株式市場の振り返り-政策期待などから反発となるが、引けに掛けて上げ幅は縮小
2016年7月27日(水)の東京株式市場は反発となりました。日経平均株価は前日比+1.7%の上昇、TOPIXも+1.1%の上昇で引けています。また、新興株式市場の東証マザーズ総合指数も+0.5%の上昇となりましたが、新興市場は引き続き弱いようです。
日経平均株価は、前日比+143円高で寄り付いた後、前場は16,600円前後で推移しました。しかし、昼休みに景気対策の観測ニュースが報道されると、後場の寄り付きは一時+438円高まで上昇する場面がありました。その後は徐々に上げ幅を縮小し、大引けは+281円高の16,664円で終わっています。
東証1部で上昇したのは1,403銘柄、値下がり457銘柄、変わらず108銘柄でした。東証1部の出来高は22億3,908万株、売買代金は2兆5,343億円(概算)となっています。出来高はまずまず活況でした。
セクター動向と主要銘柄の動き-信越化学工業が大幅高、素材系セクターの好調が目立つ
東証1部で上昇したのは26業種、下落したのは7業種でした。上昇率の上位には、化学や非鉄・金属などの素材系セクターが名を連ねているのが大きな特徴です。また、輸送用機器や機械なども上昇が目立ちました。他方、下落した業種の中には、内需関連業種が多く見られています。
個別銘柄では、前日に決算発表を行った信越化学工業(4063)が大きく値を飛ばし、日本電産(6594)も連日で年初来高値を更新する上昇となりました。通期予想の下方修正を発表したシマノ(7309)は粗い動きの後で小幅高となっています。他には、ファーストリティリング(9983)、資生堂(4911)、村田製作所(6981)、ローム(6963)などが大幅上昇となりました。一方、任天堂(7974)は再び大幅下落となり、伊藤忠商事(8001)が急落となりました。また、しまむら(8227)や花王(4452)も小幅下落となっています。
東証マザーズ市場の動き-総合指数は小幅反発するものの、昨年9月以来の薄商い
東証マザーズ総合指数は、反発となったものの、大引けに掛けて上げ幅を縮小して終わりました。大型株市場に比べると、力強さに欠けている印象は拭えません。また、出来高は前日より微増の4,109万株となった一方で、売買代金は小幅減少の575億円となりました。売買代金は、2015年9月以来の薄商いです。新興市場の状況は、かなり深刻と見ていいでしょう。なお、値上がりが110銘柄、値下がりは108銘柄、変わらず10銘柄でした。
個別銘柄では、そーせいグループ(4565)は小幅安となりましたが、逆にCYBERDYNE(7779)は久々の大幅上昇となり、ミクシィ(2121)も値を上げました。しかし、いずれも薄商いの中での動きに止まっています。その他では、Hamee(3134)がストップ安となり、グローバルウェイ(3936)がストップ高になるなど、一部の銘柄では新興市場らしい値動きが見られました。まだまだ散発的な動きに止まっていますが、数少ない良いニュースとして捉えてもいいのではないでしょうか。早く閑散相場を打破するような材料が欲しいところです。
本日(7月28日)の注目点-業績相場への動きが加速する可能性、好決算銘柄に注目
27日は政府の景気対策や、日銀の追加金融緩和に対する思惑等で株式相場が上昇しました。事前の期待値が上がることは好ましくありませんが、一方で、相場は着実に業績相場の様相を強めています。先週末に決算発表を行った日本電産が3日続伸となり年初来高値を更新したことに加え、前日に決算発表を行った信越化学工業は、ストップ高が視野に入る大幅高となりました。信越化学工業のような安定大型株が+15%近い上昇となるのは非常に珍しい事です。
28日(木)もこうした業績相場への動きが強まりそうです。相場の地合いは悪くないため、減益決算や、下方修正が行われても、それを“一旦、悪材料出尽くし”と前向きに評価する流れが出ています。引き続き電機セクターに加え、27日も上昇が目立った素材関連セクターにも注目したいと思います。
一方の新興市場は、残念ながら未だ底が見えません。利益確定売り、換金売りのピークは越えたと思われますが、買い手が登場しないと話になりません。27日の売買代金はついに600億円を割り込んでおり、このような閑散相場では、わざわざ冒険する必要はなく、静観することが望ましいと言えましょう。
青山 諭志