有機EL用燐光発光材料メーカーのユニバーサルディスプレイコーポレーション(UDC、米ニュージャージー州)の2020年4~6月期業績は、売上高が前年同期比51%減の5797万ドル、営業損益は119万ドルの赤字(前年同期は4866万ドルの黒字)となった。営業赤字になったのは16年7~9月期以来約4年ぶり。

20年4~6月期は先行購入で反動減

 スマートフォンやテレビに搭載されている有機ELディスプレーは、電気を流すと発光する有機EL発光材料をRGB(赤緑青)の画素に採用している。現在量産されている有機ELは、赤色と緑色に発光効率が高い燐光発光材料、青色には蛍光発光材料を採用するのが一般的。UDCは世界最大の燐光発光材料メーカーで、青色の燐光発光材料の実用化を目指して開発を進めている。

 20年4~6月期は、新型コロナウイルスの影響で発光材料の需要が低迷した。加えて、19年10~12月期に中国FPD(Flat Panel Display)大手のBOE(京東方科技)が安全在庫として購入した2400万ドル分、そして20年1~3月期にも顧客が備蓄のために約2000万ドル分を先行購入したことによって、20年1~3月期の売上高は前年同期比28%増と伸びたが、逆に20年4~6月期は反動減に見舞われた。

 売上高5797万ドルのうち、発光材料の売上高は同58%減の3193万ドルだった。発光材料のうち、黄緑色を含めた緑色発光材料の売上高は同60%減の約2420万ドル、赤色発光材料は同53%減の約750万ドルだった。

通期見通しは依然非公表

 同社は20年1~3月期決算発表時に年間の業績見通しを撤回したが、引き続き不確実性が高いとして公表を見送った。20年7~9月期の見通しも非公表だが、20年7月からは受注が増加しているという。iPhoneの20年モデル向けのパネル生産が本格化することや、韓国FPD大手のLGディスプレーが中国広州でテレビ用有機ELの8.5世代(8.5G=マザーガラスサイズ2200×2500mm)新工場を稼働させたことなどが追い風になる。

 このほか、BOEが重慶に3番目の6G(マザーガラスサイズ1500×1850mm)有機EL工場を完成させ21年に稼働予定であることや、天馬微電子が20年5月に厦門で6G有機EL工場を起工し21年に稼働させることなどを挙げ、「21年末までに世界の有機ELディスプレーの生産能力がインストールベースで19年末比5割増加する」という想定の前提は変更しないと述べた。

独自製造技術の事業化へ子会社設立

 UDCは先ごろ、開発してきた有機蒸気ジェット印刷技術「OVJP(Organic Vapor Jet Printing)」を事業化するため、完全子会社「OVJP Corporation」を設立した。OVJP技術の研究開発はニュージャージー州ユーイングで、OVJPプロセスと装置のスケールアップはシリコンバレーのOVJP本社で、それぞれ手がける。

 OVJP技術は、ガスを用いたインクジェットで低分子材料を成膜するダイレクトドライ印刷技術。社長兼CEOのSteve Abramson氏はOVJP技術について「現在の中小型有機ELと非常によく似た、RGB並列ピクセル構造を備えた、新型有機ELテレビ用パネルの製造テストが提供できる。この技術が有機ELテレビの将来の市場の可能性をさらに拡大する」と述べている。

電子デバイス産業新聞 編集長 津村 明宏