2020年8月12日に行なわれた、日本マクドナルドホールディングス株式会社2020年12月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:日本マクドナルドホールディングス株式会社 代表取締役副社長兼COO 下平篤雄 氏\n日本マクドナルドホールディングス株式会社 執行役員 IR統括責任者 中澤啓二氏

2020年 第2四半期実績ハイライト

下平篤雄氏(以下、下平):下平です。本日はお忙しい中、オンライン決算発表会にご参加いただきまして、誠にありがとうございます。それでは、これより弊社の2020年第2四半期の業績結果、および取り組みについてご説明します。

上半期の業績はご覧のような結果となりました。既存店売上高は、前年同期比プラス5.7%、2015年の第4四半期から19四半期連続のプラスを継続しています。全店売上高は2,820億円、前年同期比プラス6.1%、売上高は1,392億円、前年同期比プラス2.0%となりました。営業利益は147億円、経常利益は145億円、純利益は91億円です。

新型コロナウイルスが流行する中、弊社の店舗を利用したお客さまにこの場をお借りして、篤く御礼申し上げます。お客さまのお声をいただきながら、お客さまのご要望に真摯に向き合っていきたいと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。業績の詳細については、後ほど財務担当の中澤よりご報告します。

2018年~2020年の取り組み

こちらは、2018年から2020年の弊社の取り組みを表した図です。私共のビジネスは、まず、安全安心や環境などのお客さまからのご信頼をいただくための取り組み、そして優秀な人材の確保と教育といったピープル強化、最後に、便利で最高のQSC&Vをお客さまに提供することによる最高の店舗体験の3つをお客さまに提供することが基盤となっています。

私たちは、この基盤の強化に取り組み、継続的に大きな投資を行なってきました。そしてこの基盤をベースに、メニュー、バリュー、ファミリーといったコアビジネス、デリバリー、デジタル、未来型店舗体験からなる成長を加速させる取り組み、そして新規出店とリビルドによる店舗展開の3本の柱を立て、これらを実践しています。

これらはすべて大切であり、継続して取り組んでいきますが、本日はこの中でも私どもがとくに重要であると考えるQSC&V、そして今年フォーカスしている未来型店舗体験、デリバリー、ピープル、店舗展開についてご説明します。

新型コロナウイルスの影響

まず初めに、新型コロナウイルスの影響についてご説明します。各月の月次売上報告でもご説明しましたが、弊社においても新型コロナウイルスによってさまざまな部分に影響がでてきています。

とくに顕著な変化がお客さまのご利用方法の変化です。弊社の店舗は、全体の半数強にドライブスルー機能を併設していますが、売上高に占めるドライブスルーを含んでのお持ち帰り比率は、店内ご利用よりも上回っていました。しかし、3月頃からの「Stay home」の呼びかけや全国的な学校休校、4月の緊急事態宣言の発出とそれを受けて実施した店内客席のご利用中止の影響で、お持ち帰りやドライブスルーのご利用が大幅に伸びました。

5月下旬に、緊急事態宣言の解除を受けて段階的に客席のご利用を再開しましたが、ソーシャルディスタンスを確保するために客席を間引いたかたちでのご利用とし、現在に至っています。

また、ウィズコロナ、新しい生活様式として、外出を控える動きは続いており、店内ご利用はまだコロナ禍の前には戻っていない状況となっています。今後もお客さまや従業員をはじめ、すべてのみなさまの安全と健康を最優先し、政府、各自治体の方針や経済環境、お客さまの声を注視し、必要な対応を取っていきます。

QSCの強化とビジネス基盤

QSC(クオリティ、サービス、クリンリネス)は、マクドナルドにとって最も重要なことです。私どもは創業以来継続してQSCにこだわり、その向上に努めてきました。そして、その実現のために優秀な人材を採用して育成すること、お客さまのお声をうかがい、真摯にその対応を行なうことに注力してきました。その結果、お客さまのお声を直接うかがうアプリ「KODO」でのお客さま満足度は着実に改善し続けており、ビジネスの成長に大きく貢献し続けています。

現在は、新型コロナウイルスの影響もあり、お客さまのご要望もどんどん変化し、ますます多様化しています。その中でお客さまのご期待を超える店舗体験を提供するためにも、これからもQSCの向上に努めていきます。

バリュー

美味しいお食事をお得感、納得感のある価格でご提供すること、これはお客さまがマクドナルドをご利用くださる大きな理由の1つです。私どもはこれまでもバリューを大切にしており、例えば昨年の消費増税時には、お客さまのわかりやすさとともに、お得感、納得感を重視し、店内ご利用とお持ち帰りの価格を統一し、全体の加重平均では値上げとならないよう調整を行ないました。

新型コロナウイルスの流行がいまだ収束していない現在、このバリューは今後さらに重要になると考えています。弊社の調査によると、新型コロナウイルスの影響による景気後退や将来の収入減少への不安を意識した節約、倹約志向が高まってきています。お客さまのご期待にお応えすべく、今後もマクドナルドのバリューに磨きをかけていきます。

未来型店舗体験

続いて、今年フォーカスしている4つの取り組みの進捗をご報告します。まず、未来型店舗体験です。モバイルオーダーを1月に全国展開し、3月に公式アプリと統合しました。5月には、より利便性を向上するために、モバイルオーダーでご注文いただいた商品をドライブスルーに並ばずに車に乗ったまま駐車場でお受け取りいただけるサービス「パーク&ゴー」を開始しました。モバイルオーダーは、新型コロナ禍で接触を避けたいとお考えのお客さまのニーズに合致しており、順調にご利用が増加しています。

デリバリー

続いてデリバリーです。デリバリーの導入店舗は順調に増えています。6月時点の導入店舗数は、マクドナルドのクルーがお届けする「Mc Delivery」が478店舗、「Uber Eats」が900店舗で、一部店舗が重複していますので合計は1074店舗です。前年同期比で倍増となりました。

ピープル

次はピープルです。今年は新型コロナウイルスの影響を考慮し、例年実施しています採用キャンペーンやクルー体験会の実施は控えました。しかし、毎年学生の卒業でクルーの入れ替えが発生するため、例年より早く昨年のうちから準備を進めた結果、計画どおりの採用を行なうことができました。

採用したクルーのトレーニングでは、昨年導入しましたデジタルツールを活用しています。また、コロナ禍でマネージャー向けのハンバーガー大学の集合研修ができないことから、すみやかにオンラインでの授業を開発し、継続したトレーニングを進めています。

店舗への投資

4つの取り組みの最後は店舗開発です。今期は新型コロナウイルスの影響で開店が遅れた店舗もあり、開店が16店舗、閉店が17店舗となりました。通期では10店舗以上の純増を目指す方針に変更はありません。以上、弊社の取り組みについてご説明しました。続いて、財務の詳細について中澤よりご説明します。

2020年12月期 上期 業績概要

中澤啓二氏:財務担当の中澤と申します。2020年上期業績概要、2020年通期業績見通しについてご説明します。まず初めに、2020年上期の業績概要についてご説明します。全体の売上高は、前年同期比6.1%増加の2,820億円、売上高は前年同期比2%増加の1,392億円、売上総利益は前年同期比3億円増加の279億円、売上総利益率は20.1%となりました。

また、一般管理販売費は前年同期比2億円増加の131億円、売上比は9.5%、営業利益は前年同期比1億円、0.7%増益の147億円、営業利益率は10.6%です。経常利益は前年同期比7億円、4.7%減少の145億円、経常利益率は10.4%、当期純利益は前年同期比4億円、4.9%減少の91億円となりました。

2020年上期営業利益 変動要因分析(対前年同期比)

次に、2019年上期から2020年上期の営業利益、変動要因についてご説明します。全体の売上高が163億円、6.1%増加し、約35億円の営業利益増となりました。また、店舗と人材の投資を強化し、約マイナス26億円です。

新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、お客さまと従業員の安全を最優先する方針をもとに、店内飲食の自粛や店舗営業時間の短縮を行なうとともに、店舗のクリンリネスならびに安全衛生管理を徹底しました。政府、自治体の要請を受けてお客さまのライフスタイルも変化し、店内飲食は減少しましたが、お客さまのニーズに対応して、テイクアウト、ドライブスルー、デリバリー、モバイルオーダーなど、便利で快適なサービスを拡大するために、店舗オペレーションを強化して直営店舗の労務費、経費が増加し、営業利益にマイナス26億円の影響がありました。

また、マーケティング活動の強化により、マイナス11億円となりました。一般管理販売費の中の広告宣伝、販売促進費は34億円で、前年同期比で約1億円減少しました。FCコストの広告宣伝費は79億円で、前年同期比12億円増加し、広告宣伝費、販売促進費の合計は、予定どおり前年同期比11億円増加しました。その他はプラス3億円です。以上が営業利益の主な変動要因です。

2020年通期 業績見通し

続いて、2020年通期の業績見通しについてご説明します。年初見通しからの変更はありません。全体の売上高は5,710億円、前年比プラス4パーセント、営業利益は290億円、前年比プラス3.5パーセント、経常利益は285億円、前年比プラス3.7パーセント、当期純利益は182億円、前年比プラス7.8パーセントとなります。以上、財務報告でした。

下平:中澤よりご説明申したとおり、今回は業績予想の修正は行ないません。しかし、新型コロナウイルスの影響は今後も続いていくと考えています。さまざまな景気に関する調査を拝見しても、6月には一時明るい兆しが見え始めていましたが、7月に入ってからは、再び新型コロナウイルスの感染が拡大傾向にあることを受け、厳しい見方をされる専門家もおられます。

当社においても、学校の休校が長引いたことによる夏休みの短縮など、下期へのマイナス要因も見受けられます。弊社の調査によると、お客さまのニーズも新型コロナの流行前後で大きく変化しています。ウィズコロナ、ニューノーマルと言われる中で、新しいお客さまのライフスタイルとニーズの変化に対して、柔軟に対応し、常にお客さまに寄り添ってお客さまのニーズに合わせた取り組みを日々行なうことが大切であると考えています。

これまでの常識にとらわれることなく、必要な対応をゼロベースで検討し、できることはすべて行なっていく所存です。コロナ禍にあっての一層の安全、安心への対策として、店舗の衛生管理の徹底やソーシャルディスタンスの確保を行ない、さらにウイルス感染を避けるための接触の回避として、ドライブスルーやデリバリーモバイルオーダー、「パーク&ゴー」を強化し、弊社の強みである利便性の向上につなげていきます。そしてお客さまのご期待にお応えできるよう、ベストなバリューをご提供すると同時に、スピードをはじめとするQSCのさらなる向上に努めていきます。

最後となりますが、医療の最前線で日夜感染の拡大防止と感染者の治療にご尽力下さっている医療従事者のみなさまに、心からの感謝を申し上げます。弊社並びに各地のフランチャイズオーナーにより、地域の医療従事者のみなさまに感謝の気持ちとしてビックマックセットをご提供させていただきました。今後もマクドナルドとして可能な限り応援をさせていただきたいと考えています。

良い雇用主として、雇用を守ること。そして、外食企業として温かくておいしいお食事の提供などを通じて、これからも地域社会に貢献していきたいと考えています。ご清聴ありがとうございました。

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