ジーニー、コロナ禍でも売上総利益25%増を予定 最先端テクノロジーで新たな価値創造に注力

2020年8月30日にログミーFinance主催で行なわれた、第14回 個人投資家向けIRセミナー Zoom ウェビナーの第3部・株式会社ジーニーの講演の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社ジーニー 代表取締役社長 工藤智昭 氏\n元ファンドマネージャー/元ディーラー 坂本慎太郎(Bコミ) 氏\nフリーアナウンサー 八木ひとみ 氏

経営陣

工藤智昭氏(以下、工藤):まずはじめに経営陣をご紹介します。私はリクルートで4年間新規事業を担当し、その後2010年にジーニーを設立しています。大学院ではコンピューターサイエンスの学科に在籍し、テクノロジーを自分でコーディングしたり、検索エンジンを作ったりなどの研究をしていました。起業してからは、ソフトバンクアカデミアに入ってソフトバンク流の経営を学んだりしながら、会社を大きくしてきています。

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現在のマネジメント体制として特徴的なのは、7名の取締役のうち5名が社外役員で構成されていることです。事業のリスクを積極的に取っていく一方で、社外役員を多数占めるような経営体制にすることで、適切で強固なガバナンスを構築しているというのが特徴です。

社名の由来

ジーニーという社名の由来ですが、これは願いを叶える魔法の精の名前から付けています。最先端の技術やテクノロジーを使って新しい価値を創造し、お客さまの課題解決や世界を変えるようなテクノロジーを生み出す会社になりたいということで、この社名を付けています。また、「genius」とも掛けており、非常に天才的なエンジニアがたくさんいて、彼らが作ったソフトウェアで世界を変えていこうという意味もあります。

ジーニーの志とミッション

ジーニーの創業の志ですが、「日本から世界的なテクノロジー企業をつくる」ということを目指しています。私は、Googleがすごく大きくなっていったところを研究しながら見ていたのですが、今もやはりアメリカのテクノロジー企業が世界を席巻しています。日本からもテクノロジー企業を生み出して、世界的な企業にしていくというのがジーニーの志です。

ジーニーのミッションは、「テクノロジーで新しい価値を創造しクライアントの成功を共に創る」ことです。最先端のテクノロジーを活用し、のちほどご紹介するような企業の生産性を上げるソフトウェアを多数提供しています。

事業領域

当社の事業領域についてです。広く言うと、マーケティングに関わるさまざまなソフトウェアを提供しているのがジーニーです。創業の事業はアド・プラットフォーム事業と言い、インターネット広告をインターネット上で売買するプラットフォームを提供していますが、こちらの1分野で日本一のシェアを持っています。

そのようなアド・プラットフォーム事業を海外展開し、日本で作ったプロダクトを東南アジアを中心に展開している海外事業も行なっています。また、昨今デジタル・トランスフォーメーションやSaaSという言葉が世の中を賑わせていますが、我々もそのような企業の生産性やマーケティング活動を効率化するソフトウェアを提供しています。

売上高の推移

売上の推移についてです。前期は新型コロナウイルスにより最後は若干停滞しましたが、今期は過去最高の売上高を計画しています。2014年にはソフトバンクグループと資本業務提携し、2017年にはおかげさまで東証マザーズに上場しています。その後は事業でインシデントがあったのですが、それもクリアしつつあり、今また再び大きく成長していくフェーズに入ってきています。

事業別売上高構成

事業部別の売上高の構成についてです。弊社の売上のほとんどは創業来のアド・プラットフォーム事業となっています。海外事業やマーケティングソリューション事業のSaaSのビジネスで事業ポートフォリオを分散しており、そちらの売上も順調に比率が伸びています。

当社の強み

ジーニーの強みは3つあります。その3つの競争優位性により強みが実現できていると思っています。強みの1つ目はテクノロジーです。多様な競争力のあるソフトウェアやプロダクトを作り出す技術力の高いエンジニアを集めており、海外のテクノロジー企業の生み出すものとそう変わらないレベルのプロダクトを生み出すことができるのが当社の強みです。

強みの2つ目はソフトバンクグループです。さまざまなソフトバンクグループの企業と連携し、日本やアジアでシナジーを創出しています。また、強みの3つ目は事業開発力です。設立3年目から海外展開し、海外人員は100名近くになっていますが、そのような新規事業やテクノロジー事業を開発していく力が非常に強い会社です。このような強みを生かし、新しい領域に継続的にチャレンジして、事業領域や市場シェアを拡大し続けています。

当社の強み:テクノロジー

テクノロジーの部分について詳細にお話しします。当社の半数近くが開発や事業開発の人員となっており、日々新しい機能や画期的な機能を開発し続けています。例えば、広告を瞬時に表示するために1秒間に数十万リクエストを処理するような技術を開発したり、直近ではAIを開発して広告配信に応用したりしています。

当社の強み:ソフトバンクのグループ会社

2点目の強みのソフトバンクグループについてご紹介します。先ほどもお伝えしましたが、2014年の資本業務提携以降、強固な業務協業体制を構築しており、引き続き30パーセント強をソフトバンク株式会社が保有しています。経営陣を含むと非常に安定した株主構成になっており、長期的な目線での経営推進が可能となっているのが強みです。ソフトバンクには国内、海外ともに幅広く事業の協力をしていただいており、今後とも中長期の視点で事業の強化・拡大を一緒に図っていく関係です。

インターネット広告の市場規模

当社は、広く言うとインターネット広告の市場に属するところで事業を行なっています。毎年毎年、市場規模は大きくなっており、2023年には3兆円に迫る規模になると予測されています。すでにテレビの市場を超えており、これからも広告市場の中で大きくなっていきますし、すでに3割を超える規模にまでなってきています。

インターネット広告とは

具体的にどのようなものかと言うと、例えばご覧のようにインターネット広告は表示されています。いろいろなサイトに表示されるディスプレイ広告やSNSの中で表示される広告、ユーザーが検索したものに合わせて表示されるリスティング広告など、いろいろなタイプの広告があります。

アド・プラットフォーム事業

アド・プラットフォーム事業はインターネット広告市場において、SSP(サプライサイドプラットフォーム)というインターネットメディアをマネタイズするプラットフォームを提供しています。また、DSP(デマンドサイドプラットフォーム)という広告主のキャンペーンやメッセージを効率的に伝える仕組みを提供しています。

我々の仕組みについてご説明します。ユーザーがインターネットメディアにアクセスした瞬間に、どのような広告を表示するのかWebサイトの裏側でオークションが行なわれ、もっとも高い値付けをしてユーザーのマッチ度が高かった広告主のキャンペーンが表示されるような仕組みになっています。

オークションから広告が表示されるまでの処理が0.1秒ですべて行なわれています。広告主にとっては最適な広告が表示され、ユーザーにとってはもっともマッチ度が高い広告が表示され、インターネットメディアには高い広告収益が得られるような仕組みを提供しています。

昨今、インターネット広告の世界でも個人情報への配慮が求められていますが、当社では個人情報に配慮し、匿名化された情報が活用されています。これらの広告表示の処理のために、当社は毎月1,000億回近いリクエストをさばいており、このような技術が活用されていろいろなサイト上でインターネット広告が表示されています。

アド・プラットフォーム事業の顧客のメディア(例)

例えばどのようなサイトに表示されているかと言うと、我々のお取引先でもあります、ご覧のようなサイトで活用されています。ほかにも富士通やDeNAなど、有名企業で我々の仕組みがプラットフォームとして活用されており、インターネット広告を日々表示しています。

SSPサービスでトップシェア

このインターネットメディアのマネタイズの分野で、我々は上場前から日本一のシェアを持ち続けています。SSPの分野で1位ではあるのですが、DSPの分野についても今期はシェアを2倍にすることを目標としており、今のところ順調に進んでいます。

新規事業:DOOH(デジタル屋外広告)

また、デジタル屋外広告のDOOHの分野に参入しています。DOOHとは「Digital Out of Home」の略で、いわゆる交通広告やここに表示されているような屋外広告、ビルボードと言われるもののような屋外で接する広告メディアの総称です。

これまでインターネット広告はPCやスマートフォンだけにとどまってきたのですが、今はこのようなリアルな場所もインターネットにつながってきており、広告主がパソコンの広告を買うように、リアルな広告も買えるような仕組みが整ってきています。

坂本慎太郎氏(以下、坂本):このあたりで質問を挟ませていただきたいのですが、DOOHに関しては、どちらかと言うとインターネットの広告主が買うというお話かと思います。御社のここの成長はかなり見られているということなのですが、もともとインターネットのお客さまとお付き合いがあったからそのまま誘導するような仕組みになったのか、それとも代理店とのお付き合いが深まったのか、どちらなのでしょうか?

工藤:ここのソフトウェアの資産は既存の考え方をそのまま流用できるものが活用できます。また、代理店や屋外広告に広告を掲載したいという広告主は、既存の営業チャネルがほぼ活用できています。一方で、メディアは新規で「0」から開拓していますが、非常に好調に拡大できています。

坂本:しかも最近は増えましたよね。例えば「Pococha」などのインターネット系の配信サービスもある程度になるとジャックできますみたいな取り組みがあったり、そのような要望がけっこうあるのかと思っています。また、人通りが少し減るということで、新型コロナウイルスの影響は屋外広告では若干出てくるかと思っています。

細かい話をすると、僕ら株式の評論の業界でも分析は進めているのですが、定期の存在ってけっこう大きいです。定期券を持って会社に通っていると、例えば途中駅の渋谷で「週末に遊びに行こう」などとなるわけです。今までは交通費がかからなかったのが、「500円玉が1枚、2枚無くなっちゃうよね」というお話があったのですが、ここの部分の単価は現状は変わらないのですか? 例えば、広告主が減りそう、見る人が減りそう、ということで単価が下がっていくなどということはあるのでしょうか?

工藤:そのような意味で言うと、DOOHの分野全体としてはやはり新型コロナウイルスの影響は非常に受けていると思っています。我々がアドテクノロジーの創業をしたときもリーマンショックのあとの不況だったのですが、逆にこのような仕組みを使ってもっと広告主を増やしたいという屋外広告の事業者が増えていますよね。

今までだと、おそらくそのような新しい取り組みをしなくても一定の広告主は入ってくるのですが、今はやはり「もっと新しい広告の仕組みを取り入れて、新しい広告主を呼び込もう」という動きが活発化していますので、メディアサイドの需要は非常に増えています。おっしゃるとおり広告主の単価については、一時的には落ちているのではないかと思います。

坂本:そのあたりもうまく取り込んで成長していけそうだということで、既存メディアは厳しいのではないかと思っています。

デジタル・トランスフォーメーション

坂本:続いて、デジタル・トランスフォーメーションもおそらく個人投資家はかなり興味がある内容だと思いますので、ぜひお願いします。

工藤:はい。続いて、当社のもう1つの新規事業の重要領域であるマーケティングソリューション事業について説明します。デジタル・トランスフォーメーションというのは、ICTによるビジネスモデルの変革です。デジタル・トランスフォーメーションによって人手がかかっていた作業が省略化されたり、データを活用して企業の生産性が向上したり、生活の質が向上するようなものをデジタル・トランスフォーメーションと言います。

我々はとくに企業の売上を管理するようなソフトウェアや、営業を管理するようなソフトウェア、お問い合わせを効率化するようなソフトウェアやマーケティングを自動化するソフトウェアを提供しています。

今回、新型コロナウイルスは非常に社会に大きな影響を与えたのですが、一方でデジタル・トランスフォーメーションは促進した側面も持っていますので、我々の事業としてもコロナ前と変わらず、いろいろなKPIが進捗し始めています。

デジタル・トランスフォーメーションの市場規模

坂本:どちらかと言うと御社のDXの得意分野はどのようなところなのかについてや、もう少し具体的に「このあたりで勝負していきたい」というのがいろいろな方面であると思うのですが、そのいくつかの取り組みを教えていただければイメージが湧くかと思います。いかがでしょうか?

工藤:市場規模はご覧のようなかたちでものすごい伸びており、本当に伝統的な企業がITを取り入れて会社の生産性を効率化しようというのが日本全国で起こっている状況だと思っています。私も直接営業に行ったりするのですが、いろいろな全国の企業のニーズが高まっているのを感じます。

マーケティングソリューション事業(SaaSビジネス)

工藤:先ほどご紹介しましたが、顧客企業の顧客管理のためのCRMなど、営業活動・商談活動を管理するためのSFAの機能を持つ「ちきゅう」というソフトウェアをクラウドサービスとして提供しています。

また、マーケティング活動を自動化したり、見込み顧客を自動的に掘り起こしたりするようなマーケティングオートメーションの「MAJIN」と、Webサイトにおいてお問い合わせ等を効率化したり、FAQを実現するような「chamo」を提供しています。

上場直後に2社は買収していますので、ブランドは統合できていないのですが、今このようなSaaSのソフトウェアを3つほど持って事業を拡大しています。これらのSaaSのビジネスは、今までのパッケージのビジネスと違って、売り切りで提供していたものでなくて、Web上で機能やプロダクトやサービスを提供して、毎月ストック型で費用を頂戴するビジネスとなっています。

SaaSビジネスと顧客実績

顧客については、幅広くご活用いただいています。ベンチャー企業から老舗の企業まで幅広く活用していただいていますが、我々の強みとしては最先端のテクノロジーを非常にわかりやすいかたちで企業に提供するというのを、それぞれのプロダクトに共通するコンセプトとして持って提供しています。

坂本:思いのほかいろいろな派生があると思います。どちらかと言うとビジネスを効率化するツールが多いところがドメインなのですか?

工藤:広く言えば営業もマーケティングの一部ではあるのですが、マーケティング関係のソフトウェアを企業に提供する事業ドメインに我々はフォーカスしてソフトウェアを提供し続けています。

APACに広がる海外事業

工藤:ジーニーは創業3年目からアジアに展開しており、シンガポール、ベトナム、インドネシア、タイで事業展開をしています。日系企業というよりは現地のローカルの企業とどんどん取引を増やし、なんとか黒字化までしています。

インドネシアではTelkomSelという、日本でいうドコモのような会社と事業提携し、彼らのデータを使った広告ビジネスを展開しています。海外でも企業への投資や買収を行なっていますが、東南アジアやアジアでも我々の業界の中で知名度が上がってきており、グローバルガバナンスをうまく発出できている状況です。

コロナ禍での挑戦

工藤:今期については、コロナ禍でもしっかり会社を成長させていくというのを全社の方針として掲げています。3つポイントがあり、YonYで25パーセントの売上総利益の成長をさせるということ、第2四半期から営業利益で黒字化すること、通期で2億円弱の営利黒字化をすることを会社として掲げています。

2021年3月期 通期業績予想

こちらが2021年3月期の通期の業績予想となっています。売上が155億8,000万円で売上総利益が27億8,000万円、営業利益が1億8,000万円で、EBITDAが5億4,000万円を掲げています。新型コロナウイルスの前の予想では44パーセント成長を目指していたのですが、新型コロナウイルスの影響で、広告のビジネスで売上総利益が約4億円の影響を受け、それを差し引きして25.5パーセント成長を目指しています。

2021年3月期 四半期毎業績見込み

工藤:こちらのスライドが四半期ごと業績の数字です。広告業界の繁忙期は10月から3月にかけてであり、通常は3月に一番の繁忙期が来ますので、我々は下期偏重型の予算となっています。今期に関しては、第2四半期から営業利益の黒字化を図り、第4四半期で上場来最高額の売上総利益9億円を目指す計画を掲げています。

八木ひとみ氏(以下、八木):これは新型コロナウイルスなどは関係なく、業界的に、基本的に業績は下期堅調であるということですね。

新型コロナウイルスの売上総利益への影響

工藤:こちらのスライドは新型コロナウイルスの売上総利益への影響について示しています。第1四半期で8,000万円、第2四半期で4,000万円、そして第3四半期と第4四半期で1億4,000万円ずつ、通期で4億2,000万円ほどの影響があります。

ポートフォリオマネジメント:黒字事業と投資事業

工藤:こちらのスライドが当社の事業別の営業利益とその内訳となっています。去年は創業から取り組んでいるSSP事業等の営業利益が約5億円出ていたのですが、今期は7億円を目指す計画となっています。

先ほどご紹介したDOOHやSaaSは、YonYで200パーセントと非常に高い成長率を持っているのですが、まだまだ投資が必要な事業となっており、5億円ほどの赤字を許容する投資計画としています。

八木:でも、海外はプラスに変わっていますよね。これはどういうことでしょうか?

工藤:海外事業については、去年に不採算だった取り組みをいくつか閉じるなどして黒字化まで持っていきました。

坂本:DSPも黒字になっているのですが、このあたりの要因を教えてください。

工藤:DSPと海外事業は創業3年目から5年目で始めている事業ですので、そろそろしっかり黒字を出していこうということで、前期に事業のポートフォリオマネジメントを強化し、「どの事業がいつまでに黒字化するか」というのを会社として決めました。

DSPについては、新型コロナウイルスの影響がない業種ですので、ECや電子書籍の業種をたくさん拡大していく計画を立てていましたが、それが功を奏し、前期比で2倍に近いプラスを遂げています。

坂本:プラスだということですごいよね。

八木:そうですね。逆に巣ごもり需要の方に、ということですからね。

今後の事業領域の拡大

工藤:事業領域についてです。マーケティングのいろいろなソフトウェアが企業で使われていると思います。我々はいろいろな事業を行なっているのですが、そのようなマーケティングのいろいろなソフトウェアを、買収や新規事業でどんどん拡大して増やしていくというのを10年の計画として掲げています。

既存の事業であるアド・プラットフォーム事業の利益を使って成長事業に投資し、成長事業がきっちり黒字化するまでの期限を決めて事業管理をしています。その後、成長事業が黒字化したら、また新しい事業や大型の事業に取り組んでいく……というかたちで、マーケティングのいろいろな領域に拡大していくことをジーニーは目指しています。

株価の推移

工藤:最後に株価の推移です。上場の時は2,000円くらいでした。その後、事業の問題などをいろいろ抱えて一旦落ちてしまったのですが、再び事業の追い上げを開始してからは、会社が多角化して成長できるフェーズにきています。そして今期は、上場来最高の売上総利益を創出し、IRを強化して株価を上昇させていきたいと思っています。

本日のポイント

工藤:本日のポイントですが、ジーニーはソフトバンクグループに属する日本発のマーケティングテクノロジー企業です。アド・プラットフォーム事業を中心に、DOOHやSaaSのビジネスを展開しており、マーケティングの総合的なソフトウェアの企業に成長しています。

上場直後はいろいろな問題があったのですが、ほぼ回収が終わり、今は多角化が成功しつつあります。コロナ禍でも売上総利益が25パーセント成長し、赤字の事業に5億円投資していますが、1億8,000万円の営利黒字化ができるくらいまで戻ってきています。今は事業を進捗させながら株価の上昇を目指していきたいと思っています。

質疑応答:ソフトバンクとの協業について

坂本:質問の方に移りたいと思います。ソフトバンクとの協業について、10ページに株主構成が載っています。ソフトバンクとの協業のクロスボーダーサービスの影響拡大については、どちらかというとメインの部分はインバウンドの話になると思います。ポイントとしては少しズレているのですが、他の部分の協業がありましたらそちらについて教えてください。PRにもなるかと思いますし、僕も興味がありますので。

工藤:おっしゃるとおりで、不幸にもインバウンドのビジネスがかなり縮小しており、まったく訪日客が来ない状況になっているため、一旦数値が上がらない状況になっているのですが、一応来年のオリンピックを見越して体制を継続し、引き続き拡大していこうと考えています。

またソフトバンクとは、先ほどのDOOHの事業で、ソフトバンクが持つタクシー会社での広告の連携や、アドオンビジネスもいくつか取り組みをしたり、またスマートシティの構想など、広告面で連携が進んでいくということもあります。

坂本:それは確かにいろいろ可能性がありそうですね。

質疑応答:企業の広告費について

坂本:御社の広告はけっこう深くビジネスをされていると思います。これは投資家のイメージと僕の興味でもあるのですが、企業の広告費についてお伺いしたいと思います。

各社の第1四半期の決算を見ると、広告費が減少により利益を計上したということがけっこう出ています。期初にもある程度の広告費を計上している企業というのは、その減少分を下期にある程度乗せてくるのか、それとも下期はもうすでに入り始めているのかですが、そのあたりがもし入ってくれば、御社の事業も下期偏重といえども明るいものがあるのかと思っています。営業等で企業と接していると思いますので、わかる範囲でそのあたりのニュアンスを教えていただけたらと思います。

工藤:いわゆる広告市場の中でも、認知などのブランディング広告と、資料請求や予約を密に求める販促の広告の2パターンがあるのですが、ブランド広告について、4月から6月の第1四半期は30パーセント以上縮小したと思って見ています。7月以降は一部回復してきていますが、まだ本格的に回復してきていない状況だと思います。

一方で、費用対効果を非常に求める販促の広告の方は、7月以降も変わらず需要がありました。また、その業態によってはむしろ積み増ししているところもあり、ECや電子書籍など、インターネット関連のビジネスを行なっている企業はむしろ積み増ししています。リアルのお店を営業しているところの広告は引き続きシュリンクし、この7月から9月で少しずつ回復を見せている状況です。

八木:リアル店舗は少しずつ回復を見せているというお話でしたが、年を通してはどのようになっているのですか?

工藤:年を通しては、広告予算は利益の調整に使われる性質もありますが、このままいけば徐々に回復するとは思います。

坂本:すべて突っ込まれることはないけれど、ある程度今よりは明るい、ということですね。

八木:私もテレビで働いているため、広告の行方は大変気になるところです。

坂本:番組の継続に関わりますからね。

質疑応答:アド・プラットフォーム事業について

坂本:14ページのアド・プラットフォーム事業について、僕はこのような仕事もしていますし投資家ですので、ある程度は理解している方かとは思うのですが、個人投資家でもわからない方はいるのではないかと思います。

もう少し簡単にわかりやすく説明すると、15ページのようにネットの広告枠があると思います。ユーザーの個人情報やある程度の属性をもともと担保していて、ネットの広告枠をクリックして開くまでに属性のマッチングや入札が行なわれて表示されるものだと理解しています。御社の強みは、ここにある本当の意味での「高性能のサーバーで処理ができます」というところだと思うのですが、イメージはそれで合っていますでしょうか?

工藤:おっしゃるとおりです。

坂本:ブラウザを開くまでに入札が行なわれているというのは、おそらくみなさまわけがわからないと思います。昔のような、バナー広告を掲げて「1回クリックいくらです」というものではなく、今はそのような世界に変わって、それが主なものとなっているのですよね。その変化を上手く商機と捉えて土台としているのが御社だと思います。ここの部分のイメージが湧かない方が多いと思いますが、僕の説明でわかっていただけたらと思います。

ここのサーバーの部分もそうだと思うのですが、他のエンジンの部分についても、どこをがんばっていますよ、ということについて少しお伺いできますでしょうか? もちろんサーバーについてのお話でもよいです。

工藤:ユーザーと広告のマッチングのアルゴリズムを日々強化しており、マシンラーニングという人工知能の技術を使っていますが、その性能がどんどん高まっています。また、我々のこの技術を提供しているメディアや広告主はどんどん増えており、このエコシステム自体が非常に強みになっていると思います。

さらに、今それをDOOHにも広げています。リアルな屋外看板などは、1週間から2週間前に買っておかなければ広告表示ができなかったのですが、前日に変えたり、1週間から1ヶ月の単位ではなく、1日から1時間の小ロットの単位でも広告を買えるようになりました。

坂本:それはすごいですよね。結局この技術がベースになったり、DOOHが伸びるということですよね。ようやく繋がりました。

八木:その短い時間でも利用はあるものなのですか?

工藤:逆に小型の小規模な店舗でも買いやすくなっています。今までは1ヶ月単位などでしか買えないブランド広告も多かったのですが、例えば、渋谷の街中の店舗の広告も出せるような世界が来るのではないかと思います。

坂本:それはいいですね。写真を撮って「広告を出ました」とだけ「Twitter」などに上げるだけでもPRになりますよね。

八木:広告事業もどんどん変わっているのですね。

工藤:今まで屋外看板では何人見ているかはわからなかったのですが、ユーザーデータを活用して、どのような属性の人が何人くらい見ているかというのも広告主にレポートできるようになってきています。

Bコマ:それはすごいですね。時間によって属性が変わってきたりもしますので面白いと思います。

八木:確かに通勤の人が多い時間帯もありますよね。

坂本:若い女性が多い時間であれば、それをカテゴライズして……面白いですね。

八木:知らないことがたくさん分かり、すごく楽しいです。

坂本:勉強になります。

質疑応答:エンジニアの採用について

坂本:次は「Twitter」でいただいた質問に移ります。

八木:人材確保の点でエンジニアの採用に関して質問をいただいてます。私も、友人で会社を経営している人から、「優秀なエンジニアを採用するのがすごく難しくなってきている」「取り合いになってきている」という話をよく聞くのですが、このあたりの採用に関して何か工夫されているところや、今後どうしていきたいかというのはあるのでしょうか?

工藤:最初の10年間でジーニーはとにかくエンジニアに投資し続け、エンジニアを働きやすくすることで優秀なエンジニアの実力が企業の業績につながる仕組みをかなりつくったため、今は非常にエンジニアの方から評価される会社になってきています。何か工夫したというよりは、その積み重ねかと思っています。

また、事業ドメインのDOOHを含めて、「テクノロジーで世界を変えていくんだ!」ということからブレずに取り組んでいるため、エンジニアの方から非常にご応募いただけるようになっています。

八木:採用に関してはとくに苦労はしていないということでしょうか?

工藤:大変ですが、他社よりはなんとかなっているのではないかとは思います。

質疑応答:海外事業に東南アジアやインドを選んだ理由について

坂本:「海外事業として、東南アジア、インドを選んだ理由を教えてください」という質問が来ています。

工藤:私も直接自社プロダクトをいろいろな国に売りに行っているのですが、需要があり、我々のプロダクトで企業の業績を上げたり、きちんと成果が認められる国を選んでいます。東南アジアはこれからも非常に伸びると言われており、デジタルの市場も日本を超えるくらいになっていく時代が来ますので、今のうちから行こうという意味でも、東南アジアやインドを中心に取り組んでいます。

八木:タイに行くとモノレールとかで駅にデジタルサイネージなども映したりしていますよね。

工藤:ビルの中にもありますし、駅の近くや空港の近くにもあります。

八木:新しい建物は日本よりもぜんぜん進んでいるのではないかと思います。

工藤:古い遺産がないため、最初から設置されて取り組まれる場合も多いですね。

質疑応答:アジアでのシェアについて

八木:コメントで、「アジアナンバー1というのは大体どのあたりまで来ていると考えていますか」という質問がありますが、いかがでしょうか?

工藤:我々は世界的なテクノロジー企業をつくることを3つのフェーズに分けているのですが、今はフェーズ2に入っています。次の10年で、会社全体としてもアジアの中でも、もう1段知名度の高い、アジアでの市場シェア1位と言われる事業を3つつくろうと思っています。今は道半ばというくらいです。

質疑応答:SaaS事業の規模感について

坂本:「今年中にSaaS事業で単独上場ができる規模感を目指すとありますが、現状、SaaS事業の売上の開示というあたりと、今後の成長を含めた部分を教えていただけたらと思います」というご質問です。

工藤:今期も2倍くらいの成長をオーガニックグロースで掲げており、SaaS事業で単月1億円を超える事業になっていくような規模感です。

坂本:確かにそれなら上場しますね。それぐらいの達成度ならいけるかと思います。

工藤:かつ、来期も2倍以上に成長できるように今期はハンドリングしていこうとがんばっています。

坂本:確かにスライドの21ページを見ると、いろいろな会社が使えそうなシステムというところがあるため、そこが強みだと思います。特殊で尖ったものではなく、汎用的なもののイメージがありますが、そうすると営業力がいると思います。実際に使っている会社が多いということは、それなりの機能を備えているからですよね。

工藤:このようなど真ん中の領域は、営業力も技術力も非常に競争環境が激しいですが、営業やサポート面で競合他社とそこまで差が出ないように、もっと我々が価値を出せるようになんとかできていると思います。

坂本:SaaSはいろいろな会社を見ていますが、たくさん使ってくれる会社があれば、その会社にアクセスできるということが非常に大きいです。当然担当があると思うのですが、シナジーというか、そのあたりがある程度ビジネスの入り口になってくる部分はありますよね。

工藤:我々はマーケティング系のソフトウェアを持っていますので、データや共同プロセスでお客さまの中で繋がってたりはします。買収したあと強化したり、またそれを売り出すまでに既存の顧客チャネルを使うことができますので、やはり立ち上げはどんどん早くなっています。また、今期にDSPとチャットを連動させる計画があるのですが、そのプロダクトのシナジーもどんどん出していき、徐々に強くなっている感覚はあります。

質疑応答:今後強化していきたい営業先について

坂本:「Twitter」から、「資生堂から『2023年の広告媒体費90パーセントをデジタルにシフトする』というリリースがありました。今後強化していきたい営業先があれば教えてください」という質問が来ています。

工藤:引き続き費用対効果に非常にシビアな広告主を対象に、我々の広告等を出していくというのが方針ではあります。資生堂などのブランドの広告主は、ナショナルブランドや総合代理店などが強かったりするのですが、僕らはデジタルで広告を使う使わないを判断してくれるような広告主にとって最良のプロダクトや最良のサービスを目指しています。資生堂とは少し違うかと思います。

坂本:費用対効果はどうなるのかなど、シビアな広告主の方に挑むのはけっこう大変ではないかと思いますが、でもそこにあえて挑戦するというのはポイントだと思います。広告費も限られてくるところもありますし、小さい会社も出せますからね。そちらにチャレンジされるということは本当に難易度が高いと思います。

工藤:シビアな世界だとは思います。

八木:相手を納得させる数字を出さなければならないですからね。

坂本:そこは伸びる力に自信がないと厳しいところだと思います。僕も今後そのあたりのことを追っていきたいと思います。

記事提供:ログミーファイナンス

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