加えて、退職金の給付額は低下傾向にある点に注意が必要です。金融審議会市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」によると、退職給付額はピークだった1997年当時(大卒・大学院卒で3,000万円超)と比較して約3~4割も減少しているのです。
また同レポートによると、退職金については、約3割の人が「退職金を受け取るまで知らなかった」、約2割が「定年退職半年以内」と回答しています。約半数の人が事前に自身の退職金のことを把握できていないという結果になりました。退職金は社内規定に準じて支給されますので、退職金制度の条件や勤続年数等の要件、金額について、早めに確認しておくことが大切だといえるでしょう。
2019年に大きな話題となった「老後2,000万円不足問題」の際には、無職の高齢夫婦二人世帯の平均的な毎月の赤字額は約5万円という試算が出されました。つまり老後の20年間で不足する額は約1,300万円、30年間では約2,000万円にのぼります。
この金額を短期間で準備するのは容易ではありません。次の項目では、気が付いたときから取り掛かれる資金の準備についての詳報をご紹介しています。また、各自の年金額については、日本年金機構の「ねんきんネット」で確認できますので、年金の見込額を調べてみてはいかがでしょうか。