40代の老後資金作りは、「負債を減らす」と「貯蓄を増やす」
では40代のうちから、老後資金作りに着手していくにはどのようにしたらよいのでしょうか?
貯蓄より負債が多いということを考えると、まずは「負債を減らす」に思考が働くと思いますが、住宅ローンなどの返済にお金を回しすぎてしまうと、手元にお金がなくなり、生活が苦しくなってしまう、子どもの教育資金が捻出できない、といったことが起こってきます。
「少しでも余裕資金ができると、住宅ローンの返済に回す」人もいるかと思いますが、住宅ローンのちょこちょことした繰上返済は、さほど利息分をカットする効果はないと言われています。繰上返済を検討しているときは、まずはシミュレーションを行って、どのぐらいの利息カット効果があるかを確認してみましょう。さほど効果がないと判断したら、いったん貯蓄に回し、教育資金などの大きな支出に備えたほうが賢明かもしれません。
とはいえ、最近は驚くほどの低金利。お金を銀行に預けているだけでは、ほとんど利子がつかず、箪笥の代わりに銀行口座にお金を置いているだけに近い状態になっていることがほとんど。元本割れのリスクはありますが、投資を視野に入れて考えてみるのもよいでしょう。
つみたてNISAやiDecoなど、長期投資による資産形成は、老後までまだまだ時間がある、30代、40代といった年代が始め時ともいわれています。長く投資を続けることで、今回のコロナ禍による株価の急落や、それ以外の失敗といったことがあっても、リカバリーがしやすくなるからです。一気に増やすことを考えるのではなく、長い時間をかけて、少しずつお金を育てる、というところがポイントといえそうです。
まとめ
生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」(2019年度)によると、夫婦2人の老後生活に必要だと考えられている最低日常生活費の平均は、夫婦2人で月額22.1万円となっています。加えて、ゆとりのある老後生活を送りたいと考えるなら月額36.1万円。
一方、厚生労働省の「将来の公的年金の財政見通し(財政検証)」の「2019(令和元)年財政検証関連資料」によれば、現在40代の人がもらえるであろう年金額(夫婦2人分)は、20万円台と試算されています。「生きてくだけで精一杯」の状態にならないためにも、若いうちから、しっかりと準備をしておきたいものです。
参考
「令和元年度住宅動向調査(平成30年度分)」国土交通省住宅局
「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2019年(令和元年)平均結果-(二人以上の世帯)」総務省統計局
「高齢社会における資産形成・管理」金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書
(※)「通算加入者等期間」
「iDeCo(イデコ)の受け取り(給付)について」イオン銀行
「生活保障に関する調査」(2019年度)生命保険文化センター
「将来の公的年金の財政見通し(財政検証)」厚生労働省
【貯蓄とは】
総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。
LIMO編集部