2020年7月31日に行なわれた、株式会社デンソー2021年3月期第1四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社デンソー 経営役員 松井靖 氏

2021年3月期 第1四半期 決算のポイント

松井靖氏:松井です。本日は2021年3月期、第1四半期決算説明会にご参加いただきましてありがとうございます。それでは2021年3月期、第1四半期の決算を説明します。

ポイントは2点になります。まず1点目に当期の実績です。売上は新型コロナウイルス感染症の影響に伴って車両販売が減少したことから減収。利益は売上の減少による操業度差損から営業損失となりました。2点目は2019年度決算発表において未定としていた年間の業績予想ですが、売上を4兆5,400億円、営業利益は1,000億円とします。

2021年3月期 第1四半期 連結決算

それでは2ページ目に移りまして、連結決算の概要について順を追って説明します。売上収益は7,651億円、前年比マイナス5,590億円、マイナス42.2パーセントの減収となりました。これは新型コロナウイルス感染症の影響で世界的に市場が減速したことによるものです。営業利益は、操業度の落ち込みから前年比1,758億円減少して1,066億円の営業損失となりました。当期利益は、前年比1,472億円減少の901億円の損失となりました。

2021年3月期 第1四半期 売上収益(得意先別)

次に売上収益について得意先別、製品別にご説明します。この説明は為替の影響を除いた現地通貨ベースです。得意先別ですが、新型コロナウイルスの影響によりすべての得意先向けで減収となりました。減少幅が幾分小さかったトヨタ向けとホンダ向けは中国での販売が好調だったことが寄与しています。

2021年3月期 第1四半期 売上収益(製品別)

製品別についても得意先別同様、新型コロナウイルスの影響によりすべての事業で減収となっています。サーマルとパワートレインが若干落ち幅が大きいのですが、これはトヨタ以外の依存度と言いますか、販売が大きいことによります。

2021年3月期 第1四半期 営業利益増減要因(前年比)

次に営業利益の増減要因をご説明します。一番左に前年同期の営業利益691億円を出発点として、右方向に増減を表しています。主な点のみご説明しますと、経費を中心とした固定費等には抑制しつつ、増加分も生産性向上などでカバーをしています。また年間利益の確保に向けて緊急の止血施策や体質変革に着手しています。

その他は製品構成が良化していることおよび広瀬工場の合流などによります。新型コロナウイルスの影響を除く営業利益は前年を上回りましたが、先に述べた新型コロナウイルスの影響で操業度が落ち込み、今期の営業利益はマイナスとなりました。なお170億円は会計処理上の問題、計算の結果でして、一時的な利益です。これ1年のうちに解消する見込みですので、これは実力値ではありません。

2021年3月期 第1四半期 所在地別セグメント情報(前年比)

次に売上収益と営業利益の状況を地域別に説明します。説明は為替換算の増減を除いた現地通貨ベースです。全地域においてコロナの影響で売上が大きく減少、止血、体質変革の追加策を講じましたが、日本、北米、欧州において営業利益がマイナスとなりました。

アジアについては、地域全体では減収減益となっているものの、中国の操業が早期に回復し、中国の売上が前年を1割ほど上回っていることもあり営業利益を確保しました。

2021年3月期 通期予想

年間の予想については、売上収益は4兆5,400億円、営業利益を1,000億円とします。この予想ですが、車両生産の前提を前年比で上期はだいたい30パーセントくらいの減少、下期は5パーセントから10パーセントの減少、年間で20パーセント減としています。この前提のもとで当社売上は前年の12パーセント減となる見込みです。

この12パーセントの水準には広瀬製作所の統合あるいは昨年既に第4四半期で中国が大きく新型コロナウイルスの影響で減損に入っていることも入っています。なので、今回の売上の水準というのは、通常運転時と比較するとだいたい2割ぐらい落ちた状況ということになります。営業利益の増減は次のページで説明をします。

2021年3月期 通期予想 営業利益増減要因(前年比)

新型コロナウイルスの影響を除く営業利益は、経費を中心とした固定費等には抑制しつつ、増加分も生産性向上などで打ち返したうえで、拡販による操業度を利益の増加に貢献させています。コロナの影響は操業度減は大きいものの、止血や体質改善を積み上げて年間では1,000億円の黒字を確保します。

設備投資・償却費・研究開発費の推移

次に設備投資になりますが、年間では3,950億円、前年比マイナス415億円とします。当期の実績は1,154億円と進捗が29.6パーセントやや早いですが、事業環境を踏まえ、規律を持った投資を実行していきます。若干、抑制目で考えています。

研究開発費は年間で5,000億円を維持したいと思います。当期の実績は1,226億円で、進捗率は24.5パーセントと順調な推移を示しています。開発費は当社の競争力の源泉ですので、効率化で出力を上げながら年間5,000億円を維持していきたいと考えています。

株主還元

配当については、中間はこのような事業環境においても長期安定的な配当方針を堅持することとし70円とします。年間については今後不透明感があるため現時点では未定とします。

以上で2021年3月期第1四半期決算のご説明を終了します。ありがとうございました。

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