しかし、この結論は、統計の数値を機械的に計算した結果である、ということをまず私たちは認識しなければなりません。

レポートによると65歳時点での金融資産の平均保有状況は、

  • 夫婦世帯…2252万円
  • 単身男性…1552万円
  • 単身女性…1506万円

レポート作成当時(2017年)の平均寿命は、

  • 男性…約81.1歳
  • 女性…約87.3歳

またレポートで示された、夫65歳以上かつ妻60歳以上の高齢無職世帯の平均毎月赤字額約5.5万円(金額の出所は総務省「家計調査」2017年)。

このことから、無職夫婦世帯の平均余命を20〜30年と仮定すると

余命20年の場合
5万5000円×12か月×20年=約1300万円
余命30年の場合
5万5000円×12か月×30年=約2000万円

という数値になった、というわけなんですね。さらにレポートはこう続きます。

「この金額は あくまで平均の不足額から導きだしたものであり、不足額は各々の収入・支出の状況やライフスタイル等によって大きく異なる。当然不足しない場合もありうる」

結局のところ、金融庁はあくまで平均値をたたき出した結果を伝えたのみであり、本当に必要な金額は、人それぞれ異なる…ということなんです。