若年層の銀行を見る目は年々厳しくなるばかり

こうした銀行業界を見る若者の目は厳しそうです。今年は、コロナ禍で例年とは様変わりした就職活動ですが、いくつかの就活人気企業ランキングを見ると、その上位に銀行の名前を見ることはほとんどできません。

「昭和」はもちろんのこと、「平成」という時代が始まって10年間くらいまでは、上位10社のうち半分が銀行(主に当時の都市銀行)だったことも珍しくありませんでした。

現在は、銀行もリストラの一環で新卒採用を大きく絞り込んでいることに加え、学生側も銀行の将来性の低下を敏感に感じ取っているものと思われます。少なくとも、銀行が花形企業でなくなったことは間違いないようです。

銀行に求められるのは初心に帰った地域社会への密接なサービスだが…

こうした状況で「もう(従来の)銀行なんか不要だ」という意見が、とりわけ、若年世代を中心に増大してきました。背景には、ネットバンキングの普及や、いわゆるキャッシュレス時代の到来もあるのでしょう。

しかしながら、こんな状況に陥っても、銀行が社会経済活動に一定の大きな役割を果たしていることは事実であり、即座に別の何かに取って代わられるものではないと考えられます。

銀行が今後取るべき行動は、大企業向けサービスの強化ではなく、個人・中小企業や地域社会に対して密接なサービスを行い、初心に帰ることではないでしょうか。ネットが普及しても、初めて接する金融機関が銀行となるケースは今後も続く可能性が高いと思われます。