「うがい薬がコロナの重症化防止になる」。大阪府と大阪市、大阪府立病院機構「大阪はびきの医療センター」は4日、「『ポビドンヨード』を含むうがい薬でうがいをしたところ、唾液中のウイルスの陽性頻度が低下した」との研究成果を発表しました。
この報道を受け、複数の医療関係者が反応。また、『イソジン』を取り扱う明治ホールディングスの株価は一時、7.7%高の8,990円、塩野義製薬は3.6%上昇しました(※1)。さらにメルカリではイソジン転売が起こり、海外メディアBloombergでもこの珍事を取り上げています。
現在、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者数が増加しており、人々の緊張は広がっています。しかし、こうした情報に対して冷静な行動をしなければ、インフォデミック(真偽不明の情報や虚偽の情報を多くの人が真に受けて社会的パニック状態となること)が起きてしまい、経済的な損害を出すことになります。
今回はインフォデミックの怖さについて取り上げます。
Bloombergでは批判的な記事
Bloombergでは“Too Good to Be True? Osaka Says Gargling Formula Can Beat Virus”という記事で、この珍事を批判的に取り上げています。
「東京都内のドラッグストアを中心に『ポビドンヨード』を含むうがい薬が在庫切れ」
「日本Amazonでも在庫切れ」
「東京より人口が少ない大阪で感染者急増」
「データが不十分。製造元では効果検証の予定なし」
大阪府知事の吉村氏は「誤解なきよう、うがい薬でコロナの予防効果が認められるものではありません」と反論するも、会見の場にイソジンを置いて映像メディアで報道されると、視聴者は全会見をしっかり聞いて判断するというより、映像に写ったイソジンを見て「これは買っておかなければ」と買いに走ってしまうことは想像できることです。
同氏の意図としては、「少しでも有効な可能性があることは試したい」というものがあったかもしれません。効果のほどは、この原稿を書いている現時点ではまだ明らかではない部分も残されています。しかし、世界的にCOVID-19にセンシティブになっているタイミングでの発言としては、インフォデミックの発生防止への意識が必要だったのでは?といえるかもしれません。