2020年8月6日に行なわれた、日本ユニシス株式会社2021年3月期第1四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:日本ユニシス株式会社 代表取締役社長 CEO 平岡昭良 氏
2021年3⽉期 第1四半期 連結経営成績
平岡昭良氏:みなさま、こんにちは。日本ユニシスの平岡です。例年第1四半期においてはCFOから業績概要をご説明しています。しかしながら今年度はコロナ禍により投資家のみなさまと直接お会いすることが難しい状況である上、事業環境が不透明な状況でもあることから、現時点の私の考えを直接投資家のみなさまにお伝えする機会として本日の説明会を開催したいと思います。
まずはじめに、2021年3月期第1四半期の決算概要についてご説明します。資料の1ページをご覧ください。第1四半期の業績は、売上高は前年同期比10億円減収の641億円、営業利益は前年同期比2億円増益の33億円、四半期純利益は前年同期比6億円減益の21億円となりました。
売上高はアウトソーシングが堅調に積み上がった一方で、製品販売において前年同期に大型の機器販売案件を計上した影響から前年同期比10億円の減収となりました。
利益面では、減収要因となった前年同期の大型機器販売の収益性があまり高くなかったことから、売上総利益は前年同期比ほぼ横ばいとなりました。また、研究開発費が増加した一方で、コロナ禍により移動を伴う営業活動が制限を受けた影響などから一般経費の費消が抑えられ、販管費が前年同期比で3億円減少しました。その結果、営業利益は前年同期比2億円の増益となっています。
尚、受取配当金など営業外収益の減少や、特別損失において投資有価証券評価損を計上したことなどから、四半期純利益は前年同期比6億円の減益となっています。
受注高については、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で営業活動が一部制限されたことに加え、ICTコア領域を中心にお客さまにおいて開発スケジュールの延期や案件検討の先送りなどがあったことから、前年同期比127億円の減少となりました。受注高の減少に伴い受注残高は76億円の減少となっています。
尚、第1四半期の受注高・受注残高は非常に厳しい数字となっていますが、緊急事態宣言解除後は制限されていた営業活動も徐々に再開しており、とくにデジタルトランスフォーメーション関連領域においてはお客さまの投資意欲や引き合いが強い状況であることから、経済活動の再開に伴い受注も回復するものと考えています。
2021年3⽉期 第1四半期 セグメント別の状況
続きまして、セグメント別の状況について説明します。資料の2ページをご覧ください。システムサービスは、デジタルトランスフォーメーション関連案件は比較的堅調だった一方で、コロナ禍の影響により一部の大型案件で本番稼働の先送りや開発スケジュールの見直しが発生したことから減収減益となりました。
デジタルトランスフォーメーション案件の拡大や生産性向上施策により収益性は向上していますが、不採算案件で5億円の損失引当を計上した影響により、売上総利益率は若干低下しています。
前期までに発生していた不採算案件については順次稼働を開始しており計画どおりに進捗していますが、残念ながら新たに本番稼働が延期となった案件が発生し、今第1四半期におきましてその案件に対する引当を行なっています。
サポートサービスは売上高は若干の減少となりましたが、サポート拠点の統廃合などのコスト構造改革施策の効果が徐々に表れてきており、増益となりました。
アウトソーシングは、前期第4四半期から金融機関向けなどの新規サービスが稼働しているほか、ITアウトソーシングサービスの中小型案件が着実に積み上がっていることから増収増益となっています。
製品は、前年同期においてAI関連の大型機器販売案件の計上があった影響で減収となりました。
2021年3⽉期 第1四半期 注⼒領域の状況
続きまして、中期経営計画における注力領域のビジネス状況をご説明します。資料の3ページをご覧ください。注力領域の売上高は前年同期比6億円増加の101億円となりました。昨年度に引き続き幅広い業種向けにデジタルトランスフォーメーション関連ビジネスが堅調に推移したことから、前年同期に計上したAI関連の大型機器販売案件の影響をカバーし増収となりました。
尚、手数料ビジネスについては、インバウンド関連やカーシェアリングといったコロナ禍の影響を受けたビジネスは大幅に減少していますが、昨年度は減少トレンドにあったバリューカードビジネスの取扱高が下げ止まったことや、ドライブレコーダーやエネルギーマネジメント関連などのサービスの利用が着実に拡大していることから、第1四半期の手数料売上は前年同期より若干のプラスとなりました。
2021年3⽉期 業績予想
2021年3月期の業績予想についてご説明します。資料の4ページをご覧ください。現在の事業環境については、デジタルトランスフォーメーション関連を中心にお客さまのIT投資意欲は高く、引き合いも強い状況となっています。しかしながら新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、お客さま側での検収体制なども鑑み、進行中の案件が売上としてリアライズする時期についても相当程度の幅を持たせて見込まざるを得ない状況です。
さらに当社は社会への貢献という観点から、リモートワーク関連や災害対策関連のサービスを無償提供しており、コロナ禍の長期化が見込まれる中、有償化のタイミングの見極めも非常に難しい状況となっています。
そのため、現時点においては前年上期の業績をベースラインとして、ある程度のレンジの範囲で上期は着地するものと想定していますが、上下どちらにも相当程度の幅が見込まれることから、上期の業績予想は非開示とします。
また、通期業績予想についても、先ほどお伝えしたとおり案件の計上時期に幅を持たせて考えていますが、現状においては期初段階で据え置きとした中期経営計画の計数目標値から大きく乖離することは想定していないため、予想の修正は行ないません。
足元のコロナ禍においては、お客さまの業種により基幹システムの刷新等を中心に案件の先送りや稼働延期などの影響が出てきている状況です。
一方でリモートワークなどの働き方改革推進やセキュリティ強化などへの需要が高まっていることに加え、パラダイムシフトにより顧客のビジネスモデル構造転換はますます加速することが見込まれていることから、当社グループのデジタルトランスフォーメーション関連ビジネスの事業機会は拡大するものと考えています。
新型コロナウイルス感染症に対する取り組み
最後に当社グループの新型コロナウイルス感染症に対する取り組みをご説明します。資料の5ページをご覧ください。
日本ユニシスグループは社員やお客さま、お取引先を始めとする関係者のみなさまの安全を最優先に考え、事業継続に努めています。当社グループにおきましては、4月の緊急事態宣言に先立ち全面的にテレワークに移行するなど、感染拡大防止のためのさまざまな対応策を実施、継続し、業務に取り組んでいます。
ビジネス面におきましては、足元ではテレワークや働き方改革、セキュリティ関連のサービスへの需要が非常に高く多数のお問い合わせをいただいており、鋭意対応を進めています。
当社グループのユニアデックスが提供しているクラウド型ネットワークサービス「Wrap®」については、3月上旬の無償提供開始以降、非常にたくさんの引き合いをいただいています。
また、4月より稼働を開始したジャパネットホールディングスさまにおいては、社内のテレワーク推進にとどまらず3密を回避し、かつセキュアな環境下でコールセンター業務を継続するため、ホテルを借り切ってコールセンターとして活用する「ホテル受注」のインフラとしても利用いただき、事業継続と安全性確保のための支援を推進しました。
また、某大手学習塾さまにおいては、新型コロナウイルス感染拡大の影響による対面授業の取りやめ、職員の在宅勤務増などに対応するため、かねてより課題であったネットワークインフラ整備に向けた全校舎におけるネットワーク基盤構築を当社グループにて支援させていただきました。
私たちは今後もデジタルテクノロジーを活用したさまざまなサービスを提供することで、お客さまや社会の安心・安全の確保と事業の継続に貢献していきたいと考えています。以上で私からの説明を終了します。ご清聴ありがとうございました。