三菱ケミカルHD、ケミカルズセグメントの市況下落等が大きく影響して通期コア営業利益は38%減

2020年5月13日に行なわれた、三菱ケミカルホールディングス株式会社2020年3月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社三菱ケミカルホールディングス 取締役 執行役常務 最高財務責任者 伊達 英文 氏

連結損益計算書

伊達英文氏:伊達でございます。4ページをご覧ください。連結損益計算書です。為替レートについては109円、対前期2パーセントほどの円高でした。ナフサ単価は4万2,900円で対前期13パーセント安となっています。売上収益は3兆5,805億円でした。対前期2,598億円の減収となっています。こちらは為替円高の影響で約500億円のマイナス、市況の下落等で1,800億円のマイナスです。

続きを読む

コア営業利益は1,948億円で、対前期1,193億円ほどの減益となりました。こちらについては後ほどご説明します。非経常項目についても後ほどご説明しますが、大きなものとして、カプセル製剤ののれんの減損や、第4四半期ではVLPワクチンの無形資産の減損がありました。

営業利益はIFRSで1,443億円となっています。金融収益・費用については、受取配当金や為替差損益の悪化以外に、大陽日酸のM&Aによる利息のネットの増加で74億円ほどマイナスがあります。

税引前利益は1,220億円となっています。法人所得は少し税率が高くなり、523億円です。当然のことながら前期より減っているのですが、税率自体が40パーセントを超えています。1つの要因としては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、今期及び来期の収益が非常に落ち込むということで、2011年度の東日本大震災の時に計上した欠損金の使用ができなくなることも見込み、繰延税金資産の取崩しを行なったことがあります。

また、先ほどお伝えしたカプセルの減損は税効果が取れませんので、税率のアップにつながっています。

非継続事業からの当期利益は、第1四半期からご説明しています診断検査薬事業の譲渡、PHCホールディングスへの移管による益です。当社のボトムラインである親会社の所有者に帰属する当期利益は541億円で、対前期68パーセントの減益となりました。

事業セグメント別 売上収益及びコア営業利益

5ページは売上収益及びコア営業利益の推移を示しています。1点だけ、受払差を欄外に示していますが、第1四半期、第2四半期、第3四半期、第4四半期別には示していません。第4四半期、2019年3月期については受払差がマイナスですが、今期についてはプラスであり、大きな差が出ています。合計として、第4四半期だけで122億円プラスが出ています。機能化学でプラス8億円、石化で120億円、炭素でマイナス6億円というところです。

コア営業利益 (全社)増減要因

6ページはコア営業利益(全社)増減要因です。1,193億円と、残念ながら減益となりました。売買差については、ケミカルズのMMA及び炭素、石化の市況によるものが大きく、808億円のマイナスです。それ以外には、ヘルスケアで昨年10月の薬価改定を受け、スプレッドの圧縮がありました。数量差は400億円のマイナスです。

機能商品は、半導体が期を通じて低調であったことと、自動車が後半にかけて落ち込んできたことがあります。ケミカルズについては、MMA及び炭素の数量の減少がありました。産業ガスは、昨年の下期に欧州・米国の事業の買収をした効果が200億円弱表れています。ヘルスケアの448億円のマイナスについては、ジレニアのロイヤリティの収益認識の停止といった影響です。

コスト削減については、当期初予定をほぼ達成しました。その他差については、受払差は年間で31億円のマイナス、持分法投資損益のマイナス134億円等々がありました。産業ガスは、前期M&Aの取引費用が発生したことなどにより37億円となりました。

機能商品セグメントの業績概要

機能商品セグメントの業績概要についてご説明します。機能部材については、減収、微減益でした。第3四半期までの状況とあまり変わっておらず、イオン交換器、水、アクア関係の販売数量が増加しましたが、半導体、自動車用途を中心に、高機能エンジニアリングプラスチック成形部品の販売数量が減少しました。

機能化学も減収減益でした。増益要因としては、定期修理の影響は解消したのですが、フェノール・ポリカーボネートチェーンの市況の下落により減益となってしまいました。なお、新型コロナウイルス感染症の概算への影響額は、自動車等を中心にこのセグメントで3月期に18億円ほど発生したと見込んでいます。

ケミカルズセグメントの業績概要

8ページのケミカルズセグメントです。MMAについては大幅な減収減益でした。市況の下落やスプレッドの圧縮がありました。また、石化も減収減益でした。販売価格の下落が原料価格の低下を上回って発現したことと、受払差の悪化等により、残念ながら赤字となってしまいました。

炭素についても、この第4四半期は非常に厳しい期であり、原料価格の下落に伴ってコークスの大幅な市況下落がありました。またニードルコークスについても、販売数量が出ないといったところがありました。

新型コロナウイルス感染症の概算影響について、MMAは販売数量の大幅な減少がとくに中国において見られました。石化は市況の低下、炭素は数量の減少や市況の低下といったところです。

産業ガスセグメントの業績概要

産業ガスは増収増益でした。買収の効果がしっかりと出ています。

ヘルスケアセグメントの業績概要

ヘルスケアセグメントは先ほどご説明したように、薬価改定影響のマイナス以外にジレニアのロイヤリティ収入の収益認識を中断している影響で大幅に減収減益となりました。

非経常項目

非経常項目です。固定資産除売却損については撤去を進めています。

連結キャッシュ・フロー計算書

12ページの連結キャッシュ・フロー計算書です。実質ベースでお話ししますが、営業活動によるキャッシュ・フローについては、ほぼ期初の目標どおりの数字が出ていきました。収益、利益は非常に下がったわけですが、原料価格の下落に伴い、運転費用が回収側に入ってきたという追い風もあり、期初の目標に近い数字を取ることができました。

一方で、投資活動によるキャッシュ・フローについては、特にブレーキをかけたわけではありませんが、設備投資の進捗が期初想定ほどには届きませんでした。フリー・キャッシュ・フローは2,361億円ほど出ました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、子会社株式追加取得ということで、田辺三菱製薬のTOBが3月で完了しています。こちらで3,981億円ほど使っています。なお、完全子会社化に伴う売渡請求の決済は4月ですので、こちらは2020年度のキャッシュ・フローになります。

連結財政状態計算書

13ページは連結財政状態計算書です。総資産は5兆1,321億円ということで、対前期3月に比べて4,400億円ほど資産が圧縮されました。現預金、手元運用の圧縮で2,000億円、それから営業債権等の原料価格のダウン、販売数量の減などで1,300億円ほど減少しました。また、為替の円高の影響で1,000億円程度のマイナスがありました。

なお、IFRS16号のリース会計の影響で総資産は1,000億円ほど増えているのですが、先ほどお伝えした以外の要因で、例えば減損、上場株式、政策保有株式の評価が下がっているということもあり、トータルでは4,400億円の圧縮となりました。

ネットD/Eレシオは1.79倍で、TOBの時にご説明したような線に沿っています。自己資本比率について、親会社所収者帰属持分利益率は22.8パーセントと1.9パーセントほど減少しました。残念ながら、ROEは4.2パーセントと非常に低い水準に留まっています。

業績予想 連結損益計算書

15ページをご覧ください。今期の業績予想についてご説明します。今期は新型コロナウイルスの影響を、通期で800億円程度マイナスで織り込んでいます。売上収益が3兆3,340億円で2,500億円弱の減収の見込みです。コア営業利益は1,400億円で28パーセントの減益、ボトムラインである親会社の所有者に帰属する当期利益は490億円で、9パーセントの減益を見込んでいます。

なお、上期、下期で見ていただきますと、コア営業利益は上期が250億円、下期が1,150億円というバランスです。ボトムラインは0と490億円であり、下期変調型となっています。

業績予想 事業セグメント別 売上収益及びコア営業利益

16ページ、事業セグメント別の売上収益及びコア営業利益についてです。新型コロナウイルスの影響について若干補足をしますと、先ほど約800億円と言ったのは、785億円のコア営業利益のマイナスであり、上期で699億円、下期で炭素40億円、ヘルスケア46億円の計86億円です。

機能部材については、自動車や設備投資関連、半導体製造装置等も作っています。この設備投資がなかなか進捗しません。また、フラットパネルディスプレイについては、非常に足元堅調ではありますが、やはりサプライチェーンがまだきちんと復旧していませんので、第2四半期にかけてフラットパネルディスプレイ用の部材の生産調整が入るものと見込んでいます。このようなものを含めて168億円です。

機能化学については、スライドに記載のとおり、自動車向けの減販、ポリカーボネートの高値の在庫の影響で30億円ほどマイナスで出ていきました。トータルで128億円ほどマイナスを見込んでいます。

MMAについては、アジアを中心に減販を見ています。石火は159億円で、こちらも市況、受払差、ナフサが2万円前後に落ちていますので、4月以降に大幅にマイナスで出てくるということで、65億円ほどマイナスで見込んでいます。また、自動車向け等の減販も見込んでいます。炭素については、コークス、炭素材も30パーセント程度減販になるのではないかということで、すでに足元生産調整も行なっています。

産業ガスは、昨日発表していますが、第1四半期で産業ガスの減販を15パーセント、第2四半期で10パーセントのマイナスを見込み、合わせて106億円ほどマイナスを見込んでいます。

ヘルスケアについては、RDが進捗しなくなりますので、その分経費が使えなくなるのですが、一方で、みなさまが病院に行きたくなくなって患者数や投与数が減少してしまうということで、その影響を下期を中心に見込んでいます。

配当の予想

17ページは配当の予想です。この3月の配当は12円で、配当予想の修正を4月28日に公表しました。2021年3月期の配当予想については、コロナ禍の収束時期が見通せず、厳しい状況が当面続くと見込まれ、サスティナブルな水準でなくなったというのがこの3月期の認識です。「上期でおそらくボトムラインは0であろう」「下期でなんとか回復してくるであろう」ということで、12円という配当予想にしたわけですが、これを2021年3月期にも適用します。

上期については、ほぼ利益がない状況下で12円です。下期については、配当性向は年間で69.6パーセントですが、半年だけの利益で出すということですので、配当性向としては、半年の利益は40パーセント弱という水準になります。

事業セグメント別 売上収益及びコア営業利益 四半期別推移

参考資料についてご説明します。21ページに四半期別の推移を示しています。第3四半期から第4四半期にかけての動きについてです。まず機能部材については、第3四半期で光学用フィルムが落ち込み始めたのですが、それが33億円のレベルまで落ちてしまいました。一過性のものですが、第4四半期にとある製品の減損が16億円ほど発生しました。また、光学フィルムや包装フィルムに関して、毎年40億円程度マイナスがあります。それ以外にも、新型コロナウイルスの影響で7億円のマイナスであったため、このようなものを戻せば100億円程度の水準です。

機能化学については、第3四半期から第4四半期にかけて新型コロナウイルスの影響で落ち込んでいます。

MMAについては、第4四半期に新型コロナウイルスの影響によるものが29億円ほど入っています。石化は、新型コロナウイルスの影響が22億円、岡山事業所でトラブルがあり20億円弱のマイナスです。また、コア営業利益でユーティリティーの撤去を進めており、20億円程度弱の特殊要因がありました。炭素については、新型コロナウイルスの影響によるものが大きいですが、それ以外にはニードルコークス等の数量が一段と落ちたことがあります。

なお、来年の上期にかけて、この第4四半期は本当に上がっていくのかというところですが、もう一度、機能部材をご覧ください。33億円とお伝えしましたが、これも第4四半期の特殊費用を除けば100億円程度であり、2020年の上期は80億円という予想をしています。

これは、新型コロナウイルスの影響の168億円を減じての数字ですが、新型コロナウイルスの影響がなければ250億円ぐらい出るというところであり、2020年3月期の第1四半期、第2四半期の状況を見ていただいた上で、かつ、ナフサ、原料等が下がっている状況ですので、増益側に効いてくるところもあります。このような水準となっています。

機能化学については、2020年の上期は10億円のマイナスを予想しています。新型コロナウイルスの影響による128億円のマイナスを入れた上での10億円のマイナスですので、だいたい120億円ほどの営業黒字です。これは、この第3四半期、第4四半期のコア営業利益の水準を見ていただければ、だいたいそのような水準であるとご納得いただけるのではないかと思っています。

MMAについては、想定がだいぶ異なっており、2020年度の上期は市況が1,400ドルから1,500ドルに上昇し、下期は1,500ドルから1,800ドルまで上昇していくと見込んでいます。背景として、アセトンがイソプロピルアルコールの原料ということで、消毒液の特需で現在高騰しています。こちらでACH法が競争力を失いつつありますので、こちらで徐々に生産調整が行なわれており、ACH法の競争力の創出とともに、スプレッドも少しずつ上がっていくだろうと見込んでいます。

また、現在PMMAは特需が発生しています。例えば、銀行の窓口等でお客さまとの対面の際の飛沫感染を防ぐといったところでどんどん入っています。

石化は190億円のマイナスであり、新型コロナウイルスの影響で159億円を見込んでいます。また鹿島の定修が上期にありますので、そのようなところを見込めば、だいたい経常的できちんとした数字を入れているとご納得いただけるのではないかと思います。

炭素については、稼働調整をすでに行なっています。新型コロナウイルスの影響39億円をこなした上で10億円の黒字です。第4四半期は輸出の手当等のスプレッドが圧縮された状況であり、なんとかもう少しスプレッドを上げていこうという動きをしています。以上でございます。

記事提供:ログミーファイナンス

参考記事

ニュースレター

メールアドレスをご登録いただくと、毎朝LIMOの更新情報をお届けいたします。