半導体受託製造(ファンドリー)世界最大手の台湾TSMCが事業拡大に向け、台湾内で工場用地の取得を相次いで進めている。台南エリアで既存の工場建屋取得を2件立て続けに行ったほか、新竹では2nm(N2)量産のための新工場用地を取得したことが明らかになった。
台南エリアで工場建屋を取得
同社は8月20日にE-TON solar、8月24日にHannstar Displayから、工場建屋をそれぞれ取得すると発表。取得後の活用方法などは明らかになっていないが、台南では最先端のN5の量産を行う最新鋭の「Fab18」が稼働を開始。次世代のN4ならびにN3についても、台南エリアでの生産を想定しており、当面は最先端プロセスの量産は同エリアが担うことになる見通し。取得建屋は能力拡張などに用いられる可能性もありそうだ。
同社は8月24~26日の間、毎年開催している技術シンポジウムを初めてバーチャルイベントとして開催。そのなかで今後の技術ロードマップについて、N5の拡張版となるN4は22年に、メジャーアップデートとなるN3は22年後半の量産開始予定であると言及している。また、すでに量産中のN5の拡張版にあたる「N5P」も21年から量産を開始する計画だ。
N4はN5と互換性を保ちながら、マスクレイヤー数を削減するなど、製造プロセスの簡素化を図っていることが特徴だ。なお、N3のトランジスタ構造は現行の最先端プロセスと変わらず、FinFETを維持する。そのため、GAA(Gate All Around)の採用はN2以降となる見通し。
2nmの量産拠点も確保
また、レガシープロセスについても、新たに「N12e」と呼ばれる技術世代を発表。すでに量産中の「12FFC」の拡張版として、AIアプリケーションやIoTデバイスなどの主要ターゲットと位置づける。
また、一部報道によれば、同シンポジウム中にN2の量産ファブを新竹に設けることも披露された。N10/N7の量産は台中、N5/N3の量産は台南で展開されてきたが、N2の量産は本社のある新竹で行われる見通しだ。
電子デバイス産業新聞 副編集長 稲葉 雅巳