世界の株式市場は騰落まちまちだった1週間
先週(2016年8月15日‐19日)の世界の株式市場は、サマーラリーが世界的に続かず、騰落まちまちになりました。
先々週はほぼ全面高でしたが、先週は上海総合指数、ブラジルボベスパ指数などが続伸になりました。これに対して米国株は引き続き横ばいにとどまり、日本のTOPIXやドイツDAX指数は反落しました。
当面の最大の焦点は米国の利上げです。7月の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録が公表されましたが、利上げの時期を明確に示唆する内容ではありませんでした。一方、複数の州連銀総裁が早期利上げにつながる発言をしました。7月の米国のマクロ指標は、鉱工業生産や住宅着工が伸びる一方、物価は横ばいにとどまりました。これに対して市場では長期金利が上昇し、ドルが対円・対ユーロともに下落する興味深い反応になりました。
主要市場の動き
主要市場の特徴をもう少し見てみましょう。
米国株では、半導体関連株や利上げ期待の銀行株がしっかりでしたが、原油価格が上昇したにもかかわらずS&P500 を押し上げるには力不足でした。
中国については、金融・通信セクターが堅調なこと、好業績を出したテンセントが上昇した点に注目しています。
欧州では銀行株が下落したことが目に付きます。
日本では、円高が進む中でTOPIXは反落しました。しかし個別銘柄を見ると医薬品・不動産・運輸などのディフェンシブセクターが売られ、素材・自動車・商社などが買われています。好業績で株価が上昇した中国のテンセント同様に、好業績のLINEが上昇していることも注目です。
アウトルック:ドル相場とジャクソンホールが焦点に
今週(8月22日‐26日)はドル相場のゆくえ、週後半の米国のジャクソンホールでのイエレン米連邦準備制度理事会議長の講演がポイントになりそうです。
まず念頭に置くべきは夏休みを終えて投資家が市場に戻ってくる時期になったことです。先週、ややばらばらな動きを示した市場も今週は新たなトレンドやテーマを軸に展開していくでしょう。
その中で最も気になるのは、軟化しつつある米ドル相場です。米国の利上げの動きも重要です。注目材料は米国4‐6月期GDP改定値とイエレン氏の講演ですが、ともに週後半になります。そのため、週前半は日本の金融政策の手がかりや欧州の金融株の行方に焦点があたりそうです。その意味で、日本の7月のCPIや黒田日銀総裁のフィンテックフォーラムでの発言が気になります。こうした材料次第では先週静かに下落した米ドルに更なる動きが出そうです。
ドル相場が軟調に推移する場合、様々な影響が考えられます。その中で新興国では利下げ余地の拡大によって景気回復期待が高まり株価が上昇するシナリオに注目しておきたいです。一方、日欧ではドル安が輸出競争力を低下させ株価にマイナスの影響が想定されます。サマーラリーの最終コーナーで再び全面高になるのか、新興国中心の上昇相場になるのか、見極める週になるでしょう。
LIMO編集部