新田ゼラチン、通期はペプチドの価格改定効果やゼラチンの生産性向上などで営業利益は88.2%増加

2020年7月17日に公開された、新田ゼラチン株式会社2020年3月期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:新田ゼラチン株式会社 代表取締役社長 尾形浩一 氏

会社概要

尾形浩一氏:みなさま、こんにちは。新田ゼラチンの尾形でございます。新型コロナウイルスの感染拡大によるインドでのロックダウンの影響で、インドの当社連結子会社の決算に遅延が生じたため、決算発表も大幅に遅れ、この時期となりました。本日は、2020年3月期の決算の内容と2021年3月期の業績予想についてご報告します。

続きを読む

当社の概要に大きな変化はありませんが、ニッタケーシングズ、ニッタケーシングズ(カナダ)の事業譲渡によって、連結従業員が200名ほど減少しています。

1.2020年3月期実績

それではまず2020年3月期の実績についてご報告させていただきます。

業績推移①:売上高

連結の売上高は345億4,300万円で、2019年3月期に比べて19億2,100万円の減収となりました。詳しい内容は次のスライドでご説明しますが、第3四半期よりケーシングの売上が除外されたことが大きな要因です。

連結売上高増減要因(前年同期比)

スライド6は、売上高の増減を示したものです。北米では、カプセル用のゼラチンの売上が堅調に推移したことと、コラーゲンペプチドの販売が大きく伸びたことから、8億5,000万円の増収となりました。インドでもゼラチンの販売が堅調で増収となりましたが、中国を含むアジアでは若干の減収となりました。

国内では、コラーゲンペプチドの価格改定とゼラチンの堅調な需要がプラスに働きましたが、接着剤が末端顧客への販売からボスティック・ニッタへのOEM販売となり、販売形態が変わったことから売上高は減少しました。ケーシングは第3四半期より連結決算から外れたため、24億円余りの減収となっています。

業績推移②:営業利益

営業利益の結果です。売上高は減少しましたが、ペプチドの価格改定効果や生産性向上によるコストダウン効果で、営業利益は88.2パーセントの増益で16億9,000万円となりました。

連結営業利益増減要因(前年同期比)

営業利益の地域別の増減を表しています。ケーシングではマイナスとなっていますが、売上が伸びたことや価格改定の効果から他はすべて増益となっています。特に日本では、コラーゲンペプチドの価格改定が年間を通して寄与したことと、ゼラチン、ペプチドの販売が堅調であったことから、4億3,000万円の増益となりました。

業績推移③:経常利益

経常利益は17億9,800万円で、前年同期の倍以上の増益となりました。営業利益が大きく増えたことに加え、持分法適用会社からの投資利益も寄与しています。

新型コロナウイルス感染拡大の影響について

ここで、2020年3月期決算への新型コロナウイルス感染拡大の影響について触れておきたいと思います。日本においては、海外からの入国規制、外出の自粛、飲食店の営業自粛などが相次いで実施されましたが、3月までの影響は軽微でした。

北米においては、医薬用カプセルの需要が堅調に推移し、外出抑制の影響でグミゼリーなどの家庭で食べる菓子の需要も伸びたため、ゼラチンの売上は比較的堅調でした。インドでは早々にロックダウンが実施されましたが、ゼラチンは医薬品に使われる 素材のため、継続生産が認められています。アジア諸国では美容の需要が減少したことから、コラーゲンペプチドの販売が若干減少しました。

全体では、2020年3月期決算への影響は軽微でしたが、進行年度である2021年3月期は景気の悪化による影響を受けるものと予想しています。具体的には、後ほどご説明します。

ニッタケーシングズInc.(米)、ニッタケーシングズ(カナダ)Inc.の全株式を譲渡

すでに2019年12月に開示のとおり、2020年3月期にケーシング事業の事業譲渡を行ないました。当社は1996年に買収によりケーシング事業を開始し、その後北米を中心に事業を展開してきました。価格競争力を高めるために高速生産設備の導入を図り、差別化新製品の開発、技術系の駐在員の派遣などを積極的に行なってきましたが、近年、大手競合メーカーが北米での攻勢を強め、価格競争が激化し、収益性が著しく悪化していました。このため、事業継続にはさらなる大型投資が必要になっていました。

このような状況の中、ゼラチン事業、コラーゲンペプチド事業とのシナジー効果も少ないため、同業他社へ譲渡することが企業価値を高める余地があると判断し、大手ケーシングメーカーであるViscofan社へ事業譲渡しました。

特別損失(2,796百万円)の主要因について

ケーシング事業の売却については、過年度からの投資した簿価と売却額との差額、27億9,000万円の損失を計上しました。

業績推移④:親会社株主に帰属する当期純損失

ケーシング事業の売却損を特別損失として計上したことから、親会社株主に帰属する当期純損失は6億9,400万円となりました。

販売区分

ここからは各販売区分ごとの業績についてご説明します。当社の事業セグメントはコラーゲン事業の1セグメントですが、販売区分別に食品用途のフードソリューション、健康、美容、医療用途のヘルスサポート、その他のスペシャリティーズの3つの用途に分けています。

販売区分別 売上

販売区分別の売上を前年度と比較すると、フードソリューションとスペシャリティーズでマイナス、ヘルスサポートではプラスとなっています。

フードソリューション

フードソリューションにおいては、日本ではグミキャンディーやコンビニ総菜用のゼラチンの売上が増加しました。北米でもグミ用ゼラチンは堅調でしたが、ケーシングの売上が第3四半期からなくなったため、前年比ではマイナス20億円余りとなりました。

ヘルスサポート

ヘルスサポートでは、美容用途の魚コラーゲンペプチドの価格改定によって売上が増加しましたが、国内のカプセル用ゼラチンの売上は減少しました。一方、北米ではコラーゲンペプチドの販売が伸び、ゼラチンも堅調に推移したため、トータルでは8億5,700万円の増収となりました。

スペシャリティーズ

スペシャリティーズは先ほどお伝えしたように、接着剤の販売形態が変わったことに加え、写真用ゼラチンの売上が伸び悩んだため、7億1,100万円の減収となりました。

貸借対照表 (B/S)

貸借対照表です。大きく差額が出ている項目が目立ちますが、ほとんどはニッタケーシングズおよびニッタケーシングズ(カナダ)の事業譲渡に起因するものです。その結果、資産合計は41億6,400万円減少の335億5,100万円となりました。

キャッシュ・フロー計算書 (C/F)

キャッシュ・フロー計算書はこちらです。営業活動によるキャッシュ・フローはさまざまな増減がありますが、主に仕入債務が減少し、営業活動によるキャッシュ・フローの収入が昨年より減少しています。

投資活動によるキャッシュ・フローについて、昨年度は接着剤事業の売却益があったため、設備投資金額に比べて金額が小さくなっています。2020年3月期は支払いの時期ずれもあり、設備投資金額が少なくなっています。財務活動によるキャッシュ・フローの支出が増えたのは、主に海外子会社の借入金の返済が進んだことによるものです。

株式分布変化

2020年3月末時点では株式数には変化はなく、個人株主の株数の割合、株主数が若干増加しています。株主数はトータル1万人を超えています。

自己株式取得について

こちらも開示のとおりですが、新型コロナウイルスの感染拡大による経営環境の大きな変化に対応し、株式1株あたりの価値の向上を目指し、今年の4月から5月に自社株の取得を実行しました。結果として、平均価格668円で約30万株を総額約2億円で取得しました。

2.2021年3月期業績見通し

2021年3月期の業績見込みについてご説明します。

外部環境の認識

2021年3月期の業績に最も大きな影響を及ぼす外部環境の変化は、新型コロナウイルスの感染状況であるのは間違いありません。日本も完全な終息とはとても言えない状況ですが、世界的にも感染が拡大している地域は多く、先行きは見通せません。

ここ数年のインバウンド需要を支えてきた海外からの旅行者が元に戻るにはかなりの時間がかかると思われます。新しい生活様式が定着することで、働き方や生活の価値観が大きく変化すると思います。今までとは異なる食のニーズや健康への関心の高まりも予想されます。

外部環境の認識 日本

国内では、テイクアウトや宅配の需要が急激に増加しています。家庭内での調理の機会も増え、冷凍食品や手作り菓子用の素材の売上が伸びています。一方で、外食産業や宿泊・観光業へのダメージは非常に大きく、簡単には回復しないと考えられます。高齢者を中心に運動不足による体力の衰えが問題になり、運動機能の回復、健康維持への関心が高まっています。このような背景から、機能性表示食品のような健康に寄与する食品の市場が拡大することが期待されます。

外部環境の認識 海外

同様の傾向は海外でも見られます。厳しい外出規制の中で家庭での食品の消費が増え、医薬用、健康食品、サプリメント用のカプセル向けゼラチンの需要は依然堅調です。中国を含むアジアではコラーゲンペプチドの需要が回復してきており、とくに機能性データのしっかりした製品を求める傾向にあります。このような中、グローバル企業でもコラーゲンペプチドへの需要が増えています。

今後の戦略課題

以上のような我々を取り巻く環境から、2021年3月期はスライドにお示ししたような戦略課題を設定しました。フードソリューションでは、日本では業務用の中でもテイクアウトや宅配食ニーズに対応した製品に注力します。昨年から取り組んでいる和菓子市場向けの新製品は積極的に拡販を図ります。家庭での需要に適した新製品についても製品化に向けて検討中です。アジアでは、ベトナムを中心にデザート用や乳製品向けの食品素材を拡販します。

ヘルスサポートでは、エビデンスのしっかりした機能性食品用のコラーゲンペプチドを積極的に販売していくとともに、これも引き続き取り組んでいるスポーツニュートリション市場での需要を喚起するために、効果的な広報活動を行ないます。海外ではまだコラーゲンペプチドの機能性が正しく理解されていない地域が多いため、啓蒙活動に力を入れるとともにグローバルでの拡販を図ります。

バイオメディカルでは、be Matrix製品の認知が上がってきましたので、確実に売り上げに結び付けていきたいと考えています。

2021年3月期予想

2021年3月期の売上については、ケーシングの売上がなくなったことと、接着剤の売上が期中になくなることから、2020年3月期からの減収は見込んでいましたが、新型コロナウイルス感染拡大による市場の冷え込みも考慮し、315億円としました。営業利益、経常利益についても、売上の減少や原料の価格上昇が見込まれることから、それぞれ13億円、12億円としました。当期純利益については、特別損失、特別利益は今のところ想定していませんので、8億円としました。

販売区分別売上予想

フードソリューションはケーシングの減収が大きく、27億円弱の減収となります。 ヘルスサポートは、コラーゲンペプチドの積極的な拡販とカプセル用ゼラチンの世界的な需要増から9億3,000万円の増収を見込んでいます。スペシャリティーズでは、接着剤の売上減と写真用ゼラチンの需要減を見込んでいます。

設備投資

設備投資については、2020年3月期からの支払いの時期ずれも含め、17億円を予定しています。主に生産性向上のための設備です。

連結 売上高、営業利益 推移

連結売上高と連結営業利益の推移を示しました。2021年3月期は現在の中期経営計画の3年目、かつ最終年度です。営業利益に関しては、2年目までの順調な伸びを受けて中期経営計画の目標達成を目論んでいましたが、新型コロナウイルスの影響で残念ながら見込みとしては減益とせざるを得ない状況です。

じゅん散歩[日本橋 小舟長]

トピックスをいくつかご紹介します。今年の1月に、日本橋にある当社の東京支店がテレビ朝日の番組の取材を受けました。オリンピックが予定されていた年ですので、アーティスティックスイミングで頭髪を固めて形作るために当社のゼラチンが使われていることが紹介されました。

小谷実可子のKEEP DREAMING

その放送を観ていたアーティスティックスイミングのオリンピック選手でメダリストの小谷実可子さんから連絡があり、彼女のラジオ番組に当社社員が出演しました。 最初にゼラチンを使った経緯などの興味深いお話が披露され、当社のゼラチン、コラーゲン製品もご紹介いただきました。

愛媛FCレディースとスポンサー契約を締結

今年の3月から、サッカー「なでしこリーグ」1部に所属する「愛媛FCレディース」とのスポンサー契約を結びました。資金支援とともに当社のコラーゲンペプチドを提供して、活動中やリハビリ中の体のケアに役立ててもらっています。新型コロナウイルスの感染拡大によって延期されていた「なでしこリーグ」も7月18日に開幕します。

当社としては、コラーゲンペプチドをスポーツニュートリション市場で今まで以上に使ってもらえるように、がんばるアスリートを今後も積極的に支援していきます。

Wellnex(ウェルネックス)肌。(マル)機能性表示食品の届出が受理

当社より、消費者庁に機能性表示食品の届出をしておりました「Wellnex(ウェルネックス)肌。(マル)」が受理されました。本品は、コラーゲンペプチドの肌の水分と肌弾力の低下緩和を訴求する商品です。今後の発売に向けて準備を進めてまいります。以上でご説明を終了いたします。ご清聴ありがとうございました。

記事提供:ログミーファイナンス

参考記事

ニュースレター

メールアドレスをご登録いただくと、毎朝LIMOの更新情報をお届けいたします。