少子化による継承者不足や物理的距離の問題から、お墓を巡る状況は一昔前とは大きく変わりました。
最近では一度お墓や納骨堂に納めた遺骨を他のお墓や納骨堂へ移す「改葬」の動きも活発化。厚生労働省の統計では、2009年度が72,050件だった改葬件数は2018年度に115,384件と、10年間で約1.6倍にまで増えているといいます。
なぜこんなに改葬の需要が伸びているのでしょうか。筆者の周囲の体験談や調査結果からご紹介します。
墓参りの負担を考えてお墓の引越しをする人は多い
仏事関連総合サービスを行う株式会社メモリアルアートの大野屋が、同社で改葬を行った人を対象に行った調査※によると、お墓の引越しを考えた理由としては「墓参りの身体的負担」および「子どもや孫に負担をかけたくない」が多く挙げられました。
また、お墓の移転に関して不安なことについては「費用」が多いという結果に。その気になるお墓の引越し費用ですが、2020年の改葬全体の平均額は275.2万円でした。
移転先墓地形態別に見た平均額は、一般墓地281.7万円、納骨堂169.8万円、永代供養墓145.2万円、樹木葬138.9万円。納骨堂以下は、通常は新しいお墓の取得費用が一般墓地と比べて安価であるため、移転費用全体も低いという結果になっていると考えられます。
※対象は2014年1月-2019年12月にメモリアルアートの大野屋でお墓の引っ越し(改葬)を行った顧客496人。