2020年5月12日に行なわれた、本田技研工業株式会社2020年3月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:本田技研工業株式会社 代表取締役社長 八郷隆弘 氏\n本田技研工業株式会社 代表取締役副社長 倉石誠司 氏\n本田技研工業株式会社 専務取締役 竹内弘平 氏

2019年度 決算説明会

八郷隆弘氏:みなさまこんにちは。本日はご多忙のなか、お時間をいただき誠にありがとうございます。決算説明に先立ちまして、私からひと言ご挨拶させていただきます。

はじめに、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになった世界中のすべての方に哀悼の意を表するとともに、罹患された方、ご家族の方に心よりお見舞いを申し上げます。

また、最前線の現場で日々困難に立ち向かわれている医療関係者のみなさま、交通機関やスーパーなど私たちの生活を支える現場で働き続けていらっしゃるみなさまにも、心から感謝を申し上げたいと思います。

新型コロナウイルスの感染拡大防止に向け、我々ホンダもものづくりの力を活かして、社会のお役に立てるよう感染者の搬送用車両やフェイスシールド、人工呼吸器の部品の製造など、いまできる限りの対応を現在各地域で進めているところです。

さて、本日の決算説明会は、通常と異なりインターネット中継での開催とさせていただきました。新型コロナウイルス感染拡大の影響によって、ホンダも現在厳しい環境下にあり、このあとご説明する決算の内容も大変厳しいものになりました。

また、今期の見通しについても算定が困難であることから、本日は開示を見送らせていただくことにしました。今後、連結業績予想の算定が可能となった時点で開示をする予定です。

先行きが見通せない不透明な状況が続いていますが、昨年の事業方針説明会でお話した四輪を中心とした既存事業の盤石化に向けた取り組み、またホンダミーティングなどでご紹介したHonda eMaaSをはじめとする将来の更なる成長に向けた仕込みを進めております。

そしてこれらを実行するための新しい組織運営体制を、先月からスタートしています。しかし、今回の新型コロナウイルスが世界に与えた大きな影響は、今後我々の事業環境だけではなく、人々の価値観にも大きな変化を与えるに違いありません。

ホンダとしても現在展開しているさまざまな施策に加え、将来起こりうる変化にも対応できる新たな事業方針を定め、できるだけ早くみなさまに直接ご説明する場を設けたいと思います。

ホンダはこれまでも幾度となく大きな困難に直面してきましたが、そのたびに克服してきました。今回も厳しい状況にありますが、チームホンダ一丸となって必ずこの難局を乗り越えていきます。

そして一刻も早くこの厳しい環境が終息し、また業界全体で明るい話題を提供していけるよう取り組んでまいります。どうぞみなさまよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

主要な生産拠点の稼働状況

倉石誠司氏:本日ですが、まず主要な生産拠点の稼働状況について簡単にご説明したうえで、2019年度の実績をご説明いたします。

また、2020年度見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う影響を現時点において合理的に算定することが困難なことから、未定としています。

今後、連結業績予想の算定が可能となった時点で開示する予定です。それでは、ご説明いたします。

スライドは、主要な生産拠点の稼働状況です。新型コロナウイルス感染症の拡大による外出規制などに伴い、ご覧の国で生産を休止しています。

なお、米国では2020年5月11日から稼働を開始しています。中国では各地方政府のガイドラインなどにより、2020年2月の春節休暇以降生産休止としていましたが、すべての工場が2020年4月中に通常稼働となりました。

現在、生産休止している工場につきましては、感染拡大防止を念頭に従業員とその家族の安全、市場の状況、サプライチェーンの状況などを注視しながら、今後の操業を検討してまいります。

2019年度 Hondaグループ販売台数(12ヵ月間)

それでは2019年度決算についてご説明いたします。はじめに2019年度のHondaグループの販売台数につきましては、二輪事業は1,934万台、四輪事業は479万台、ライフクリエーション事業は570万1,000台となりました。

主要市場の状況 四輪事業①

続いて主要市場の状況について、お話いたします。まず日本では、全体市場は各社の新型車投入効果はあったものの、消費増税影響などにより前年度を下回りました。

ホンダは「N-BOX」などの好調な販売はあったものの、消費増税影響や新型「N-WGN」の部品供給制限影響などによりまして、前年度を下回りました。

なお、「N-BOX」シリーズは、2019年度新車販売台数第1位となり、ホンダにとって初となる国内販売台数3年連続ナンバーワンを獲得しました。

主要市場の状況 四輪事業②

米国では、全体市場は新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う影響により、前年度を下回りました。

ホンダは「Passport」の投入効果や2020年2月に単月販売記録を更新した「HR-V」の増加などはあったものの、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う影響により、ホンダの販売台数が多い西海岸や北東部の大都市圏を中心に市場が大きく落ち込んだことなどを受け、前年度を下回りました。

なお、ホンダは米国環境保護庁により、米国で最も平均燃費に優れた自動車メーカーとして認定されました。

主要市場の状況 四輪事業③

中国では、全体市場は市場の減速や新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う影響により、前年度を下回りました。

ホンダは「CR-V」や「Accord」などの増加や新型車「Envix」「Inspire」「Breeze」などの投入効果はあったものの、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う影響により、全体では前年度と同等の販売を維持しました。

東風ホンダは、新工場稼働の効果もあり、過去最高の販売台数を記録いたしました。

主要市場の状況 二輪事業

続いて、二輪事業です。最大市場のインドでは、景気停滞、失業率の悪化に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う影響などにより個人消費の低迷が続き、アジア全体市場として前年度を下回りました。

ホンダもベトナムやフィリピンでの増加はあったものの、インド市場の減速影響などを受け、前年度を下回りました。なお、ベトナムとフィリピンでは、過去最高の販売台数を記録しております。

2019年度 連結決算総括

2019年度の連結決算を総括すると、営業利益は6,336億円と前年度に比べ927億円の減益となりました。

為替影響、一過性影響、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う影響などを除くと、コストダウン効果や販売費および一般管理費の減少などにより、実質では前年度に比べ1,008億円の増益と試算されます。

販売台数と損益状況はご覧のとおりです。

配当

次に、配当金は2019年度の年間配当金を1株当たり112円とし、2019年度第4四半期末配当金は1株当たり28円としました。

また、2020年度の年間配当金の予想につきましては、現時点では業績見通しの合理的な算定が困難なため、未定とさせていただきます。

続きまして、財務管理担当専務取締役の竹内より決算の詳細をご説明いたします。

2019年度 第4四半期 連結決算総括

竹内弘平氏:まず2019年度第4四半期3ヶ月間の連結決算総括です。Hondaグループ販売台数は、新型コロナウイルス感染症の拡大などにより、二輪事業では、ベトナムなどでの増加はあったもののインド、インドネシア、タイなどで減少。四輪事業では、中国、米国、インドなどで減少しました。

次に損益の状況ですが、売上収益は金融サービス事業における増加などはあったものの、四輪事業における減少などにより3兆4,580億円。営業損失は、コストダウン効果や販売費および一般管理費の減少などはあったものの、売上変動および構成差に伴う利益減などにより56億円となりました。

2019年度 第4四半期 税引前利益増減要因

税引前利益の増減要因についてご説明いたします。2019年度第4四半期の税引前利益は37億円と、前年同期に比べ1,073億円の減益。

営業利益は、コストダウン効果や販売費および一般管理費の減少などはあったものの、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う影響などにより、前年同期に比べ479億円の減益となりました。

為替影響、一過性影響、新型コロナウイルス感染症の拡大影響を除くと、324億円のプラスと試算されます。

なお、一過性影響には四輪事業の生産体制変更影響などが含まれております。

また、新型コロナウイルス感染症の拡大影響には、販売台数の減少、販売奨励金の引当金の増加、金融事業におけるクレジット損失引当金の増加などを含めております。

事業別 売上収益/営業利益(率)の状況(3ヵ月間)

次に、事業別の業績についてご説明いたします。二輪事業の営業利益は、販売台数の減少などはあったものの、販売費および一般管理費の減少やコストダウン効果などにより634億円となりました。

四輪事業の営業損失は、米国での新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う影響による販売台数の減少や販売奨励金の引当金の増加などにより、756億円となりました。

金融サービス事業の営業利益は、オペレーティング・リース売上の増加などはあったものの、クレジット損失引当金の増加などにより229億円となりました。

ライフクリエーション事業およびその他の事業の営業損失は、米国やタイでの販売台数の減少などにより163億円となりました。なお、ライフクリエーション事業およびその他の事業に含まれる、航空機および航空機エンジンの営業損失は138億円となりました。

2019年度 決算概要

12ヶ月間累計の損益状況はご覧のとおりでございます。

2019年度 税引前利益増減要因

この増減要因をご説明いたしますと、税引前利益は7,899億円と前年度に比べ1,894億円の減益。

営業利益は6,336億円と、コストダウン効果などはあったものの新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う影響などにより、前年度に比べ927億円の減益となりました。

なお、為替影響、一過性影響、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う影響を除くと、1,008億円のプラスと試算されます。

2019年度 設備投資・減価償却費・研究開発支出

2019年度の設備投資・減価償却費・研究開発支出の実績については、ご覧のとおりでございます。

キャッシュ・フローの状況(金融事業を除く事業会社)

2019年度12ヶ月間の事業会社のフリーキャッシュ・フローは4,706億円のプラスとなり、現金および現金同等物の期末残高は2兆4,626億円となりました。また、ネットキャッシュは1兆9,306億円となり、これは月商の約1.9ヶ月相当と試算されます。

現時点では手元流動性に大きな懸念はございませんが、全世界横断で投資や経費などの現金支出を抑え適宜資金調達を行ない、今後も手元流動性を確保してまいります。

説明は以上でございます。ありがとうございました。

記事提供: