日本触媒、通期は減収減益 貿易摩擦および高吸水性樹脂等の競争激化によるスプレッド縮小が影響

2020年5月12日に行なわれた、株式会社日本触媒2020年3月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社日本触媒 代表取締役社長 五嶋祐治朗 氏

1.中期経営計画「新生日本触媒2020NEXT」①

五嶋祐治朗氏:社長の五嶋です。よろしくお願いします。

まず、スライドの4ページをご覧ください。ここでは2017年度から4年間の中期経営計画「新生日本触媒2020 NEXT」の概要を示しています。今年度2020年度を計画最終年度としていますが、残念ながら、この数値目標の達成が非常に厳しい状況であることは否めない状況です。

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1.中期経営計画「新生日本触媒2020NEXT」②

次にスライドの5ページでは、経営計画の方針等を示しています。後ほど、スライド左下の重要課題に対する施策2項目について、その進捗を説明します。

2.2019年度 業績

2019年度業績について説明します。当初計画時はナフサの前提4万2,900円/kLにて、2018年度と比べ数量効果等で増収。営業利益は前期並みを予定していましたが、米中貿易摩擦などを背景とした需要の落ち込み、一部製品市況の低迷、そしてとくに第4四半期において、高吸水性樹脂等の競争激化によるスプレッド縮小などがあり、減収減益となりました。

一方、2月8日修正値と比較した場合には、売上収益は下振れしつつ、原料価格が想定より低かったことによるスプレッドの拡大や、販管費減などにより、全利益で上振れしました。

3.2020年度 業績予想及び配当予想

2020年度の個別業績予想は、新型コロナウイルス感染症により、生活必需品向けなど、一部製品で数量が比較的好調なものも出てきてはいますが、自動車向けや塗料向けが厳しく、全体としては業績予想の産出が非常に困難であるため、現時点では未定とさせていただき、可能となった段階で速やかに開示をします。

なお、現時点で2020年度業績に対する主なリスクファクターは、原料価格、数量、そして国内外製造拠点の稼働状況の3つと当社では考えています。

4.利益還元策

スライドの8ページに進みます。ここでは利益還元策について説明します。まず2019年度配当は、当初の予定どおり、前期より10円増配の通期1株当たり180円と、過去最高配当とします。2020年度配当は未定とさせていただき、業績予想の算出が可能になり次第公表します。ではこのあと、中期経営計画における重要課題に対する施策の進捗について説明します。

5.中期経営計画:重要課題に対する施策①-1

まずSAP事業の競争力強化について、アクリル酸とSAPの市場動向を説明します。アクリル酸については、世界需要約690万トン、足元の需要は弱いものの、中期的には年率3パーセントから5パーセント程度の成長を想定しており、現在の各社増設計画に照らし、いずれも需給バランスは改善していくと見ています。

SAPについては、世界需要約300万トン、ユーザー側、供給側ともに競争が激しくなっています。しかし足元のSAP需要は堅調に推移しており、各社増設計画が極端に少ないこともあって、中長期的には需給バランスは改善していく方向と見ています。このように、アクリル酸、SAP市場とも、中長期的には引き続き成長が見込まれると考えています。

5.中期経営計画:重要課題に対する施策①-2

次に、当社の取り組みについてスライドの10ページで説明します。当社グループの強みは、原料(アクリル酸)も生産する垂直統合の強み、そして有力顧客との強い関係にあります。この強みを活かし、抜本的なコスト削減策である「SAPサバイバルプロジェクト」を強力に進め、多様化が進むSAP性能ニーズへの対応を、例えば環境対応型SAPの開発等を通じて強化し、同時にSAP販売価格の適正化を着実に進めていきます。

また一方で、アクリル酸・SAPグローバル供給体制の強化を目指し、インドネシアにおいて、2021年度完工予定で、アクリル酸10万トン設備の建設を進めています。このような施策を打ちながら、当社としては今後もアクリル酸・SAPトータルで、SAP事業の競争力強化を推進していきます。

5.中期経営計画:重要課題に対する施策②-1

次のスライドの11ページからは、中期経営計画のもう1つの重要課題である、新規事業・新規製品の創出加速の進捗を説明します。

当社では、持続可能な開発目標SDGsで掲げられた目標や、ターゲットへの貢献を念頭に置き、事業の市場性、適社性、社会性の3点を踏まえた新規事業ターゲット、3分野8領域を独自に選定し、新規事業の創出に取り組んでいます。

5.中期経営計画:重要課題に対する施策②-2

まず、スライドの12ページは、エネルギー・資源事業分野における取り組みです。まず、当社として最も期待をしている新規製品は、モビリティ領域での「イオネル®(LiFSI)」です。「イオネル®(LiFSI)」は、現在でもさまざまな課題があるリチウムイオン電池において、広い温度範囲で電気性能の向上と、その耐久性に貢献します。

今後の需要の伸びに対応するため、段階的に能力を増強する必要があると考えており、2025年に100億円以上、2030年に数百億円以上の売上を見込んでいます。メチレンマロネート類は、次世代塗料原料として、北米にてセミコマーシャルプラントの建設検討を進めています。

また、エネルギー変換領域では、本年2月に相次いでリリースしたこれら3つのテーマに取り組んでおり、次世代エネルギーの実現に向け、さまざまな新しい部材開発を進めています。

さらに、水領域でもこのような検討を進めています。このエネルギー資源事業分野では、成長スピードの速いものが多く、ニーズの機を捉えながら集中的にリソースを投入し、果敢に挑戦していきたいと考えています。

5.中期経営計画:重要課題に対する施策②-3

スライドの13ページは、ライフサイエンス事業分野です。この事業分野の製品は、長期視点に立って、リソースをしっかりかけて準備しながら、じっくり進めていきたいと考えています。

化粧品領域では、現在化粧品素材事業の確立を目指し、昨年度から製品販売を開始しており、ここに示すカテゴリー別に展開を進めています。医薬品領域では、創薬支援事業の確立を目指し、ペプチド医薬、核酸医薬への参入を進めています。

まずは設備に関し、国内有数の規模を誇る中分子原薬合成施設を吹田に完工させました。今年度に商業運転を開始し、来年度の本格運用を予定しています。また、2017年に資本提携したレナセラピューティクスの子会社化、そして設備やM&Aに関するさらなる投資展開など、着実に準備を進めていく予定です。

5.中期経営計画:重要課題に対する施策②-4

情報ネットワーク事業分野の取り組みです。この事業領域は、あえて言えばシーズ型、ニッチ型というものであり、特長ある製品を生み出したいと考えています。以上、スライド4枚で、新規事業・新規製品の創出加速について具体的にお話ししました。

種まき仕込みはこのように着実に進んでおり、これらを今後一層加速させる予定です。

6.持続的成長に向けて

最後に、持続的成長に向けて取り組んでいる内容を示しました。当社CSR活動の推進は、ここに示すグループ企業理念「Techno Amenity」の実践そのものと考えており、投資家のみなさまに対しては、このような取り組みを進めています。

足元では、新型コロナウイルスが世界的脅威となっていますが、当社では社会に必要不可欠なエッセンシャルビジネスとしての使命感を強く持ち、グループ全従業員の感染防止対策を徹底し、ここに示す点を中心に対策を進めています。資料の説明は以上です。

冒頭の繰り返しになりますが、今年度が計画最終年度である中期経営計画の数値目標達成は、非常に厳しい状況であることは否めません。

しかし、当社のありたい姿の実現に対し、これまで述べてきたような当社の目指す方向性に間違いはないと確信しています。これをより一層加速するためにも、三洋化成工業との統合を、なんとしてもやり抜く意志で着実に進めていきます。

以上で私からの説明を終わります。ご清聴ありがとうございました。

記事提供:ログミーファイナンス

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