また、狭いエリアにも関わらず多くの人で賑わっていたことを考えると、1つのテロで多くの人が巻き込まれるのは十分に想像できた。エラワン廟の付近にはグランドハイアットやインターコンチネンタルなどの高級ホテルが立ち並び、BTS(高架鉄道)のスクンビット線とシーロム線が頭上を通っており、正にバンコクの繁華街にある。

そして、2019年8月にもバンコクで連続爆発事件が発生してタイ人2人が負傷、今年2月にはバンコクの中心部で男が銃を乱射する事件が発生しており、依然としてテロが発生する恐れがある。

タイでのビジネスで必須なテロへの警戒

スリや置き引きなどの一般犯罪と比べると、テロの被害に遭う確率が低いのは間違いないが、1回の事件の規模が非常に大きいので、一般犯罪で遭う以上に重い傷を負ってしまう可能性が高い。

しかも、近年では政治庁舎や大使館などターゲットを選定してテロを起こすのではなく、多くの人々で賑わう場所を意図的に狙う無差別テロも起こっており、エラワン廟のテロは正にそれに当たる。

タイが市場的に魅力的な国であることに変わりはない。しかし、持続可能な事業を行うためには、駐在員・現地従業員の命や安全を守らないと目的は達成できない。テロから身を守ることもその1つである。

和田 大樹