レオパレス21、施工不備等の影響で通期の純損失はリーマンショック時を上回る802億円に

2020年6月5日に行なわれた、株式会社レオパレス21 2020年3月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社レオパレス21 代表取締役社長 宮尾文也 氏\n株式会社レオパレス21 執行役員 新井清 氏

1–3:当社施工物件の改修について

宮尾文也氏:株式会社レオパレス21 代表取締役社長の宮尾でございます。本来であれば直接みなさまの前でお話をすべきところですが、新型コロナウイルスの影響により説明会の開催が難しく、音声でのご説明となりますことをお詫び申し上げます。

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2020年3月期の通期決算は2期連続の大幅な赤字となり、ステークホルダーの皆さまに大変ご迷惑をおかけしました。謹んでお詫び申し上げます。決算および計画についての具体的な数値は、のちほど執行役員の新井よりご説明しますが、私からは現在取り組んでいます施工不備問題の進捗、および今後の改修方針、再発防止策、決算と同時に本日公表しました抜本的な事業戦略再構築、今期以降の業績見通しを中心にお話しします。

2018年4月に判明した施工不備問題について、2019年10月末で全棟調査をほぼ完了し、その後は改修工事と居室の募集再開に取り組んできました。改修工事の進捗について、5月末時点で明らかな不備である1万3,615棟のうち、着手棟数は7,071棟、全室の改修を終えた物件は1,008棟となります。新型コロナウイルスの感染拡大による工事の遅れもありましたが、特定行政庁との調整や施工管理の人員不足等の要因もあり、本来設定したスケジュールにて進捗することができませんでした。

当社が施工した物件において、ご迷惑をおかけしていることを皆さまに深くお詫び申し上げます。施工不備の対応は最優先課題として、人員、コストとも最大限の経営資源の投下をしてきました。しかし、施工不備問題の対応を確実に遂行するためには業績の回復が不可欠であることから、2020年7月以降、一旦、施工規模・施工体制を縮小せざるを得ない状況となりました。

改修のスケジュールに関してはあらためて発表しますが、施工不備問題の解決を当社の重要問題と位置づける方針に変わりはありません。今後は、体制を整えながら着実に問題解決に向けて取り組みを進めることで信頼回復を図っていきます。

1–4–1:再発防止策の施策と進捗状況

次に再発防止策の進捗についてご報告します。当社では施工不備の発生を受け、コンプライアンス体制の見直しと再発防止の取り組みを進めてきました。顧客本位の企業風土を醸成し、コンプライアンスファーストの方針が定着するよう、さまざまな取り組みを進めています。組織の再編、各種の研修やマニュアルの整備など、昨年8月に発表した50項目の施策のうち、4項目において実施に至っています。今後も常に施策や課題をブラッシュアップして遂行することで、施工不備の問題を忘れることなく、自ら体質改善していける組織づくりを進めていきます。

また、2018年5月29日に6シリーズの小屋裏界壁の施工不備を公表し、2019年5月29日に施工不備に関する原因、および再発防止策を公表したため、毎年5月29日を変革の日と定めました。この問題を忘れず、一連の問題を風化させることのないよう、自らの姿を振り返る日として、レオパレス21グループの役員、従業員、一人ひとりの意識づけを行なっていきます。

3–1:中長期戦略

このたび、2020年3月期の決算とともに、抜本的な事業戦略再構築を踏まえた事業計画を発表しました。大きな方針としては、事業基盤の再構築(選択と集中)、構造改革、社会的信頼の回復の3つを掲げています。

事業基盤の再構築(選択と集中)については、これまでの事業多角化を志向した戦略から、あらためて賃貸事業を中核事業とし、その収益力を強化します。構造改革については抜本的な事業戦略の見直しを踏まえ、ノンコア・不採算事業の撤退・譲渡および希望退職の募集を柱に、企業価値の向上に向けた抜本的な体質改善を実施します。 そして、構造改革および賃貸事業の収益力強化による業績回復に伴う施工不備体制の確実な遂行により、ステークホルダーの信頼の回復を目指します。

3–3:短期/中長期のロードマップ

今期は新型コロナウイルス感染拡大の影響などにより、引き続き赤字決算の計画となりますが、来期以降は法人営業の強化や、ITを活用した営業効率の向上等により、賃貸事業の入居率を改善して黒字化させ、施工不備問題発覚以前の利益水準を目標に回復させていきます。

抜本的な事業戦略の再構築に基づいた改革を推し進め、業績回復ならびに株主さま、ステークホルダーの皆さまからの信頼回復を目指していきます。以上簡単ではありますが、私からのご説明を終了します。

1–1:コア事業のビジネスモデル

新井清氏:執行役員 経営企画部長の新井でございます。本日は、決算短信、当社施工不備物件の改修工事遅延、および今後の改修防止に関するご報告、抜本的な事業戦略再構築の検討結果を踏まえた構造改革の実施、そしてプレゼンテーション資料としての2020年3月期決算概要、抜本的な事業戦略再構築の検討結果を踏まえた事業計画を、重要な内容として開示もしくはニュースリリースしています。

プレゼンテーション資料2020年3月期決算概要が全体を包含した内容となっていますので、こちらに基づいてご説明します。まず4ページは、私どものビジネスモデルとなっています。スライド左下のところで、ビジネスモデルとして地主さま、オーナーさまからアパートの建築を請負してその物件を借上し、入居者さまに貸すのが私どものビジネスモデルです。地主さま、オーナーさまとつくってきた57万戸の管理戸数は日本一と認識していますが、この社会インフラをしっかりと守り、維持、発展させていくことが我々の社会的な意義であると考えています。

1–2–2:レオパレス21の業績推移ハイライト

6ページ目にありますように、2019年3月期は純損失686億円、2020年3月期は802億円という多額の赤字を計上しました。この金額に関しては、2010年3月期と2011年3月期のリーマンショック時の赤字を上回る金額となっています。

1–3 :当社施工物件の改修について

7ページ目は、施工不備に関する物件の改修状況になっています。優先調査対象物件の改修着手率は83.4パーセント、完了率は13.1パーセントとなっています。改修進捗状況についても本日開示していますので、そちらをご参照ください。

また、先ほど宮尾からの説明にもありましたが、十分な施工体制を維持できなかったことにより改修工事が遅延しています。施工不備対応遂行には業績回復が不可欠であるため、希望退職を含む人的・物的資源の再配置を実施し、2020年7月以降、施工規模・施工体制を一旦縮小しています。明らかな不備の改修工事完了時期、および軽微な不備のみの物件の改修計画の報告時期については、今後の業績改善の目途が立った時点で改修計画の見直しを行ない、あらためて報告します。詳細については、本日リリースしています、当社施工不備物件の改修工事遅延、および今後の改修方針に関するご報告をご参照ください。

1–4–1:再発防止策の施策と進捗状況

8ページからは、再発防止策の施策と進捗状況になります。スライドの真ん中から下に記載していますように、企業風土の抜本的改革、コンプライアンス・リスク管理体制の再構築、建築請負事業体制の見直しの3つの方針を掲げています。具体的な内容としては、発表した50項目のうち44項目、88パーセントが実施に至っています。

1–4–2:再発防止策 実施項目①

企業風土の抜本的改革については、「経営陣への目安箱」の設置、「地域スモール会議」の実施、「継続的なコンプライアンス研修」や「社長からのコンプライアンスに関する発信」「人事評価制度の改定」など、企業風土の変革についての種々の施策を実施しています。「顧客本意の企業風土の醸成」については、新たな取り組みを入れ、さらなる強化を図っていきます。

1–4–3:再発防止策 実施項目②

コンプライアンス・リスク管理体制の再構築については、2019年4月に本部組織としてコンプライアンス統括本部を設置しました。2019年10月、2020年1月には潜在的なリスクを洗い出すため、外部講師による研修を実施しました。さらに「コンプライアンス統括部ポスト」設置によって、より多くの潜在リスクを吸い上げる仕組みの構築を行ないました。2021年3月期は、「コンプライアンス担当者制度」の改定を予定しています。各取り組みに関して、内容のブラッシュアップを図りながら継続していきます。

1–4–4:再発防止策 実施項目③

建築請負事業体制の見直しについては、「商品の法適合性を含む詳細検討を行なう体制を再構築」し、「立会い確認による監理工程追加」など、商品の完成までの工程の見直しや、チェック管理体制の強化等を中心に着手し、実施しています。2021年3月期は、さらなる体制の強化を中心にブラッシュアップを図っていきます。

2–1:決算ハイライト

13ページは決算のハイライトになります。施工不備に起因した事業収益の悪化と、施工不備に係る特別損失243億円、減損損失76億円、および繰延税金資産の取り崩しによる法人税等調整額214億円により、多額の純損失を計上し、2期連続の大幅赤字決算となりました。

施工不備にかかる特別損失に関しては、第3四半期までに125億円を計上しており、第4四半期に118億円を追加計上しています。118億円のうち113億円は引当金の繰り入れであり、その内容は単価上昇によるものです。減損損失76億円に関しては、ホテルリゾート事業や国際事業の譲渡撤退方針に基づき、減損損失を計上しました。

2–2:セグメント別業績

14ページは、各セグメントごとの状況になっています。主力の賃貸事業に関しては、優先調査対象物件の募集保留により入居率が低迷し、前期比で減収減益となりました。開発事業は、アパート建築を巡る外的環境の下で建築請負受注が低迷したことに加え、施工不備問題を背景に新規受注を停止していることから、前期比で減収減益となっています。

シルバー事業は既存施設の稼働率上昇に伴い、前期比で増収増益となりました。ホテルリゾート・その他事業はホテル札幌の通年稼動もあり、前期比で増収増益となっています。

2–3–2:入居率推移

16ページは入居率の推移となっています。入居率は2018年4月以降下落していましたが、改修および募集再開を進めたことにより、2020年1月末に80パーセント台に回復しました。2020年3月末は85パーセントを計画していましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響に伴う契約キャンセル等もあり、83.07パーセントと未達に終わりました。

2–3–3:施工不備発覚後における物件類型別入居率推移

17ページは物件類型別の入居率推移となっています。緑色の優先調査対象物件以外の物件は、91パーセント超の高稼働を維持しています。水色の優先調査対象物件に関しては、繁忙期に向けて募集再開を進めたことにより、入居率が向上をしています。

2–5:販売管理費削減

20ページは販管費の削減の状況を示しています。2019年3月期から2020年3月期の削減実績は69億円で、一番大きいのが人件費の45億円です。その内容は枠内に記載しています。

2–6–1:財務(バランスシート)

21ページはバランスシートとなります。現金預金に関しては、2019年3月末の845億円に対し、2020年3月末は605億円であり、240億円減少しました。第3四半期の現預金は793億円でしたので、第3四半期対比の減少額は188億円となっています。また、当期損失802億円により、純資産は15億円、自己資本比率は0.7パーセントに低下しました。

2–6–2:財務(キャッシュフロー)

22ページは先ほどお伝えした、現預金の増減に関わるキャッシュフローの状況となっています。営業損失364億円および、施工不備支出188億円を主因に、営業キャッシュフローは516億円のマイナスとなりました。国内3ホテルおよび賃貸用住宅の譲渡305億円や、子会社ライフリビングの譲渡等により、投資キャッシュフローは395億円のプラスになりましたが、営業キャッシュフローと財務キャッシュフローのマイナスを賄えず、キャッシュフロー合計では241億円のマイナスとなりました。

3–1:中長期戦略

24ページ以降は、抜本的な事業戦略再構築を踏まえた計画、2021年3月期の業績予想、および2022年3月期、2023年3月期の計画(参考値)となります。先ほどの宮尾からの説明にもありましたが、中長期戦略としては、事業基盤の再構築(選択と集中)、構造改革、社会的信頼の回復の3点を掲げています。

3–2:構造改革(抜本的な事業戦略再構築)

25ページは抜本的な事業戦略再構築の内容となっています。コア事業である賃貸事業は強化する方針とし、入居率改善に向けて法人営業の人員を増強します。加えて、ITを積極活用し、オペレーションを効率化していきます。開発事業に関しては、施工不備対応に注力すべく、一旦縮小とします。

シルバー事業に関しては、戦略的事業として位置づけ、維持と継続、そして賃貸事業とのシナジー強化を図っていきます。ノンコア事業であるホテルリゾート事業、国際事業に関しては、撤退・譲渡の方針とします。ホテル名古屋は売却予定です。グアム事業、国際事業に関しては撤退の方針です。

全社の施策としては、約1,000名の希望退職の募集を実施しています。構造改革の内容および希望退職の内容に関しては、本日リリースした、抜本的な事業戦略再構築の検討結果を踏まえた構造改革の実施についてをご参照ください。

3–3:短期/中長期のロードマップ

26ページは、短期と中長期のロードマップとなります。全社方針としては、構造改革の内容に加え、2023年3月期以降は賃貸事業における収益力効果とさらなる挑戦として位置づけます。賃貸事業においては、ITを駆使したオペレーション効率化やエリア戦略、新しいターゲット層(外国籍、シニア)向け施策を強化していきます。また、上記に向け、開発事業やシルバー事業との連携を強化していきます。

3–4:計画

27ページが事業計画となります。2021年3月期は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響などにより、営業利益98億円の赤字、純利益は80億円の赤字となります。2022年3月期は、賃貸事業における法人営業の強化、ITを活用した営業効率の向上等により入居率を改善し、営業利益は113億円、純利益は99億円を予定しています。2023年3月期には、施工不備問題発覚以前の利益水準へ回復し、営業利益235億円、純利益191億円の計画としています。

スライドの下の脚注に記載していますが、2021年3月期から2023年3月期の繰延税金資産算出における課税所得見積期間は、保守的に1年として計上しています。

3–5:構造改革の全体像(損益改善施策)

28ページが構造改革の全体像(損益改善施策)の内容となります。2021年3月期に関しては、新型コロナウイルスの影響もあり、成行では大幅な営業損失の見込みとなっています。ノンコア事業の撤退、人員適正化などの構造改革により、赤字幅を縮小します。構造改革の効果と営業力強化、営業効率向上による賃貸事業の入居率を改善させることで、2022年3月期はしっかりとした黒字回復、2023年3月期は従前の利益水準への回復を図っていきます。

3–6:セグメント別計画

29ページは、セグメント別の計画となります。組織改編に伴い、賃貸事業と開発事業を統合し、(新)賃貸事業とします。賃貸事業の収益は記載のとおり、着実に収益力を伸ばします。シルバー事業は、2021年3月期に新型コロナウイルス感染拡大の影響により減益の計画となりますが、2022年3月期以降は売上総利益を着実に改善していきます。

3–7–3:入居率計画

32ページは、賃貸事業の入居率計画となります。新型コロナウイルスの影響により、2020年4月から6月は入居率が悪化する見込みとなっています。本日発表しました5月末の入居率は79.91パーセントであり、計画を若干上回る水準となっています。今後は賃貸事業の営業体制の強化、改修・募集再開等により、入居率を徐々に引き上げ、2022年3月期の平均で86.87パーセント、2023年3月期の平均では89.67パーセントを目指していきます。

3–7–4:賃貸施策(法人契約、外国籍顧客契約)

33ページは賃貸事業の施策となります。法人営業施策と外国籍顧客営業施策については記載のとおりです。

3–8:販売管理費削減

34ページは販管費削減の状況です。2021年3月期においては前期対比91億円の削減となります。人件費の削減が75億円ともっとも大きく、内容としては希望退職による削減の38億円などになります。

3–9:人員の状況、生産性(1人当たり売上高)推移

35ページは人員の状況と生産性の推移となります。グラフにお示ししているとおり、賃貸事業を中心に人員の適正化やITの活用推進により、1人あたりの売上高を伸ばしていきます。

3–10:CF計画

36ページはキャッシュフローの計画となります。2021年3月期は本業の赤字や施工不備対応により、170億円のマイナスとなります。今年度のキャッシュのボトムとなりますが、一定のバッファーはあると考えています。2022年3月期および2023年3月期も施工不備対応による支出は続きますが、業績の回復、固定資産の売却等により、2022年3月期はプラスマイナス0億円、2023年3月期は90億円のプラスを計画しています。

最後になりますが、構造改革、そして賃貸事業の収益力強化を進め、業績回復と信頼回復に努めていきます。ご清聴ありがとうございました。

記事提供:ログミーファイナンス

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