2020年4月28日に行なわれた、株式会社野村総合研究所2020年3月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社野村総合研究所 代表取締役会長兼社長 此本臣吾 氏

2020年3⽉期決算について 決算ハイライト①

此本臣吾氏:それではプレゼン資料に沿いまして、私からご説明を進めてまいります。まず、2020年3月期決算についての決算ハイライトのページです。

ご覧いただくとおわかりになりますが、増収増益で、売上高、営業利益、それから純利益、このあたりの数字はすべて過去最高という、大変良い業績を上げることができました。

2020年3月期については、新型コロナウイルスの影響はほぼなかったという理解でございます。当期純利益は、前年同期比で約183億円の増益になっておりますが、前期はとくにリクルート株の売却の影響等のため大きく出ております。

従いまして、この純利益を前提としますと、配当性向が27.9パーセントとなっておりますが、リクルート株売却の影響を差し引いて考えますと、配当性向は概ね35パーセントで、従来私どもが申し上げている数字にほぼ近いかたちとなっております。

生産性が上がったことの1つの証左になりますが、営業利益率は15.7パーセントで、前年同期比で1.5ポイント高くなっております。営業利益の増益約117億円のうち、70億円程度は、この営業利益率が上がったことに起因しております。今回とくにその増益においては、生産性の向上が非常に大きく影響したということだと思っております。

2020年3⽉期決算について 決算ハイライト②

スライドは予算差を示しております。2020年1月に修正いたしましたが、売上高、営業利益は、ほぼその修正時の目標に近いかたちでの着地となっております。

売上高は11億円ほど目標に達していませんが、これは後ほども出てきますが、海外事業の為替の影響があり、それを除いて考えれば、5,300億円を十分上回る着地となっております。

現在は2022年を最終年度とする中期経営計画の1年目になります。この1年目の業績として営業利益は831億円になっておりますが、これは当初の中期計画の2年目の数字も上回る、そういった意味では1年以上先取りした利益の推進になっております。

2020年3⽉期決算について セグメント別外部売上⾼

ここからはセグメント別の売上高についてお話ししてまいります。まず、コンサルティングにつきましては、10.7パーセントの増収で大変好調でした。

とくに経営コンサルティングのDX関係の売上は1.5倍になっており、やはりDXがいまコンサルティングを牽引している、ということでございます。

それから、金融ITソリューションも8.4パーセントの増収で、大変好調でした。とりわけ証券業向けが12.4パーセントと、高い伸びを示しています。

従来ご説明していますように、「STAR」の導入では、みずほ証券さんがいま移行のプロセスに入っております。それ以外でも複数社、新しく「STAR」の導入を進めており、いま移行に伴うSIの需要が非常に活況であることが1つの背景でございます。

保険につきましては、2.3パーセントと少し伸び率が低くなっています。ご承知のように、大手の生保さん、とくにかんぽ生命さん向けのビジネスがやや苦戦しておりますが、この1年で見ますと損保向けの事業が非常に拡大しまして、全体としては増収という結果になっております。

銀行業向けは、証券業向けを上回る増収になっております。新形態銀行と私ども申しておりますが、とくにオンライン型の基幹系の刷新プロジェクトは、複数走っておりまして、その開発のピークでもあり、大変高い伸びを示しています。

産業ITソリューションは、全体としては約23億円の減収になっておりますが、このうち海外の子会社での減収が約60億円ございます。その部分を差し引きますと、国内では3パーセント弱ぐらいの増収になっております。

金融に比べますと若干伸び率が低いですが、引き続きDXに関連する受注が非常に好調でございまして、好調さは続いているという理解でおります。

IT基盤サービスは、15.3パーセントと非常に高い伸びです。Win10化の対応に代表されるようなオフィスのデジタル変革を、私どもは「デジタルワークプレイス」という名称の事業として進めております。

DWPというこの事業の伸びが、いま非常に高い。これは働き方改革にも関係しているわけですが、そういった要因。それからセキュリティも安定して非常に高い伸びを示しておりますので、IT基盤サービスの外部向けの売上高も非常に好調だったということです。

2020年3⽉期決算について セグメント別外部売上⾼ (補⾜情報)

主要顧客別と、海外売上高の内訳です。野村ホールディングスは7.4パーセントの伸びで、50億円に近い増収となっております。とくに昨年度は、DWPに関連する売上が牽引しました。

セブン&アイ・ホールディングスさんは、昨年は消費税導入の特需もあった関係で、高い伸びになっております。

それから海外の売上高ですが、先ほど申しましたように残念ながら63億円の減収となっております。このうちの約半分が、為替要因でございます。

とりわけオセアニア、これはASGですが、ASGが苦戦していることが背景にございます。このあたりはまた後で、ご説明したいと思います。

2020年3⽉期決算について セグメント別損益

セグメント別の損益ですが、コンサルティングは営業利益率が24パーセントで、過去にない非常に高い水準でした。これはとりわけ、経営コンサルティングの増収が大きく寄与したということでございます。

金融ITソリューションも12.7パーセントで、過去と比較しても最も高い水準の利益率になっております。証券業向けの増益がとくに寄与しています。

産業ITソリューションにつきましては、売上高は減収ですが、営業利益が増収になっております。これは国内の産業ITソリューションの事業の収益力がいま、大変高まっていることの裏返しでございます。

とくにオフショアの活用。あるいはこの後出てきますが、とくにDX系の案件で、デジタルIPといういろいろなコンポーネントを部品化していく、SIを部品化して、それでSIの生産性を高める活動をここ数年来実施してきているのですが、その効果が非常に出てきており、産業系の生産性は、この1年で見ると非常に大きく飛躍しております。

2020年3⽉期決算について 増減要因分析

スライドはこういったことを取りまとめたもので、振り返りで整理しております。ここはとくに、ご説明いたしません。

2020年3⽉期決算について サービス別外部売上⾼

サービス別の売上高について、簡単に申します。コンサルティングが約60億円の増収ですが、この3分の2くらいは経営コンサルティングを中心とした、コンサルティングセグメントの増収。それから残りの3分の1がシステムの上流部分のコンサルティングの収入になっております。

システムの上流の案件も、比較的継続して非常に旺盛ですので、これが今後開発や運用につながっていくことで、非常に良い循環をまだ持続していると思っております。

それから、開発・製品販売が7.5パーセント増で非常に高かったのですが、先ほど申しましたように証券業向け、あるいは銀行業向けのSIが非常に活況だったことの裏返しです。運用につきましては、非常に安定的に推移しています。

2020年3⽉期決算について 連結P/Lハイライト

P/Lのハイライトですが、1点だけ申します。先ほど来申していますように、営業利益率が非常に高く伸びました。この1.5ポイント伸びた内訳を見ますと、売上総利益率が1.3ポイント伸びているのが、大きな要因になっています。

これだけ粗利が改善しているのは、生産性の向上、それから昨年度は、引き続き不採算の大型案件がなかったこともございまして、プロジェクト全体の採算性が上がっていることが、この営業利益率に大きく寄与していることを示しているかと思います。

2020年3⽉期決算について 連結P/Lハイライト 続き

投資有価証券売却益はリクルート株と、先ほどご説明しました。減損損失が23億円ほどございますが、これはコロナの影響を受けまして、ボストンのカッター社ののれんの残高を、14億円ほど減損しております。

それから同じく、米国のブライアリーのダラス拠点の固定資産の部分も減損して、約23億円となっています。これはいずれも、コロナの影響で業績の悪化が見込まれることが背景にございます。

2020年3⽉期決算について 決算のポイント

決算のポイントは、スライドにございますように、売上、それから営業利益についても、非常に好調だったということです。

とくにこの1年は、金融ビジネスプラットフォームが大きく拡大していることが、全体の決算に大きく寄与している。それからコンサルティング産業系DXについても着実に拡大しています。

価値共創の取り組み サステナビリティ経営と⽬指す姿

今般の中期経営計画から、サステナビリティ経営ということで、いままでの財務目標に加えて、価値共創を通じた社会課題の解決、CSVへの取り組みという枠組みも、中期経営計画に導入しております。

価値共創の取り組み 重要指標

これにつきましては、定量的な指標で四半期ごとにモニタリングしております。開示可能なものだけ数字を入れておりますが、ここに書いてあるような代表的なKPIでモニタリングしています。

今年はこういったことを始めた初年度になります。これからこのKPIについては、こういったかたちでしっかりと開示してまいりたいと思っております。

価値共創の取り組み (ご参考) 2020年3⽉期 取り組み状況

今日はご説明しませんが、スライドにこの1年間でどういう実績があったかを整理しております。

新型コロナウイルスの影響と2021年3⽉期業績⾒通し セグメント別外部受注残⾼

さて、昨年度は非常に好調なかたちで推移しましたが、これから先は今年度の業績見通しについてお話します。新型コロナウイルスの影響が濃厚に出ておりますので、このあたりを踏まえて私どもがどう考えているかというご説明になります。

まず、今年度の業績予想に入る前に、足元の受注残高を確認しておきたいと思います。いつもみなさまにお示ししている、3月期末の受注残高を示しております。そのうち今期に売上が反映されるものも、この表のなかに書かれております。

これで見ますと、これはもう既に契約が入って売上が確定しているものと理解していただきたいのですが、コンサルティングは、昨年比で21パーセント、非常に需要は旺盛だということが示されています。

金融ITソリューションについても6.8パーセントと、大変好調です。ただしこの約105億円の増額幅のうち、50億円程度はNSテックを昨年グループ会社に連結した寄与分が入っております。その部分を除くと、50億円強という水準になるかと思います。

産業ITソリューションはマイナス1.6パーセントで、若干下目に出てます。ここは海外の部分が非常に大きく効いておりますので、国内の受注残高で言いますと、ほぼ昨年と今年でトントンという水準です。

IT基盤サービスは、引き続き好調です。やはりコンサルティング、IT基盤サービスの2つのセグメントについては、私どもにとって大きな受注機会があるということが言えるかと思います。

新型コロナウイルスの影響と2021年3⽉期業績⾒通し セグメント別外部受注残⾼ (国内/海外別)

スライドは国内と海外に分けたものですので、先ほどのご説明と重複するのでここは割愛いたします。

受注残高の話をしましたが、これからコロナの影響でだいぶ業績にも下振れの圧力がかかってくるかと思います。

ここでみなさんと確認したいのは、コロナの影響がなければ、これだけマーケットには旺盛な需要がある、ということが、この受注残高からも確認できることです。

どれだけ早くコロナが収束するか次第ですが、早く収束することがもしあれば、今年はここにある旺盛な需要が、後半になって出てくる可能性がある、という期待を持たせる。そういう数字をお示ししています。

新型コロナウイルスの影響と2021年3⽉期業績⾒通し 予想の前提および業績への影響

さて、次は今期の業績予想の数字の具体的な説明に入りますが、その前に、予想の前提をどう考えているかをご説明いたします。

私どもの予想の前提は、新型コロナウイルスの感染者数の増加が、夏頃、つまり2020年7月から8月くらいにかけて収束していく、ということです。少なくとも2桁台の前半あるいは、場合によっては1桁、そこまで日々の新規の感染者増加が収まっていくということを、まずは想定しています。

企業活動は秋口、9月くらいから本格的に動き出す。治療薬やワクチンがどの程度の早さで出てくるかにもよりますが、年末年始、今期の第4四半期ぐらいには、正常化に向かっているのではないかという前提です。

そうしますと、当社業績への影響はどうかということですが、上期を中心に受注活動にはそれなりに影響が出る。ただ、下期も前半は、第3四半期くらいは出るかもしれないが、年明けぐらいには正常化に進む前提になるわけです。

過去、リーマンショックの時と経験を振り返りますと、コンサルティングは私どもの事業のなかでは1番影響を受けやすいと思っています。

先ほど、いま確定している受注残高は、コンサルティングは非常に昨年に比べても高いと申しましたが、5月以降の受注活動においては、とくに民間分野を中心に停滞することが予想されます。

ただ今回のコロナ問題という事案は、パラダイムシフトを伴っていることが、リーマンショックの時と大きな違いです。

コロナが収まった後、ポストコロナにどういう経営、ビジネスになっているか、そのコンサルティングに関連する新たな需要も一方で生み出されています。

収束がある程度見えてくれば比較的早く、コンサルティングは事業、受注活動が持ち直すのではないかと想定しております。

開発・製品販売についてです。金融系は今年については、既存のプロジェクトがほぼスケジュールが埋まっておりますので、さほど大きな影響は受けない。

ただ、後でご説明しますが、保険は運用の部分がそれほど厚くなく、新しい新規の案件をSIでとってくるというビジネスになっております。そのため、新規SIの営業はやはり影響を受けるということで、金融のなかでも、保険に対して影響が出ることが予想されます。

産業系についてですが、これもやはりとくにSIの部分。流通は運用が分厚くあるのですが、製造サービスのお客様は、新規の案件に影響があるかもしれないと思っています。現状で見る限り、逆に産業のお客様は、ECであるとか、新しく非対面チャネルに投資していくような動きもございます。

新規案件全般に影響は受けるのですが、もし私どもの想定どおりで秋口ぐらいから企業活動が正常化に向かっていけば、下期、とくに年明け以降、収益が回復していくのではないかと見立てております。

運用サービスについては、リーマンショックの時もそうでしたが、非常に安定感があります。私どもの売上は、運用と保守の部分で6割ぐらいの売上高の益を占めておりますが、この6割の売上についてはほぼ影響が出ない、あったとしても非常に軽微ではないかと、そう見立てております。

海外ですが、日本以上のロックダウンということで、いま劇的な措置がとられていますので、この第1四半期、4月から6月については、受注がかなり大きく下振れするのではないかと思っております。

夏場以降、ロックダウンが解除されてくれば、海外の事業の場合はコスト抑制、とくにレイオフであるとか一時帰休をいまもかなり実施しておりますので、収益については安定に向かうのではないかと考えております。

新型コロナウイルスの影響と2021年3⽉期業績⾒通し セグメント別外部売上⾼ 業績予想参考値

結果としてどういうことか、ですが、先ほど申しましたようにコンサルティングは影響を受けやすいということで、昨年比で25億円、6.7パーセントの減収と考えています。

金融ITソリューションで、証券業向けが逆に増収になっています。これは先ほど申しましたように、「STAR」導入はスケジュールどおり進んでまいりますし、NSテックの連結がフルに効いてくることもあります。この部分でNSテックの連結効果は80億円ぐらいございますので、122億円の増収と予想しております。

保険業につきましては、先ほど申しましたように、これからの新規のSIの営業に影響が出るかもしれない。それから昨年はダイレクト損保の基幹の刷新で、開発がピークだったということもあります。それが1巡することによって、こういったかたちで減収を予想しております。

産業ITソリューションは、ほぼ前期並みと予想しております。受注に対していろいろ影響は出るかと思いますが、流通業は運用が非常に分厚いということもございます。

それから、コロナが夏ぐらいまでに収まるということを前提にすれば、いまECであるとか、そういったところへのプラスの投資も、お客様からはかなりご相談いただいていますので、落ち込みはそれほど低くはないと考えております。

IT基盤サービスについては、9.8パーセントです。これはテレワーク需要に伴って逆にデジタルワークプレイスという私どもの事業については、追い風が吹くのではないかと期待しておりまして、こういったかたちの増収と考えております。

新型コロナウイルスの影響と2021年3⽉期業績⾒通し サービス別外部売上⾼ 業績予想参考値

サービス別にしたものですが、ご覧いただくとわかりますが、開発・製品販売は、とくに金融系を中心に3月末までに積み上げた受注はかなりございますので、そういった意味では影響はそんなに出ないと。

産業ITソリューションは、業種によってはやはり案件の先送りや縮小などがありますから若干厳しめに見ておりますが、全体としては3.9パーセントで、安定しているのではないかと思っています。

運用サービスについても、比較的安定した売上が考えられるのではないかということです。

新型コロナウイルスの影響と2021年3⽉期業績⾒通し 通期業績予想

通期の業績予想ですが、売上が5,400億円になります。先ほど申しましたように、NSテックの連結の効果がフルに80億円ぐらい効いてきますから、その部分を除いて考えますと、前期比並みプラスアルファの水準です。利益についても、同じような水準を考えています。

期末の配当につきましては、前期末17円と2円増配しておりますが、17円を1年間維持しようと考えておりますので、30円。これで配当性向を計算しますと34.8パーセントとなります。

新型コロナウイルスの影響と2021年3⽉期業績⾒通し ⼀⽅、コロナ禍によるパラダイムシフトが新たな事業機会を⽣み出す可能性もある

これは参考までですが、先ほど申しましたように、今回のコロナ問題によるパラダイムシフトが、新しい需要機会、事業機会を生み出す可能性もあるということで、いま私どものところにご相談が寄せられている声として、大きく2つございます。

事業継続では、今回のテレワークを定着させていくためのさらなるデジタルへの投資であるとか。無人レジのような、非接触型のサービスを新たに導入するであるとか。とくに中国を意識しての話だと思いますが、グローバルサプライチェーンの再構築といったテーマであるとか。

ビジネスモデルのさらなるデジタル変革では、ECビジネスの強化。これをやることで、在庫をリアルとECで一元管理していくために、もう1段サプライチェーンの周辺に投資をする。

あるいは、コールセンターがもういま大変ひっ迫していますので、コールセンターへのAI導入のような高度化。物流ももうかなりひっ迫してしまっていますので、アルゴリズムを活用した最適配送の新しい基幹システムの構築。

こういった案件が、いま動こうとしております。ECビジネスに関連するところでは、とくに産業系で、こういう需要がこれから出てくるだろうと思っています。

それからAs a Serviceモデルへの転換ということで、とくにサブスクリプションへの移行というテーマもございます。金融であれば、いよいよ非対面チャネルに対して本格的に投資していくという需要も、ご相談も受けております。

私どもとしては、パラダイムシフトを先取りした提案活動を、一層強化していかなければならないと思っているところです。

新型コロナウイルスの影響と2021年3⽉期業績⾒通し 通期業績予想および中計⽬標

売上高6,700億円以上、海外売上高1,000億円、営業利益1,000億円という中期計画の数字については、変更する予定はございません。

先ほど申しましたように、今年は830億円という営業利益の見込みですが、これは当初の中期計画の2年目を上回る水準ですので、計画どおり1,000億円に向けて進めることができるだろうと思っています。

海外については、ちょっとこの2年間、足踏みをいたしました。今年は500億円ぐらいの水準かなと思っておりますが、これも1,000億円に向けて努力していきたいということです。

最近の取り組み 中期経営計画(2019-2022)の成⻑戦略(再掲)

最後に少し定性的な内容になりますが、最近の取り組みをいくつかご紹介したいと思います。いまお示ししているページが、中期計画の成長戦略の、全体の重要施策を並べたものです。今日はこのなかから、赤い太枠で囲んである3つについてご紹介したいと思います。

最近の取り組み DX戦略 DXビジネスの創出と拡⼤

まずはDXについてです。2020年4月1日付けで、私どものDXの戦略子会社NRIデジタルが、前期比約3倍の200名体制と、人員を大幅に強化いたしました。

先ほど申しましたように、コロナ禍はございますが、これがパラダイムシフトを引き起こして、一気にDXは進んでいく、5年10年かけるようなものが1年で起こってしまうというようなことも想定されます。

コンサルティング、アプリケーション、それからインフラ。このエンジニアが一緒になって、一体となって、素早く提案ができる。組織の壁を気にせずに自由にできるというのが、このNRIデジタルの発足の趣旨でございます。この会社の強みをより活かしていくということで、大幅に増員を図っております。

先ほど申しましたように、デジタルIPの獲得はDXをさらに収益の高いビジネスにしていくために必要です。デジタルIPと書いてありますが、2通りございます。1つは高品質、高機能、生産性の向上のために、いろいろな製品を、標準化や部品化する。生産性の向上に、いま非常に大きく寄与しています。

それから高付加価値なサービスを提供するという意味では、アナリティクスに基づくさまざまなアルゴリズムの開発。この2つのアプローチで、いまデジタルIPをつくり込む、武器をつくるということをしているのですが、これをさらに進めていく。

DX関連売上ですが、2020年3月期は3,080億円で、58パーセントという数字になっております。1ポイント上昇していますが、着実にこの領域は拡大しているということです。

最近の取り組み ビジネスプラットフォーム戦略 だいこう証券ビジネスの完全⼦会社化について

それから2つ目は、ビジネスプラットフォーム戦略の取り組みです。これは本日開示をいたしましたが、私どもが51パーセントの株式を保有しているだいこう証券ビジネスを、100パーセント取得しまして、完全子会社化するという発表をしております。

これからTOBを実施していくことになります。私どもはいままで、ITのアウトソースを、ASPを中心にやっていたわけですが、これに業務のBPOも一体化し、金融プラットフォーム事業としてさらに拡大していく。

いままでのITOだけしか提供していないお客様に対しては、BPOを兼ね備えて一体として提供していくことで、さらにメインを抑えていくということもございますし、だいこう証券ビジネスが持っているBPOのお客様に対しては、私どものITサービスを提供するという相乗効果を、1つは狙っています。

それから2つ目は、だいこう証券ビジネスを完全子会社化することで、私どものITのテクノロジーをこの会社にどんどん移植し、より生産性の高いBPO用のプロセスを作り上げる。

あるいはいままでなかったような、バックオフィスだけではなくて、ミドル・フロントオフィスに関連する新しいデジタルビジネスを使ったサービスをこの会社が開発していく。これを一緒にやっていきたいということで、100パーセントの完全子会社にすると発表しております。

最近の取り組み グローバル戦略 豪州事業基盤のさらなる拡⼤

最後に、グローバルにつきまして1点、ご紹介いたします。これも今日、先さまとの売買契約ができたということで開示しておりますが、オーストラリアのAUSIEXという会社の取得を発表しております。

この会社は、ウエルスマネジメントをするプレイヤー向けの、バックオフィスの業務サービスを提供しています。いまは欧州のメガバンク、CBA銀行傘下の証券会社のバックオフィスの一部門なわけですが、その部門を買収することになります。取得後はここに書いてあるとおりです。

私どもはいまASGという、産業分野、あるいはそのアウトソーシング分野での事業をオーストラリアで展開しております。これに金融事業を加えまして、よりオーストラリアでの事業基盤を強固にしていく目的での買収でございます。

ただ1点、下に書いてありますが、株式譲渡が実際に行われるのは2021年6月末までということです。この会社は、いまはCommonwealth Bankの一員、証券会社の一部門ですので、この事業を切り出して、本社機能を新たに作らなければいけない。その準備期間がございます。

その準備は、このCBA銀行が中心となった企業グループにやっていただくわけですが、準備期間に1年程度掛かるということで、実際にその株式譲渡が行なわれるのは来年6月末までのどこかのタイミングになるということです。私からは以上です。

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