2020年8月5日に行なわれた、株式会社ディー・エヌ・エー2021年3月期第1四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社ディー・エヌ・エー 代表取締役社長兼CEO 守安功 氏

業績サマリー

守安功氏:2021年3月期第1四半期の決算の説明をしたいと思います。まず業績のサマリーです。売上収益300億円、営業利益126億円となりました。また、Non-GAAP営業利益は25億円となっています。

新型コロナウイルスによって、スポーツ事業に関してはかなりマイナスの影響があったのですが、ゲーム事業やライブストリーミング事業が順調に推移したことによって、Non-GAAPの営業利益で黒字を確保しています。

2021年3月期の進捗状況

2ページは、今回の決算において1番重要な我々が伝えたいメッセージを込めたところになります。昨年度の第3四半期に関しては、ゲーム事業の収益性が非常に悪くなったことで大きな減損が発生し、かつ新規事業の赤字額も膨らんだということで、非常に厳しい状況でした。

そのため、スライドの右側に書いてある重点領域3つを設定し、短期的な重点領域を定めて取り組んできたところ、半年間ですべてにおいて非常に大きな成果が出たと思っています。ゲーム事業についてはヒットタイトルも出てきており、既存のタイトルも順調に推移しています。コスト的な業務効率化も含めて非常に順調ですので、収益基盤が強化されてきていることはよく感じています。

新規事業領域における成長投資方針の最適化については、赤字のサービス、事業が連結から外れたということも当然あるのですが、それに加えて、ライブストリーミング事業でトップラインの急激な成長も含めて一気に黒字化したということが非常に大きな影響を及ぼしています。

固定費の削減については、各事業でかなり入念にコスト削減を行なっているのですが、コーポレートや共通部門など、いわゆる全社共通費的なところもかなり筋肉質になってきており、前年同期と比べた場合に5億円以上の圧縮ができています。

これら3つの要素によって、スポーツ事業を除いたNon-GAAP営業利益で、昨年度の第3四半期を底に、かなり明確なV字回復が実現できています。一昨年度のレベルと比べても、かなり上回る水準になっています。

この第1四半期に何か特別な、いわゆる一過性のあるスパイクを打ったわけではありません。7月のゲーム事業やライブストリーミング事業が非常に順調ですので、コロナウイルスの影響による巣ごもり需要をかなり受けていると感じています。

ゲーム事業とライブストリーミング事業に関しては、ウィズコロナの時代にもっとグロースさせ、きっちりとした事業基盤をつくっていきます。そして、どのタイミングになるかわからないのですが、アフターコロナのタイミングにおいては、この構造にスポーツ事業も戻ってきますので、そこに上乗せできるイメージをもっています。

セグメント変更

オートモーティブ事業に関して、主力のいくつかの事業が連結から外れたということもあり、今回からセグメントの変更をしています。新規事業・その他のセグメントの中に包含している、これまでソーシャルライブと呼んでいた「Pococha」「SHOWROOM」などのソーシャルライブサービスを、セグメント名としてグローバル標準で見ても一般的だろうということで、ライブストリーミングという呼び名としました。

セグメント別業績(IFRS)

セグメント別の業績になります。ゲーム事業に関しては、第4四半期からは減っているのですが、前年同期比で見た場合には増収増益となっています。また、ライブストリーミング事業は、昨年度も順調に堅調に成長してきていたのですが、この第1四半期はトップラインが飛躍的に成長し、それに伴って赤字から一気に黒転しています。

このライブストリーミング事業は、メインに「Pococha」と「SHOWROOM」を含むのですが、ライブストリーミング事業の第1四半期の売上収益に占める「Pococha」の割合は70パーセントくらいであり、大部分が「Pococha」によるものとなっています。

新規事業・その他のところも、赤字の事業がいくつか連結から外れたところも含め、ギュッと赤字幅が圧縮されています。

ゲーム事業:四半期業績

個別の事業に入ります。まずゲーム事業です。例年、第4四半期にいくつか大きなタイトルがあるため、第1四半期は弱含むところがあります。今回も、第4四半期にグロスの大きなタイトルがいくつかあり、第4四半期から第1四半期にかけて減少しましたが、国内も海外も含めて、その他の多くの運営タイトルが我々の当初の想定を超えて堅調に推移しました。

また、「スラムダンク」が繁体字版を5月の下旬にリリースしました。実質1ヶ月くらいの貢献ですが、予想を超えるヒットになったということで、グロスのユーザーの消費額がYoYでプラスになりました。

コスト的にもかなり筋肉質に進めていますので、セグメント利益もYoYでプラスになっています。第4四半期からすると若干減っていますが、かなり順調になったと思っています。

ゲーム事業

その「スラムダンク」についてです。東映アニメーションとの協業タイトルということで、昨年の12月に中国においてリリースしました。期待どおりのヒットタイトルとなり、海外展開を進めています。

最初に台湾、香港、マカオの繁体字圏にリリースしたのですが、繁体字圏の人工は大体3,000万人ぐらいです。中国大陸は14億人ぐらいですので、ユーザーの母数は全然違うのですが、繁体字圏において中国版をリリースしてから30日、60日を換算した場合、中国と同等の売上になるということで、繁体字圏においては大ヒットと呼べるタイトルになったと思います。

韓国でも先月末からリリースし、順調に推移しています。今後この地域を拡大しながらしっかり運営していこうということで、「スラムダンク」はヒットタイトルと呼んでよい水準になってきたと思います。

我々のゲーム事業に関する戦略として3つの強みを活かすことで、IPホルダーとの強固なリレーションシップを活用していきます。日本や中国それぞれでゲームをつくって、母国だけをターゲットに出すのではなく、グローバルなユーザーに向けてパブリッシングしていきます。

「スラムダンク」については、中国だけでなくグローバルに成功した最初のタイトルになったと思います。パイプラインは充実していますので、今期の末から来期にかけてさらにヒットタイトルを上積んでいきたいと考えています。

スポーツ事業

続いてスポーツ事業です。コロナウイルスの影響もあってなかなか開幕ができず、ファンのみなさまを非常にお待たせしてしまったのですが、6月19日にようやくシーズンが開幕し、上限が5,000名ではあるのですが、7月17日からスタジアムに足を運んでいただけるようになりました。

一方で、スタジアムを満席にして楽しんでもらうことは、まだ今の状況では難しいですので、この状況に応じた新しい、とくにオンラインを活用した楽しみ方、価値の提供を積極的に続けていきたいと思っています。

新規事業領域

続いて新規事業領域です。これも半年前から3つの考え方に分けて、いくつかのサービスをプロットしています。まず1つ目が、成長に応じた規律ある投資を我々主体で行なっていくということです。「Pococha」や「kencom」が該当します。

そして2つ目に、柔軟な資本政策をとったり、パートナーとのサービスを伸ばすために、よい座組みを組んでいます。配車アプリのモブをMOTというかたちで新しい会社に統合したり、「SHOWROOM」をこのセグメントの中に入れたりしています。

このセグメントに関して、我々はこれまで自分たちで投資をして赤字を掘りながら事業をつくってきたのですが、我々が投資してきた以上の事業の価値をきっちり感じていただき、その上でまた新たな資金調達等につながってきています。我々としては、連結からは外れていますが、しっかりとした価値を伴って、よりよいパートナーと一緒になって進めていきます。さらに事業を成長させて、この事業価値を高めていくサポートをしていきたいと考えています。

ライブストリーミング事業①

今回から新しいセグメントとして切り出したライブストリーミング事業についてです。これまではソーシャルライブという呼び方で呼んでいたのですが、我々が注力する領域として考え方を変えるわけではありません。4象限に分けていますが、ライブかアーカイブかというと当然ライブです。

もう一方は、いわゆるコンテンツを配信するタイプのストリーミングと、一緒にライバーとリスナーがコミュニケーションしていくものに分かれるのですが、我々が注力しているのはあくまで「コミュニケーション×ライブ」です。

我々が従来、ソーシャルライブと呼んでいたものをライブストリーミング事業に変えてはいるのですが、そこに注力していくことを考えています。ここはコロナウイルスの影響をプラスに受けており、とくにリアルの場、いわゆる対面でのコミュニケーションがなかなか難しい環境になっています。オンラインでコミュニケーションを図れることが、かなりユーザーにも受け入れられていますので、これまでも順調に成長してきていたのですが、このしっかりとしたニーズに支えられて、グンと加速しているような手ごたえを感じています。

ライブストリーミング事業②

ライブストリーミング事業に関して、どういう強みがあるのかということについてです。我々はモバイルゲーム、ソーシャルゲームを長年取り扱ってきておりますが、ゲーム事業とライブ事業がユーザーに提供する価値は当然異ります。

しかし、ソーシャルゲームで培ってきた運営のノウハウがライブストリーミング事業にも活かせていると感じています。とくに、ソーシャルゲームを末永く使っていただくために、毎日遊んでもらうことが必要なのですが、ライブストリーミング事業においても、長期的に楽しんで遊んでいただく仕組みを考えながら入れており、そこが非常にユーザーにも好評いただいていると感じています。

また、コミュニティサービスという特徴がありますので、熱量を維持したり居心地のよいコミュニティをつくってたりという、運営の仕方も相通じるものがあると思っています。

また、ライブストリーミングのサービスにおいても、イベントが非常に重要な役割を占めるわけですが、いろいろなイベントを企画することで、いろいろなタイプのユーザーに楽しんでいただき、より多くのユーザーに楽しんでいただけるような多種多様なイベントを考えています。それを導入できているということで、この運営面に関してはゲームで培ったノウハウが活きていると思っています。

また、コミュニケーションサービスという特徴がありますので、いろいろなトラブルが起こらないように健全な場を維持し続けることが必要です。こちらに関しても、我々はモバゲーというコミュニティサービスを十何年も行なっていますので、そこで培ってきたノウハウや、そこのカスタムサポートの体制がしっかりと活かしています。この健全な場を維持するというのは非常に重要なことですので、健全なサービスを維持しながら、しっかりと投資も行なって、この領域を伸ばしていきたいと考えています。私からの説明は以上になります。ありがとうございました。

記事提供: