カメラに関しては、従来機種と同様に上位モデルにはトリプルカメラが搭載されているほか、新たにセンシング用途の「ToF(Time of Flight)」方式のセンサーが搭載されており、リアカメラ部は見た目上は「カメラ4つ」となる見通しだ。ToFセンサーを搭載したことで、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)などのアプリケーションが今後増えてくることが予想される。
5G対応については、全モデルがサブ6に対応しているほか、上位2機種についてはミリ波にも対応しており、高速かつ低遅延な無線通信を前面に押し出したかたちとなりそうだ。
なお、新機種の年内生産計画は今のところ、7000万~8000万台が見込まれており、例年に比べて強気な姿勢をとっている。5G対応によるユーザーへの訴求効果に加え、競合のファーウェイが米中対立の煽りを受けて販売が低迷していることも、アップルの強気な計画を後押しする材料となっている。
ミリ波対応でアンテナ部刷新
ミリ波対応によって、部品レベルで大きく変わりそうなのがAiPの搭載だ。スマホに搭載されるアンテナは従来、MID(Molded Interconnect Device)を使って筐体上部と下部に設置される。5Gのうち、サブ6領域では従来のアンテナ技術が踏襲されるが、28GHzや39GHzといったミリ波領域ではアンテナ技術が大きく変わる。
ミリ波は一度に多くのデータを流せる特徴を持つ一方、障害物に弱い弱点もあり、アンテナ技術の高度化はスマホなどの端末だけでなく、基地局などのインフラ分野でもカギを握る。具体的には、従来の形態は一線を画す、アレイ状のアンテナパッドを配置した「AiP」が必須となってくる。
AiPはスマホの筐体側面に配置するため、19×5mmのような特殊なパッケージ寸法を取っており、片面にアンテナパッドが形成され、もう一方にはパワーアンプ統合型のRFICとPMICが実装される。ミリ波はユーザーの「手」さえも障害物となってしまうため、スマホ1台に複数個のAiPが搭載される見込み。これにより、経済的な面からもミリ波対応スマホの登場に期待を寄せる声は大きい。