2019年12月:
ベイルートで数十人の男が警官隊に向けて投石したことがきっかけで、警官隊とデモ隊との間で衝突が発生し、40人以上が負傷した。警官隊は催涙弾やゴム弾などでデモ隊を追い払うなどした。
2019年10月:
政府がスマートフォンのSNSアプリ使用に対する課税を発表し、国内で若者を中心とした数万人規模の抗議デモが発生。抗議デモは首都ベイルートを中心に全土に拡大。政府は同課税撤廃を含む改革案を発表したが、市民による抗議デモは一向に収まらなかった。同月下旬、当時のハリリ首相が辞任を発表した。
新型コロナによる経済格差拡大が暴力的行動の火種に
しかも、最近の抗議デモでは、一部の若者たちはスマートフォンで動画や画像をSNS上に載せ、同じような不満を抱える同士たちとネットワークを構築しようとする。
また、中東ではイラクやイランでも反政府的な抗議デモが断続的に発生しているが、去年のデモでは、レバノンの若者が「イランやイラクの若者たちと一緒になって戦おう」と言及する姿も目撃された。
6日に発生した抗議デモの様子は、おそらく同様の不満を持つ他国の若者たちもチェックしており、今回の大爆発のように、何か大きな出来事がきっかけで再び一気に不満が爆発する可能性がある。
新型コロナパンデミックによって、各国の経済的疲弊はさらに深刻なものになっている。失業や経済格差が長期にわたって続けば続くほど、こういった若者たちの抗議デモがエスカレートし、より暴力的なものになってしまう恐れがある。
和田 大樹