好調な米雇用統計を受け、年内の利上げ観測が高まる
2016年8月5日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日より44銭安の16,254円45銭となりました。同日(日本時間夜)に、7月の米雇用統計の発表が行われることから、様子見姿勢が強まり、小幅な値動きとなりました。
その雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比25万5,000人増と、市場予想を大きく上回りました。米景気の先行きに対する期待が好感したことから、5日の米株式市場ではダウ工業株30種平均が大幅反発したほか、ナスダック総合株価指数およびS&P500種株価指数も過去最高値を更新しました。
雇用統計が強い内容となったため、連邦準備制度理事会(FRB)による年内利上げ観測も高まっています。5日のニューヨーク外国為替市場では、対主要通貨でドルが買われました。円相場も下落し、前日と比べて60銭程度の円安・ドル高の1ドル=101円70銭台で取引を終えています。
ただ、円高傾向には変わりはありません。2日のニューヨーク外国為替市場ではおよそ3週間ぶりに1ドル=100円台に値上がりし、3日~5日はともに100円後半の値動きとなりました。
今後の展開はどうなるでしょうか。為替相場については今週、ドル円が何度も100円台にトライする一方で、底堅い印象がありました。
堅調な雇用統計にともない年来の利上げ観測も高まったことから、円安に修正される動きも出てきそうです。
4-6月期の決算(第1四半期決算)が多くの企業で発表されていますが、円高の影響は織り込み済みといったところでしょう。
8月3日に第3次安倍改造内閣が発足したことから、アベノミクスのさらなる加速にも注目が集まっています。
日経平均はここ2週間ほど、急激な上昇の調整含みの動きでした。今週は調整一服といったところでしたが、来週以降は再度戻りを試す展開になるのではないかと期待されます。
調整局面だが、25日移動平均線にサポートされた形
今週の動きをテクニカル面から見てみましょう。7月21日に高値(16,938円)を付けてから、じりじりと下がってきています。
先週は75日移動平均線にサポートされる形でしたが、今週はそこも下抜けしてしましました。4日にはさらに、25日移動平均線も抜け、一時、16,000円を割り込みました。
ただ、その後は長い下ひげを付けて陽線となり、25日移動平均線に支えられる形になっています。
三角保ち合いを抜ければ、戻りを試す局面へ
来週の動きはどうなるでしょうか。現状は4月25日の高値(17,613円)と7月21日の高値(16,938円)を結ぶ下降トレンドラインと、6月24日の安値(14,864円)と7月8日の安値(15,106円)を結ぶ上昇トレンドラインに挟まれた三角保ち合いの形になっています。
今週、一時、16,000円を割り込んだものの、この上昇トレンドラインを下回ることがなかったのは注目すべきです。むしろ、上昇トレンドライン付近で反発した形になっています。
来週は三角保ち合いをどちらの方向に抜けるのかがポイントになります。現状の動きでは、上抜けして戻りを試す可能性も高いと期待されます。その場合の上値めどとしては、トレンドラインとぶつかる16,500円前後となります。そこを抜けると、7月21日の高値(16,938円)や17,000円あたりも視野に入ってきます。
逆に三角保ち合いを下に抜けるには、15,500円前後を突破する必要があります。これまで何度かサポートラインになっていたところでもあることから、このあたりまで調整が進むと、反発することも考えられます。押し目買いのチャンスにもなりそうです。
下原 一晃