2020年7月31日に厚生労働省が発表した簡易生命表によると、2019年の日本人の平均寿命は女性が87.45歳、男性が81.41歳となり、ともに過去最高を記録しました。

何歳で定年を迎えるかは人によりますが、いずれにしろ「老後」と呼ばれる期間は、決して短くはありません。その間、私たちは2ヶ月に一度振り込まれる年金と定年時に受け取った退職金、そして現役時代に積み立てた貯蓄で生活をしていく必要があります。

そこで今回は、今の70歳代の人は生活していくのに十分な資産を持っているのかをみていきたいと思います。

70歳代の人はどれくらい預金を持っているのか

 早速、70歳代の平均貯蓄額と中央値をみてみたいと思います。金融広報中央委員会実施の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和元年)」の結果によると、金融資産保有世帯における70歳代の平均貯蓄額と中央値は以下の通りです。

  • 平均貯蓄額:1,978万円
  • 中央値  :1,100万円

一方で、金融資産を保有していない世帯を含む70歳代の平均貯蓄額と中央値は以下の通りです。

  • 平均貯蓄額:1,314万円
  •  中央値  : 460万円

中央値とは、貯蓄額が少ない順に並べた時に全体の真ん中にくる人の金額を表しています。平均値は一部の極端に貯蓄が多い人の額に引きずられてしまい、値が大きくなりがちですが、中央値は金額で引きずられることがないため、より実態を反映した値といえます。

貯蓄額でみてみると、金融資産保有世帯においては、平均貯蓄額、中央値ともに1,000万円以上の金融資産を持っていることがわかります。

一方で、金融資産を保有していない世帯を含む平均値は460万円です。毎月5万円切り崩すと7年半で使い切る計算になります。現在の日本人の平均寿命から見ると、少し心もとないといえます。

70歳代の老後の生活費はゆとりがあるのか

老後の収入の大半を占める年金収入。ここで年金についての考え方について、70歳代の回答を見てみると、

  • 年金でさほど不自由なく暮らせる:8.7%
  •  ゆとりはないが、日常生活費程度はまかなえる:57.1%
  •  日常生活程度もまかなうのが難しい:32.7%

という結果が出ています。

老後の生活にゆとりをもたせようと思うと、年金収入だけでは不十分ですが、ここで少しずつ切り崩せる貯蓄があると、ゆとりをもたせることができるといえます。

なぜ70歳代の老後生活にゆとりがないのか

私たちはたらく世代がここで注目したいのが、70歳代が年金ではゆとりがないと回答した理由です。

  •  年金が支給される金額が切り下げられるとみているから
  •  高齢者への医療費用と介護費用の個人負担が増えるとみているから
  • 物価上昇等により費用が増えていくとみているから

ここに挙げられた理由は、そのまま今のはたらく世代の老後生活への不安要素といえるかもしれません。

今の70歳代の二人に一人以上は、ゆとりはないが日常生活程度はまかなえているようですが、今のはたらく世代が定年を迎え老後生活に入る頃、上記3つの懸念はどれくらいの確率で現実化しているでしょうか。

実際に定年を迎えてみないとわかりませんが、それを考えるだけで、今はたらく世代の人は、今70歳代を迎えている人以上に老後のための貯蓄が必要であると考えた方がいいでしょう。

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ゆとりある老後に向け、今から少しずつ準備を

老後くらいはゆとりを持って生活したいと思う人は、はたらく世代の今から、老後に向けて少しずつ準備をする必要があります。

最近ではつみたてNISAやiDeCo等、長期的にコツコツと積み立てていくための税制優遇制度も充実してきました。さらに、貯蓄性のある保険商品や投資信託等、長期運用に適応した商品ラインナップも充実しています。テレワークがしばらく続きそうなこのタイミングこそ、仕事の合間に自分に合った資産運用方法を探すチャンスです。

おわりにかえて

令和2年3月に高年齢者雇用安定法が改正され、令和3年4月から70歳までの雇用が企業に努力義務化されることになりました。これに伴って、今後は70歳まで働く人は今よりも増えてくると思われます。

一方で、前述の理由で私たちの老後への経済的な不安は募るばかりです。しかし、一気に貯めるのは無理でも、少しずつ毎月運用をしながら積み立てていくことにより、効率的に老後資金を形成することができるともいえます。今から少しずつ準備を始めることを検討されてはいかがでしょうか。

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参考資料