シリーズでお伝えしている「注目小売店月次実績」。今回は牛丼チェーン店「吉野家」他を運営する吉野家HD(9861)の、2020年5月の月次動向及び過去実績、また過去1年の株価動向について振り返ってみましょう。
直近の月次実績
2020年6月に更新された吉野家HDの2020年5月既存店売上高は、対前年同月比92.7%のマイナス成長。内訳は客数90.8%、客単価102.1%であり、客単価はプラスながら客数のマイナスをカバーすることはできませんでした。
また全店売上高も94.0%で、既存店同様のマイナス成長となりました。
今期の既存店売上高の振り返り
では、同社のここまでの既存店売上高はどう推移してきたのでしょうか(同社は2月決算)。
前期の既存店売上高は特殊要因のあった2月を除き、11カ月全ての月でプラス成長が続きました。その後、3月以降は新型コロナウイルス問題の本格化を受け、3月98.2%、4月96.0%、5月92.7%となり徐々にマイナス幅が拡大。しかし対前年同月比90%台を維持しています。
一方で全店売上高は前期全ての月でプラス成長を達成。3月は100.0%とマイナス転落を防ぎましたが、4月97.6%、5月94.0%と既存店同様に、90%台ながらマイナス成長が続いています。
過去1年の株価動向
最後に同社の株価動向を見ていきましょう。
同社の株価は2018年から1,600円台で底値を形成し、2019年5月から上昇を開始しています。そして2020年1月に3,050円の高値に到達しました。
しかし3,050円が天井となり、2月後半以降の株式市場全体の下落もあり、3月には安値1,709円まで下落しました。その後はWボトムパターンを形成して、4月の安値1,829円を付けた後に反発しており、現在は2,400-2,500円付近での取引が続いています。
新型コロナウイルス問題の影響が本格化した結果、3月以降マイナス成長が続いています。しかし既存店・全店ともに、売上高は対前年同月比90%台を維持しています。全国的に緊急事態宣言が解除された6月にはプラス成長に転じるか、注目されます。
参考資料:吉野家月次推移(2020年度)
LIMO編集部