酸化ガリウムベンチャーのノベルクリスタル、大口径化を推進

4インチ供給体制を強化

4インチの酸化ガリウム単結晶ウエハー

 酸化ガリウムウエハー/デバイスの開発ベンチャーである、ノベルクリスタルテクノロジーは、4インチエピタキシャルウエハーの供給体制を強化、大口径化を推進する。現状は開発用途の2インチウエハーが主体だが、酸化ガリウムを用いたパワーデバイス開発を普及させるため、より実用的な口径サイズの供給を増やす。

タムラ製作所のカーブアウトベンチャー

 同社はトランスなど電子部品事業を手がけるタムラ製作所(東京都練馬区)のカーブアウトベンチャー、さらにはNICT(情報通信研究機構)の技術移転ベンチャーとして、2015年6月に設立。酸化ガリウムの基板・エピ成長に加え、SBD(ショットキーバリアダイオード)やMOSFETなどデバイス開発も行っており、材料まで含めた垂直統合モデルを志向する。デバイス分野に関しては、開発・設計・マーケティングに特化し、製造はファンドリーなど外部リソースを活用した生産委託を行う。

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 同社の酸化ガリウムは、5つある結晶多形のうち、βガリア構造と呼ばれるもので、単結晶基板を作製できることが大きな特徴。具体的には、EFG(Edge-defined Film-fed Growth)法と呼ばれる融液成長で基板を作製しており、同じWBG材料であるSiC(シリコンカーバイド)に比べて圧倒的に結晶成長効率が良く、低コストを大きな魅力としている。

6月末に資金調達実施

 ウエハー供給に関しては今後4インチを増やしていく。20年6月末に実施した資金調達によって、総額7億円を獲得。調達資金は主に、「4インチの量産立ち上げ・高品質化」「デバイス開発」に充てる。

 4インチの供給拡大については、狭山事業所で9月からクリーンルーム(CR)の増設工事に着手、新たに600㎡のCRフロアを追加し、エピ炉を追加導入。酸化ガリウムの市場拡大に向けては、エピ工程の高品質化、ならびに低コスト化が重要だとして、リソースの重点配分を進めていく。増設分は21年4月から稼働予定で、これによりウエハー供給能力は現状の2倍程度に引き上がる見通し。

 エピ膜の高品質化を図ることで、10㎜角を超えるような大電流・大面積チップの開発にも対応できるようになる見込みで、ウエハーの低欠陥化を積極的に進めていく。

6インチの市場投入も検討

 さらなる大口径化についても、検討を進めている。具体的には23年ごろをめどに6インチの市場投入を検討する。その際には現状のEFG法に変わる新たな結晶成長法の導入を念頭に置いており、さらなるコストダウンを実現させる。同じ時期にIPO(新規株式公開)も視野に入れる。「6インチの投資には最低でも40億円程度が必要」(倉又朗人社長)しており、上場によって必要な資金を獲得したい考え。

 デバイス分野においては、酸化ガリウムの弱点とされる信頼性を高める開発に主眼を置く。酸化ガリウムはp型を作製できないことが弱点で、これにより信頼性を高めることができないとされている。これに対し、同社ではp型酸化ガリウムの実現に向けた検討に加えて、ヘテロpnジャンクション構造を取り入れることを検討している。p型が実現されることで高信頼性が求められるMOSFET領域でも市場ニーズが高まると期待を寄せる。

電子デバイス産業新聞 副編集長 稲葉 雅巳

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執筆者
稲葉 雅巳
  • 稲葉 雅巳
  • 株式会社産業タイムズ社
  • 電子デバイス産業新聞 副編集長

2005年(株)産業タイムズ社入社、以後、電子デバイス産業新聞(旧:半導体産業新聞)編集部記者として、半導体を中心にエレクトロニクス業界の取材活動を続ける。2015年から副編集長。