2020年5月15日に行われた、株式会社T&Dホールディングス2020年3月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社T&Dホールディングス 副社長執行役員 森中哉也 氏

新型コロナウイルス感染症対応

森中哉也氏:T&Dホールディングスの森中でございます。本日はお忙しいところ電話会議にご参加いただき誠にありがとうございます。それではご説明させていただきます。資料の3ページをご覧ください。

まずはじめに、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになった方々に謹んでお悔やみを申し上げますと同時に、この新型コロナウイルスにより影響を受けられたみなさまに、心よりお見舞いを申し上げます。

私たちT&D保険グループは、この新型コロナウイルス感染症への対応として、さまざまな取り組みを行なっています。このスライドにその取り組みをまとめております。

T&D保険グループが行っている生命保険をはじめとする金融事業は国民生活の安定・向上、経済発展および持続可能な社会の実現に密接な関わりを持つ社会的使命を要する事業です。

いまだコロナウイルスの収束が見通せない状況ですが、私たちT&D保険グループは、ここに掲げた取り組みのみならず、今後も生命保険グループとして社会的要請にお答えできるよう積極的に取り組んで参ります。

決算のポイント

5ページをご覧ください。まず2020年3月期決算をご説明します。ポイントは記載のとおりです。利益市場の経常利益・当期純利益は通期業績予想を上回りました。

新契約業績は、太陽生命は前期から減少しました。大同生命も7月上旬までの一部商品販売停止の影響もあり前期から減少しましたが、おおむね年度見通しどおりです。

T&Dフィナンシャル生命は、外貨連動型一時払終身保険の販売好調により、前期から大幅に増加しました。

新契約価値は、主に販売量の減少により前期から減少しました。Group MCEVは新契約価値の積み上げの一方で内外株価の下落により前期末から減少しました。2020年3月期の1株当たり年間配当金は、前期から2円増配の44円を予定しています。

連結主要収支①

次ページをご覧ください。連結主要収支の状況はグラフのとおりです。各指標とも通期業績予想を上回りました。

連結主要収支②

生保3社の主要収支の状況は次の7ページに掲載していますので、のちほどご覧ください。

連結損益計算書(要約)

それでは8ページの連結主要収支をご説明します。8ページは連結損益計算書を記載しています。経常利益は1,254億円となり、前期から215億円の減益となりました。これは主に有価証券売却損益の減少や、有価証券評価損の増加によります。当期純利益は671億円となり、57億円の減益となりましたが、640億円とした通期業績予想を上回りました。

連結貸借対照表(要約)

次のページは連結貸借対照表を記載していますので、のちほどご覧ください。

基礎利益・順ざや

次に10ページで、基礎利益および順ざやについてご説明します。基礎利益は1,662億円となり、前期から165億円増加しました。順ざや額は607億円となり、前期から64億円増加しました。これは主に利息および配当金と収入が増加したこと、および予定利息負担が減少したことによります。

スライド右側の太陽生命・大同生命の基礎利益の増減要因についてご説明します。太陽生命では、順ざやが増加したこと等により前期から25億円増加しました。大同生命では介護定期保険の販売停止に伴う標準責任準備金、積み増し負担の減少を主因に、前期から176億円増加しました。

MCEV計算結果

次ページをご覧ください。このページではEVについてご説明します。グループMCEVは新契約価値を積み上げたものの、内外株価の下落等により、前期末より170億円減少し、2兆5,881億円となりました。新契約価値は1,158億円となりました。年度見通しの1,350億円に対しては、約85パーセントの水準です。これは主に金利低下の影響によるものです。

ROEVおよび、コアROEVは、それぞれ0.9パーセント、5.4パーセントとなりました。また新契約マージンは、商品改定等により前期とほぼ横ばいの8.1パーセントとなりました。

EV変動要因

12ページをご覧ください。EVの変動要因です。MCEVは新契約価値の積み上げの一方で、一番右の経済変動および、経済的前提変更の影響における内外株価の下落等により、前年度末より減少しました。続きましてESRの状況についてご説明をします。

ESRの状況

13ページへお進みください。2020年3月末のESRは前期末から9ポイント上昇し、全四半期末と同水準の198パーセントとなりました。前期末からの上昇は主に1月に調達した劣後債700億円のサープラスへの参入等によります。前四半期末から、劣後債700億円のサープラスへの参入の一方、在外株価の下落等がマイナスに働いた結果同水準となりました。

健全性指標

ソルベンシー・マージン比率および、実質純資産については14ページに記載していますので、のちほどご覧ください。

中計(2019-2021年度)のマーケティング戦略|太陽生命

15ページをお進みください。このページは中核生保3社が中期経営計画で注力している各社の契約業績資料およびEVの状況についてご説明をします。15ページは太陽生命の中期経営計画におけるマーケティング戦略です。

契約業績|太陽生命

16ページをご覧ください。太陽生命の契約業績は表のとおりです。保障性新契約、年換算保険料は157億円となり、前期から9.0パーセント減少しました。これは2018年4月の就業不能収入保障保険の商品改定による販売増が一巡したことや、新商品、改定商品の販売時期が想定より後ズレしたためです。

第4四半期については、新型コロナウイルス感染拡大による営業活動への影響がありましたが、昨年11月に発売した入院一時金保険等が順調だったことをうけ、おおむね想定どおりの結果となりました。

契約業績|大同生命

続いて大同生命について説明します。次ページをご覧ください。18ページでございます。大同生命の契約業績は次のとおりです。新契約高は税務取扱い見直しに伴う一部商品の販売停止の影響で前期から56.1パーセント減少し、3兆7,244億円となりました。

前期比ではマイナスであるものの、昨年4月に発売した介護リリーフαや7月に発売した新商品を含む死亡保障・就業の保証商品の販売が堅調であったことから、通期見通しと同程度の着地です。

解約失効率は6.31パーセントと前期から1.39ポイント低下しました。保有契約高は、新契約高の減少もあり、前期末から1,988億円減少し、46兆9,472億円となりました。なお、就業不能介護保障商品の保有契約は前期末から増加し、堅調に推移しています。

契約業績|T&Dフィナンシャル生命

続いて、T&Dフィナンシャル生命について説明します。20ページをご覧ください。新契約年換算保険料は264億円となり、前期から149億円プラス130.1パーセントの増加となりました。

昨年7月に改定商品、「生涯プレミアムワールド5」を投入した結果、2020年3月期の新契約年換算保険料は大きく進展しました。

各社別MCEV

21ページをご覧ください。生命保険3社のMCEVおよび新契約価値です。まず、太陽生命について説明します。新契約価値は新契約の減少や、国内金利の低下等を要因に、前期末より減少し、493億円となりました。MCEVは新契約価値を積み上げたものの、内外株価下落の影響等により前期末なみの8,958億円となりました。

次に、大同生命です。新契約価値は一部商品の販売停止が7月まで続いた影響により、前期末から297億円減少し、724億円となりました。MCEVは長期金利低下の影響があったものの、新契約価値の積み上げ等により、前期末から179億円増加し、1兆6,260億円となりました。

T&Dフィナンシャル生命の新契約価値はマイナス59億円となりました。これは主に米国社債を組み入れている生涯プレミアムワールドの販売好調によるものです。

なお、今回より、T&Dフィナンシャル生命の新契約価値の計算方法を変更しております。四半期ごとに新契約価値を計算し、第1四半期から第4四半期の合計を年度の新契約価値として掲載しております。

資産運用状況等

続いて22ページ目をご覧ください。太陽生命および大同生命の資産運用状況です。

株主還元

続きまして、25ページをご覧ください。株主還元でございます。当社では総還元成功で毎年40パーセント以上の株主還元を実施していく方針のなか、安定的・継続的な現金配当を目指しております。

第4四半期以降、新型コロナウイルス感染症の拡大による国内外の経済に対する影響は広範囲におよんでおりますが、そのような環境下においても当社は2020年3月期の当期純利益は期初予想640億円を上回る671億円を計上し、3月末のESRは198パーセントと健全な使用水準を維持しています。

また、従業員の安全確保や、雇用維持、中小企業等の保険契約者への対応についても問題がないことから、2020年3月期の1株あたりの期末配当金は当初予想のとおり22円、年間配当金は44円を予定しています。

2021年3月期の年間配当予想も同水準の44円としています。自己株式の取得については、現在取り組んでいる従業員や、保険契約者への対応についても十分に配慮するとともに、新型コロナウイルス感染症の当社保険業績、収支等への影響をあらためて精査・確認をしたうえで判断して参ります。

2021年3月期 通期業績予想

次ページへお進みください。T&Dホールディングス連結の2021年3月期の通期業績予想です。新型コロナウイルス感染症の影響による営業活動への影響を中心として、不透明要素が強くなっております。営業活動の前提については、上半期は顧客訪問・自粛等の影響が強く受けると想定しました。

そのような想定の下、経常収益については減収を見込んでいます。また、経常利益・当期純利益についても、資産運用収益の減少を見込むことから減益を見込んでいます。なお、2021年3月期より株主還元対象利益として従来の実質利益に変えて、グループ修正利益を導入します。

修正利益は当期純利益に負債性内部留保の超過繰入額を加算し、MVA損益を調整して算出します。また2021年3月期の業績予想には、フォーティテュード社の株式取得による収益等は反映しておりません。フォーティテュード社の取引が完了次第速やかに忠誠見通しを開示します。

新型コロナウイルス感染症の影響

次のページにお進みください。27ページは足元、新型コロナウイルスの感染症の影響についてまとめていますので、ご確認ください。

(参考)通期業績予想・補足

28ページをご覧ください。参考として、生保3社の通期業績見通しと、通期業績予想における金融環境の前提を掲載しておりますが、のちほどご確認ください。なお、生保3社の新契約業績については、現時点では新型コロナ感染症の影響を正規に見積もることが困難であることから、具体的な数値は掲載しておりませんが、3社合計で見て、およそ2020年3月期業績の8割程度を想定しています。

最後になりますが、2020年3月期決算につきましては、新契約価値は目標をやや下回ったものの、当期純利益は通期予想を達成し、おおむね想定どおりの決算となりました。一方2021年3月期については、みなさまご承知のとおり、新型コロナウイルス感染症により経済活動や社会生活など、多岐にわたり大きな影響を受けています。

生命保険事業を中核とする当社グループは保険金・給付金のお支払いをはじめ、お客さまにとって欠かすことのできない金融サービスを安定してご提供できる体制を継続するとともに、金融市場の先行き不透明ななかであっても、しっかりリスク管理を行なったうえで、各種戦略をしっかりと展開して参ります。以上をもちまして2020年3月期決算の説明を終わります。ありがとうございました。

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