レビュー:米S&P500が市場最高を更新、全面高になった1週間
先週(7月11日-7月15日)の主要国の株式市場は全面高になりました。
株価の世界的上昇、長期金利の上昇、円安、金価格の下落などが同時に観察され、リスクテイク・マインドが戻ってきていることを示しています。市場別に見ると、S&P500は史上最高値を更新しました。TOPIX、上海総合指数も英EU離脱ショックに伴う株価下落分を取り戻し、欧州株価も相当程度回復しています。
6月の雇用統計を受けて米国の利上げ懸念が後退していることがベースにありますが、この株価の上昇のきっかけは日本の参院選後の金融財政政策及び株価対策への期待ではないでしょうか。ヘリコプターマネー政策の導入が噂されるなど、行き詰まり感の出ていた日銀の金融緩和策を補充する政策がささやかれ、英EU離脱ショックが薄れつつある中でリスクオン回帰を後押ししました。
さらに、個別の材料が出た銘柄の急騰がセンチメントを明るくしたと思います。ポケモンGOを材料に急騰した任天堂(7974)や好調な滑り出しとなったLINE(3938)のグローバルIPO、あるいは決算後急騰したファーストリテイリング(9983)がその典型例でした。しかし、こうした目覚ましい個別株の背後では、ドイツ銀行始めとする金融株の上昇が目にとまります。リスクオフの巻き戻し局面と捉えるべきでしょう。
先週の主要市場の動き
年初来の主要市場の動き
アウトルック:企業業績と金融政策の両睨みの局面に
今週(7月18日-7月22日)は米国企業の3月期決算が本格化する中、ECB理事会、週末のG20財務相・中央銀行総裁会議、翌週の日米の金融政策決定会合というイベントを迎え、足場固めの週になりそうです。
先週末までに英EU離脱ショックはひとまず消化できたと言えそうです。しかし、株価がさらに上昇するためには、業績改善期待の高まりと、日本の経済対策が失望に終わらないことが必要です。今週決算を迎える米国主要企業の動向が第一関門になるでしょう。
一方、先週末に起きたテロやクーデターなど治安問題が各地で影を落としています。ニューヨーク市場でLINE株が下落しており、先週急騰した銘柄が荒い値動きになる可能性も覚悟しておいたほうがよさそうです。中国の構造調整と金融システムの安定化策も注目しておきたいところです。
LIMO編集部