【正解の画像】星の角度がちがう。ちなみに国旗の縦と横の比率は日本と同じ2:3

小さな星の先端の1つが「大きな星の中心」を指している

 正解の旗(別画像参照)の、小さな4つの星の「角度」に注目を。正しい国旗では、小さな星の先端の1つが、いずれも大きな星の中心を指しています。この微妙な星の傾きにも、もちろん意味があります。

 赤地に5つの星を配した中国の国旗は「五星紅旗(ごせいこうき)」と呼ばれます。

 そもそも赤旗は、1789年に起こったフランス革命にその起源があるとされます。その後は労働組合や共産主義のシンボルとなり、20世紀には、中国のほかにも当時のソビエト連邦(ソ連)など多くの社会主義国の国旗に取り入れられました。また、赤は中国においては古くから「縁起の良い色」として好まれた色でもあります。

リオ五輪で中国が抗議した「まちがい」

 五星紅旗の左肩には、「希望」や「光」を表す黄色で、大きな星が1つ。そして、その右側には半円を描くように小さな星が4つ並んでいます。

 大きな星が表しているのは「中国共産党の指導力」とされ、4つの小さな星は「労働者」「農民」「知識階級」「愛国的資本家」から成る中国人民を意味しているといいます。

 2016年、ブラジルで開催されたリオデジャネイロ・オリンピック。その開会式やメダル授与で使われた中国国旗のデザインに、ある「まちがい」があることがわかり、中国国内ではネット世論を中心に激しい怒りの声が渦巻きました。そこで問題とされたのが、まさに記事のトップに載せた旗です。

 五星紅旗に込められた意味を頭に置いた上で、あらためてこの旗を見ると、小さな4つの星が、大きな1つの星に対してソッポを向いているように見えなくもありません。

 当然ながら、中国政府は大会組織委員会に抗議を申し入れ、組織委員会は謝罪した上で国旗を修正しました。

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旗から取り除かれた「鎌とハンマー」

 五星紅旗が誕生したのは、第2次世界大戦が終わって間もない1949年のことでした。この年、毛沢東が率いる中国共産党が、蒋介石が率いる中国国民党との内戦に勝利して、中華人民共和国が成立したのです。

 このとき、「新しい国」の象徴となる国旗が公募され、数多くの応募作品の中から選ばれたのが、経済学者である曾聯松(そう・れんしょう)のデザインでした。

曾聯松による提案旗のデザイン。大きな星の中に鎌とハンマーが描かれていた

 同氏のもともとの案(別画像参照)には、大きな星の中に、農民を意味する「鎌」と、工場労働者を意味する「ハンマー」が描かれていました。しかし、ソ連の国旗に似すぎていることから、この鎌とハンマーが取り除かれ、最終的に現在の国旗のデザインに落ち着いたとのことです。

 

この記事の出典:
苅安望[監修]『国旗のまちがいさがし

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