「ZOZOシューズ」には専用ルールがなくアパレルに統一されていて、返品可能期間は一律7日以内となる。返品送料はユーザー負担でサイズ交換は受け付けておらず、交換は1度返品してから再注文する必要がある。ロコンドやアマゾンと比べると、返品・交換サービスでは勝ち目があるとは言い難い。
サービスの優位性を打ち出していないということは、やはり「ZOZOマット」頼みの面が強いということになる。ならばその強みを最大限発揮していくことが、成功へのカギといえるだろう。
そのためには、まずは計測の「相性度」をまだ表示していない靴についても対応を進め、できるだけ多くの商品に導入することが必要だ。さらに、ユーザーコメントなどを通じて計測精度をより高めていけば、サイズのハードルは下がり、取扱高が伸びる可能性もある。
利益面では、計測数が増えていくことでコスト低減が見込めそうだ。サイズの多さやフィット感の充実度に合わせて商品の仕入量や在庫量を調整し、返品抑制につなげるなど、靴通販特有の難題解消に反映させていくことを期待したい。
また、現状では靴のプライベートブランド展開予定はないそうだが、最近ではロコンドが著名ユーチューバーとのコラボで成功している例もある。独自では困難でも、DtoC※を活用した商品開発などは選択肢として検討すべきだろう。
ネット通販の覇者とされるZOZOがはたして困難な靴分野で成功できるかどうか、先行企業との攻防もウォッチしながら、取扱高1,000億円への挑戦を見守りたい。
※DtoC(Direct to Consumer):製造者が直接消費者と取引するビジネスモデル
【参考資料】
株式会社ZOZO 2020年6月11日付ニュースリリース(ZOZOMAT 計測者数)
株式会社ZOZO 2020年3月期 決算説明会資料
株式会社ロコンド 2020年2月期決算短信〔日本基準〕(連結)
通販研究所・渡辺 友絵