米マイクロンの設備投資額、21年度は90億ドル計画

NAND、後工程分野は増額

3D-NANDなどを生産するシンガポールの「Fab10」

 半導体メモリー大手の米マイクロンテクノロジーは、2021年度(21年8月期)設備投資金額として、90億ドルを計画する。微細化や多層化など世代交代に関わる投資が中心で、ウエハー投入能力の増強は行わずに需要増に対応していく考え。分野別では、NANDおよび後工程分野への投資を前年度比で増額する。

年度上期に投資集中

 同社は18年度以降、80億ドルを超える水準の設備投資を毎年実施しており、21年度も過去最高の19年度(91億ドル)に並ぶ規模となる見通し。ただ、同社では90億ドルという投資金額は新型コロナ流行前の従来計画に比べて、かなり低い水準にとどめたものであるとしており、慎重な投資姿勢であることを強調した。

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 工場建屋などの製造装置以外の投資は引き続き高い水準を見込んでいるほか、アプリケーション別ではDRAM向けが前年度比横ばいで推移する一方、NANDおよび組立・テストなどの後工程投資は前年度比で増額を見込んでいる。投資タイミングとしては年度上期に集中するとしている。

DRAMは1α世代、NANDはRG第2世代に資金充当

 DRAMは現在、1Znm世代の立ち上げを進めており、LPDDR5のモバイル製品やGDDR6Xなどのグラフィックス製品に適用が進んでいる。次世代の1αプロセスは21年度中の立ち上げを目指しており、DRAM投資は同世代が中心案件となるもよう。

 NANDはRG(Replacement Gate)方式の第1世代(128層)品の量産を20年度第3四半期から開始。RGベースの3D-NANDを適用したコンシューマーSSDの出荷を第4四半期から開始している。21年度はRG方式の第2世代品の立ち上げに資金を充当する考えだ。

 後工程分野では20年度に主力拠点の中国・西安、台湾、シンガポールはそれぞれ過去最高の生産量を達成。同社は近年、後工程生産を従来のアウトソース主体から自社生産を中心とした体制へと移行を進めており、後工程分野への重点投資を進めている。21年度もこの流れを踏襲して、自社製品比率を高めていくことになりそうだ。

DRAMは単価下落も増収

 直近の20年度第4四半期(6~8月)業績は、売上高が60.56億ドル(前四半期比11%増/前年同期比24%増)、営業利益が13.02億ドル(同33%増/同88%増)となり、売上高は従来ガイダンス(57.5億~62.5億ドル)のミッドレンジ付近に収まった。

 売上高の72%を占めたDRAMはASP(平均売価)が前四半期比で1桁台前半の下落となったものの、クラウドやPC、ゲーミング向けが好調で、前四半期比で2割を超える増収を記録した。

 21年度第1四半期(9~11月)は売上高として52億ドル±2億ドルを見込んでおり、ミッドレンジは前四半期比14%減となる見通し。メモリー市況はスマートフォン向けを中心に低調に推移しているほか、ファーウェイへの出荷停止措置も減収要因の1つとなっている。ファーウェイ向けは20年度第4四半期ベースで売上高の10%弱あり、少なくない影響度となっている。

NANDは供給過剰リスク

 業界全体の見方については、DRAMはビット需要ベースで20年(暦年)が10%台中盤の成長、21年は20%成長を想定する。21年初頭から市況が改善し、年後半はよりそれが顕在化してくるとした。NANDは20年が20%台中盤、21年が30%成長を予想。需給環境はバランスしていると見ているものの、業界全体の設備投資が緩和されない限り、供給過剰のリスクがつきまとうとして、警戒感を強めた。

電子デバイス産業新聞 副編集長 稲葉 雅巳

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稲葉 雅巳(電子デバイス産業新聞)

2005年(株)産業タイムズ社入社、以後、電子デバイス産業新聞(旧:半導体産業新聞)編集部記者として、半導体を中心にエレクトロニクス業界の取材活動を続ける。2015年から副編集長。