これについても今回の改正で、2022年4月以降は年金額が毎年10月に改定されることになりました(在職定時改定)。つまり、毎年、老齢厚生年金の受給額が見直しされ、65歳以降も働く分だけ受給額が毎年上乗せされていくイメージです。これにより、働き続けるメリットを感じられ、老後の資金設計もしやすくなりそうです。

ポイント2. 75歳までの繰下げ受給で84%増額に

年金の受取開始時期が75歳まで広げられたという変更点が、「75歳まで年金がもらえない」と勘違いされている場合もあるようです。しかし、あくまでも年金の受給開始を75歳まで繰下げられるということであって、年金の受給開始が75歳からになったわけではありません。

公的年金は原則として65歳から受給が始まりますが、現行制度では、希望すれば60歳から70歳の間で1カ月単位で自由に受け取り開始時期を選ぶことができます。

ただし、現行制度では65歳より前に年金の受給開始時期を繰上げると1年で6%(月0.5%)減額されるので、60歳から受取りを開始すると年金は30%減額されます。反対に、繰下げ制度を利用すると、年金額は年8.4%(月0.7%)増額され、70歳まで繰り下げると、年金は42%の増額になります。繰上げと繰下げのどちらを選択しても、減額、増額した年金額が生涯続くことになります。

2022年4月以降は、上述のように受取り開始時期の上限が70歳から75歳に引き上げになります。最長75歳まで年金の繰下げをすると、年金は84%増額することになるわけです。また、繰上げ受給の減額率も見直しされ、年6%の減額から4.8%に緩和されることになりました。よって、60歳から受給すると24%の減額に縮小されます。