筆者が所属する「低所得層対象の小学校学習支援団体」がお手伝いする小学生は、90%が黒人です。この子達の多くは白人の友人はいないといいます。接点がありません。親にまともに面倒を見てもらえない子。親から叩かれる子。学校でしかまともな栄養のある食事がとれない子。この子達の家庭環境は理解出来ないほど複雑です。

もちろん、たちの悪い子もいますし、勉強なんて意味がないという捻くれた子もいます。筆者をアジア人とバカにする子もいます。正直、「どうにでもなれ」と大人げなく突き放してしまうこともあります。多くの恵まれた人々は、こういう子ども達がいるのは見聞したことがあるけれど、接点がないからどれだけ悲惨な環境かを知りません。

社会をコントロールするエリート層や企業は、差別社会を意図的に維持することで利得を得ているので、このような子供たちにバンドエイド的な支援をすることでごまかし、「本当の問題」には取り組みません。分断の壁をつくり、接点がない人々からは見えないようにしているのです。

筆者自身、中間層以上の黒人や他のマイノリティと友人でいることで、「マイノリティと共存は当たり前」と一部だけを見て偉そうなことをいっていました。

しかしこの子達と出会ったことで、「差別の深さ」と「いかに自分が無知だった」か気づきました。全然共存なんてしていません。ただ、自分の知らないその他大勢の低所得層のマイノリティの問題に「無関心」の偽善者でしかなかったのです。

今回の黒人差別抗議デモによって、すべての人が黒人差別だけではなく、互いにあらゆる差別への理解を深めようとする気持ちが強まったようです。その気持ちが一時的ではなく、いつまでも続くことを願います。

美紀 ブライト