イオンFS、1Qは貸倒関連費用が増加し国際事業の営業利益は前年同期差150億円減

2020年7月8日に行なわれた、イオンフィナンシャルサービス株式会社2021年2月期第1四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:イオンフィナンシャルサービス株式会社 代表取締役社長 藤田健二 氏

連結・エリア別業容―新型コロナウイルス禍の影響①

藤田健二氏:本日はお忙しい中、弊社2021年2月期第1四半期決算ウェブ説明会にご参加いただきまして、誠にありがとうございます。本年の5月27日付けで当社の代表取締役に就任しました藤田健二でございます。私自身は、6月初めにタイから異動してきましたが、PCR検査後にイオンフィナンシャルサービスの社長業を開始しています。何卒宜しくお願いいたします。

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本日は私から決算概要についてご説明します。初めに連結・エリア別の業容、次いで連結・セグメント業績、最後に今後の方向性についてお伝えします。

まず、連結・エリア別業容についてです。第1四半期は新型コロナウイルス感染症の世界的拡大に伴い、各国政府による行動規制などの発令により、営業活動に大きな影響を受けました。

スライドの表は、当社の展開する各国の影響をお示ししたものです。日本国内においては、3月27日、28日の週末に、東京、埼玉、神奈川の15モールでイオンモールが閉鎖したのに続き、4月7日に発令された政府の緊急事態宣言を受け、対象7都府県の57モールを休業しました。さらには、4月17日からは全国142モール休業となり、5月中旬までの期間、イオンモールに入居する当社の営業拠点についても休業や時間短縮を余儀なくされました。

海外では、第1四半期の期間において、中華圏での感染拡大期は過ぎたものの、メコン圏、マレー圏で大規模な外出禁止令、活動制限令が発令され、当社支店の休業や加盟店の休業による営業活動への影響に加えて、審査・回収活動が縮小、停止しました。

連結・エリア別業容―新型コロナウイルス禍の影響②

とくに、行動規制や当局からの要請を大きく受けている国が、タイ、ミャンマー、マレーシア、フィリピン、インドとなります。タイでは3月下旬から7月末まで緊急事態宣言が発令され、外出禁止要請および夜間の外出は禁止されました。

また、中央銀行からの要請に基づき、お客さまが日常生活を維持できるようクレジットカードや各種ローンについて金利手数料の一定期間引き下げや、支払い猶予期間を設定するなどの措置を実施しました。

ミャンマーでは、感染エリアが封鎖されて自宅待機措置となり、当社支店の営業は審査・回収業務が一時停止となるなど影響を大きく受けました。

マレーシアでは、3月中旬より活動禁止令が発令され、5月に一部緩和されるまで支店や加盟店が休業となりました。また、中央銀行の方針に従い、ハイヤーパーチェスやパーソナルローンのお客さまに対して、4月から5月にかけて支払い猶予や再分割契約対応を行ないました。

インドやフィリピンにおいても、ロックダウンにより交通機関が停止して移動制限が発令され、従業員も出社禁止となるなど、大きな影響を受けています。6月に入り、各国において一部制限緩和の動きも見られますが、当局の要請の支払い猶予措置等による、お客さまのお申し出対応は第2四半期以降に発生すると思われます。

連結・エリア別業容

連結のエリア別の業容についてご説明します。先ほどもお伝えしたように、展開エリアによっては、新型コロナウイルスが消費環境、営業活動に大きな影響を受け、各種商品の取扱高前年比や債券残高期首増減に軒並み、減少や影響を与えるものが多くありました。

国内事業においては、自粛期間における新規カード会員の募集を控えたことに加え、消費需要の縮小もあり、カードショッピングの取扱高は前年同期比97%、債券残高はリボ、分割払いはやや増加するものの、全体では期首差852億円減となりました。

カードショッピングについては、外出自粛の影響から取扱高は前年同期比88%、債権残高は期首差84億円減となりました。

一方で住宅ローンは、申し込みから融資実行まで一定程度の期間を要することから既存案件が進捗し、取扱高は前年同期比107%、債券残高は期首差1,242億円増となりました。

国際事業においては、支店や加盟店の営業の休止に加え、経済環境の悪化当の影響を踏まえた与信の厳格化等の影響により、ご覧のとおり各商品の取扱高および債権残高は減少しました。

なお、連結有効会員数については、国内事業では積極的な会員募集の自粛や、新規提携カード発行先の大型施設開店延期等により、クレジットカード新規会員数は33万人、前年同期比75%となりました。国際事業においても、海外各社が新規カード会員の募集を自粛した影響で会員数が減少しました。

連結・エリア別業容―国内消費動向の変化

次に国内のカードショッピング取扱高の状況をお伝えします。左のグラフは月度別の取扱高の状況ですが、3月から4月にかけて外出自粛や買い控えの動きが強まるにつれ、カードショッピングの取扱高の低下が続きました。5月の後半より、外出自粛や休業要請が緩和されるにつれ、回復基調で推移しています。なお、6月は暫定水準ではありますが、前年同月比105%まで持ち直す見通しです。

スライドの右の図は、業種・業態別の取扱高前年比の推移を示したものです。ご覧のとおり、外出自粛で自宅で過ごす時間が増え、いわゆる巣ごもり消費の需要が高まったことから、食料品や生活用品、ネット通販が好調に推移したほか、5月に入ると、夏物家電の購入やテレワークの環境整備の需要が高まり始めたことで、家電や家具の取扱高の拡大が顕著に見られました。

一方で、交通機関や旅行、ガソリンやETC利用といった観光・レジャー関連の他、営業休止や衣料品販売等の縮小が影響したショッピングモールや百貨店は厳しい状況が続きました。

連結・セグメント業績

次に、連結セグメント別業績です。業績概要については、スライドの表のとおりとなっています。国内事業では、カード収益やキャッシング収益が落ち込んだ一方で、「WAON」などの電子マネーや保険の取扱高拡大による手数料収益の増加により、営業収益はわずかながら増収となりました。

なお、販売促進費の抑制や、昨年下期よりウェブ化に移行した明細書の郵送費、および印刷費削減等コストコントロールに努めた一方で、貸倒関連費用が増加したことで営業利益は前年同期比99%となりました。

国際事業では、支払い猶予債権及び将来的リスクに備えた保守的な引当対応などにより、貸倒関連費用が増加しました。この結果、営業利益は前年同期差150億円減となりました。なお、国際事業の貸倒関連費用増加要因の詳細については、後ほどご説明します。

連結・セグメント業績―国内・国際における営業利益増減要因

こちらのグラフは、国内事業と国際事業の当第一四半期と前年同期の利益増減要因を比較したものです。ご覧のとおり、国内、国際ともに前年の収益と費用の動きに変化が見てとれます。とくに、当第一四半期における国際事業の貸倒引当費用の増加は著しく、営業損失の主要因となっています。

連結・セグメント業績―営業債権内容の推移(国際)

次に、国際事業のエリア別における営業債権残高と債権支出の推移について説明します。中華圏ではかねてより、米中貿易摩擦やデモ等の影響による経済環境の悪化で、審査の厳格化と将来予測に基づく貸倒引当金の前倒し実施を行なっています。そのため、コロナ禍においても大きなトレンドの変化はありません。

一方で、メコン圏およびマレー圏については、営業債権残高に対する貸倒費用率は従来の比率から大きく上昇しています。メコン圏では主要国のタイにおいて、当第一四半期より現地改定基準にIFRS9号の適用を開始したことに伴い、期首貸倒引当金の積み増しを実施しました。

なお、当社連結においては、2018年度よりIFRS9号適用済みです。この度のタイ現地B/S調整について、当社連結ではP/Lで調整を行なっていることにより、貸倒引当金振り入れ額は約45億円の増加影響がありました。

マレー圏では、主要国のマレーシアにおいて、4月と5月の入金督促を停止したほか、中央銀行の方針に準拠する形で個人ローンなどの支払猶予措置を実施しています。6月の引き当てより、順次お客さまと連絡を取り、全額返済、一部返済、再分割契約の3パターンの返済プランで個別に返済相談を進めているところです。

なお、マレーシア政府の会計方針により、現地では支払い猶予債権に対して、延滞猶予扱いにする貸し倒れの引き当て対応を取らない方針ですが、当社連結会計上では引き当て対応を行なっており、貸し倒れ関連費用の大幅な増加につながりました。

連結・セグメント業績―連結貸借対照表

次に連結の貸借対照表です。当第1四半期では、国内の住宅ローン取扱高が好調に推移したことで、銀行業における貸出金が1,592億円増加した一方で、国内外においてカードショッピングを中心に割賦売掛金が888億円減少しました。

また、イオン・アリアンツ生命保険株式会社の連結子会社化にともない、当期より保険業における有価証券1,104億円が加わりました。この結果、資産合計は5兆9,494億円、期首差1,681億円増となりました。

負債においては、国内でクレジットカードやデビットカード一体型などの決済用資金としての普通預金や、運用目的の外貨預金等銀行業における預金残高が308億円増加しました。

また、先にお伝えした保険子会社に関連して、保険契約準備金が1,272億円増加するなど、負債合計は5兆5,088億円、期首差1,865億円増となりました。これらの結果、純資産は4,406億円、期首差184億円減となりました。

新型コロナウイルス禍の影響を受けた環境変化への対応

続いて、今後の方針についてご説明します。新型コロナウイルス感染症の流行は、当社の経営環境に危機的な状況をもたらすと同時に、急速な環境変化は社会のニーズや当社の課題点を明確に示すきっかけとなりました。

スライドの左に示している4つの重要な環境変化を今後のニューノーマルの前提とおいたうえで、防疫と営業活動のバランスを取りつつ、ビジネスモデルの進化につなげていくことが、当社が再び成長へと歩む第一歩となると考えています。

今おかれている状況ですが、当社のすべきことを緊急性と重要性の観点から優先順位をつけ、タスクフォースを組んで取り組みを開始しています。先ほどお伝えした、環境変化に対し常に取り組んでいく、もしくはこれから取り組む内容について触れていきたいと思います。

取組み内容―①お客さまの安全・安心

まず1つ目として、タッチレス決済の推進です。例えば、国内ではイオングループ一丸となって2018年度よりVISAのコンタクトレス決済の推進に取り組んできました。すでに、当社のカードのうち610万枚にタッチレス決済機能が搭載され、全国のイオングループ店舗約10万台のレジでご利用いただけます。今年中にも、タッチレス決済機能付きカードを新規・更新合わせて1,000万枚発行を目指し、ご利用促進を行なっていく考えです。

国際事業においても、新型コロナウイルスを契機にさらに非接触のニーズが高まるものと考えています。一例として、タイでは以前より提携カードを発行している現地の有力小売りグループのBic-Cグループと、4月より新たなプラチナカードを発行しました。このカードは、タッチレス機能のほかに同社小売りECサイトでの割引特典が付帯されており、市場が拡大中のEC需要への対応を狙っています。

次に、商品サービスへの取組み内容です。国内では新型コロナウイルスの影響により、資金が必要な方を対象にしたメンバーズローンの提供を行なうほか、今後は注目が高まる健康をテーマにした商品の組成と販売、新たなビジネスを始めるつもりです。

取組み内容―②店舗・営業体制

続いて、顧客接点の非対面化の取組みにについてお話しします。国内、国際において、セルフ端末の展開と既存リアルチャネルのデジタル化を進めるとともに、店舗のサテライト化やリモート化に取組み、従業員が行なっていた業務のロボ化を進めていきます。お客さまが時間や場所にとらわれず、店舗をいっそう気軽で身近な存在としてご利用いただけるよう、進めていきたいと思っています。

取組み内容―③審査の最適化

次に、電子署名や本人確認システム、AI審査等を組み合わせて、申し込みから審査、顧客サービスを提供する一連の流れの自動化を図ることで、迅速かつ精度の高い審査を実現し、お客さまの利便性と当社の収益性を高めていきます。

働き方と人材の最適活用について、スライドでは表示していませんが、ご説明したいと思います。まず、当社グループ各社の従業員の多能化、すなわち一人が複数の業務に関わることができる社内副業を実現することで、個人の目標を幅広い分野で発揮していくと同時に、人材の交流を通じた活性化を図りたいと考えています。

また、業務の性質から密が問題視されるセンター業務においても、ソーシャルディスタンスを確保するとともに、在宅対応自動化を進めていく、また、チャネルについてもデジタル化を拡大していくこととしていきます。タスクフォースの組成により、これら取組みを早期に実現させ、全拠点へ普及を図っていく考えです。

2020年度の業績予想―連結業績

最後に、2020年度の連結業績および、配当予想についてご説明します。2021年2月期の業績予想については、新型コロナウイルス感染症の拡大が当社に与える影響について、合理的に算出することが困難なことから未定としていましたが、当社が事業展開をする各国において規制が一部緩和されるなど、経済活動再開への動きが見えていきましたので、現時点において入手可能な情報に基づき、連結業績予想を算定しました。

取扱高について、第1四半期の3月から5月中旬にかけて、前年同期比が実績を下回りましたが、5月中旬以降、国内および海外の一部の国において大半的に回復しており、当年度末までに前年水準まで回復すると見込んでいます。

一方で、営業利益については、国内の貸倒費用の増加に加え、海外において金融機関からの方針に基づく支払い猶予措置に対応したことにより、第2四半期以降の貸倒れ増加に備えた引当金を計上していることから、前年同期比実績を下回る見通しとしています。現時点において、これらの費用は一過性のものであり、第3四半期以降は回復することを見込んでいます。

しかし、海外における支払い猶予措置等による返済緩和の申し出への対応は、当第2四半期においても発生するものであり、これらの要素を含む国際上の第2四半期業績が現時点では見通せないことから、当期においては第2四半期の業績予想は非開示とし、通期業績予想については年次形式にして開示します。

なお、配当については、当社は株主のみなさまに対する株主還元を経営の重要な施策と位置づけ、適正な利益金配分を実施してきました。しかし、2021年2月期の業績予想が厳しいものとなる見通しであることを鑑み、配当については、1株当たり年間23円とする予定です。

本日公表していますが、当社は新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中で、国内外当社およびグループ各社の役員報酬を今後6か月の間、最大5%から20%減額することとしました。

今後とも当社は、非対面や非接触による安全安心な金融サービスをお客さまに提供できる体制を確立するとともに、グループを挙げて徹底したデジタル化に取り組み、ビジネスモデルの変革やリモートワークによる働き方改革、利益生産性の改善等、事業の効率化と、新たな収益機会の創設に向けたさまざまな課題に取り組んでいきます。

また、従業員に対しては、雇用の継続と安全な勤務を最優先課題として取り組んでいきます。引き続きみなさまのご支援をお願いしたく存じます。ご清聴ありがとうございました。

記事提供:ログミーファイナンス

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