほぼ変わらず、TOPIXは+0.3%の上昇で引けています。一方、新興株式市場の東証マザーズ総合指数も+0.1%上昇に止まりましたが、辛うじて5日続伸を達成しました。

日経平均株価は、前日比▲23円安で寄り付いた後、前場の後半には+19円高まで切り返しました。しかし、雇用統計発表を控えて様子見スタンスが強くなった後場は売りが優勢となり、一時▲78円安まで下落します。その後は再び買いが優勢となりましたが、大引けは▲1円安の16,925円で終わりました。前日とほぼ同じ値です。

東証1部で上昇したのは854銘柄、値下がり945銘柄、変わらず174銘柄でした。東証1部の出来高は16億4,463万株、売買代金は1兆8,673億円(概算)となっています。薄商いでしたが想定の範囲内の動きだったと言えます。

セクター動向と主要銘柄の動き-19業種が上昇、主力セクターの一部に売りが集まる

東証1部で上昇したのは19業種、下落したのは14業種でした。上昇率の上位には、銀行を除く金融関連セクター、ディフェンシブ・セクターが並びました。他方、下落率の大きかった業種には、精密機器、電気機器、機械などの主力セクターが目立ちました。これらは、週明けの円高進行を先読みした動きだったかもしれません。

個別銘柄では、関西電力(9503)などの電力株が大幅上昇となり、大和証券グループ本社(8601)などの証券株も値を上げました。また、電機セクターでは、東芝(6502)が年初来高値を更新し、ソニー(6758)も堅調に推移したようです。小売セクターでは、J.フロント リテイリング(3086)が値を飛ばし、高島屋(8233)や三越伊勢丹ホールディングス(3099)などの百貨店株が久々に大幅上昇となりました。一方、ファーストリティリング(9983)やファナック(6954)などの主力株が下落し、アルプス電気(6770)も一時▲6%超安となる急落でした。また、トヨタ自動車(7203)も小安く終わっています。

東証マザーズ市場の動き-材料不足で薄商いの中、気が付けば総合指数は5連騰に

東証マザーズ総合指数は、1日を通して狭い価格レンジでの動きとなりましたが、終わってみればわずかな上昇とはいえ、5連騰となりました。新興市場へ資金シフトが起きている訳ではありませんので、気が付いたらスルスル上昇していたという感じでしょうか。また、出来高は5,172万株、売買代金は673億円となり、いずれも前日より小幅増加となりましたが、低水準のままです。なお、騰落状況は、値上がり96銘柄、値下がりは110銘柄、変わらず16銘柄となりました。

個別銘柄では、そーせいグループ(4565)、ヘリオス(4593)、グリーンペプタイド(4594)などの医療バイオ関連銘柄が総じて安く終わりました。また、不安定な株価の動きが続いていたCYBERDYNE(7779)は+3%弱の上昇となり、3日続伸となりました。株価底打ちの期待が益々高まっています。なお、ミクシィ(2121)は値を上げて終わりました。静かな相場を反映するように、全体的には小動きに止まった銘柄が多く、新興市場らしいダイナミックな値動きを示したものは少なかったようです。

本日(9月5日)の注目点-8月雇用統計を受けて円安が進み、日本株には追い風

8月の雇用統計が発表されました。詳細は省略しますが、事前の市場予測を下回る結果となりました。しかし、その後の米国金融市場の動きは、株高・ドル高(円安)にシフトしています。特に、円安が進んでおり、週末は104円/ドルを超える水準となりました。これを受ける形で、日本株の先物も大幅上昇となっており、週明け5日(月)の東京市場も堅調な値動きが期待できます。細かい内容は吟味する必要がありそうですが、とりあえずは、日本株にはポジティブだったと判断してよいでしょう。

一方で、今回の雇用統計結果がガチガチに強い数字ではなかったため、20~21日に予定されている連邦公開市場委員会(FOMC)における利上げ判断に対して、一層の注目が集まるでしょう。また、同日には日銀金融政策決定会合も行われますので、これらを睨んで、まだ粗い値動きが続く可能性が高いと言えます。ただ、円高リスクが後退したことは確かなようですから、当面は自動車、電機、精密機器などの輸出関連業種に注目したいと思います。

判断が難しいのが新興市場です。5日続伸は予想外と言えば予想外でしたが、雇用統計発表を受けて、大型株市場への資金シフトが加速する可能性があります。そのため、新興市場が一段と買い上げられる可能性は低いかもしれません。

青山 諭志