中小企業支援策として人気のある「ものづくり補助金」ですが、満を持してグローバル展開型が出てきました。どのような制度なのか見ていきましょう。
ものづくり補助金とは?
ものづくり補助金の正式名称は、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業」といいます。ものづくり補助金とは、革新的なサービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善などを行う中小企業を支援するための補助金です。設備投資や自社オリジナルのソフトウェア開発に使えます。
一般型の場合、補助金額は100万円~1,000万円、補助率は中小企業で2分の1、 小規模企業で3分の2ですが、コロナ特別枠の場合、企業規模に関わらず最大で補助率が4分の3となります。
グローバル展開型とは
ものづくり補助金の4次締め切りでは、グローバル展開型が登場しました。グローバル展開型は当初より計画はありましたが、新型コロナの影響で海外展開どころではない社会情勢を考慮し、募集を控えていた経緯があります。
グローバル展開型とは、中小企業者等が海外事業の拡大・強化を目的とした「革新的な製品・サービス開発」または「生産プロセス・サービス提供方法の改善」に必要な設備・システム投資などを支援するものです。
対象としては、①海外直接投資、②海外市場開拓、③インバウンド市場開拓、④海外事業者との共同事業、のいずれかに合った事業である必要があります。各類型の要件は次の通りです。
①海外直接投資
- 国内事業と海外事業の両方を一体的に強化し、グローバルな製品・サービスの開発・提供体制を構築することで、国内拠点の生産性を高めるための事業であること。
- 補助対象経費の2分の1以上が海外支店の補助対象経費となること、または海外子会社の事業活動に対する外注費、または貸与する機械装置・システム構築費に充てられること。
- 国内事業所においても、単価50万円(税抜き)以上の海外事業と一体的な機械装置等を設備投資すること。
- 応募申請時に海外子会社等の事業概要・財務諸表・株主構成が分かる資料、実績報告時に海外子会社等との委託(貸与)契約書とその事業完了報告書を追加提出すること。
②海外市場開拓
- 国内に補助事業実施場所があり、製品等の販売先の2分の1以上が海外顧客となり、計画期間中の補助事業の売上累計額が補助額を上回る事業計画があること。
- 応募時に具体的な想定顧客が分かる海外市場調査報告書、実績報告時に想定顧客による試作品等の性能評価報告書を追加提出すること。
③インバウンド市場開拓
- 国内に補助事業実施場所があり、サービス等の販売先の2分の1以上が訪日外国人となり、計画期間中の補助事業の売上累計額が補助額を上回る事業計画を有していること。
- 応募申請時に具体的な想定顧客が分かるインバウンド市場調査報告書、実績報告時にプロトタイプの仮説検証の報告書を追加提出すること。
④海外事業者との共同事業
- 国内に補助事業実施場所があり、外国法人と行う共同研究・共同事業開発に伴う設備投資であり、成果物の権利が補助事業者に帰属すること(外国法人の経費は、補助対象外)
- 応募申請時に共同研究契約書または業務提携契約書(検討中の案を含む)、実績報告時に当該契約の進捗が分かる成果報告書を追加提出すること。
グローバル展開型の補助金額は1,000万円~3,000万円、補助率は中小企業者で2分の1、小規模事業者で3分の2となります。
補助対象経費は、機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費、海外旅費となります。海外旅費は一般型にはない経費です。
なお、一般型のコロナ特別枠にある広告宣伝費や販売促進費はグローバル展開型にはありません。
おわりに
グローバル展開型ものづくり補助金は、海外展開を考えている中小企業には大変良い制度です。活用を検討している方は顧問税理士や中小企業診断士などに相談してみてはいかがでしょうか。
中野 裕哲