ポケモンGOで任天堂株もGO!

参議院選挙後の景気対策期待などから、日本の株式市場はサマーラリーの様相になりました。LINEのIPOにも期待が高まる中、市場で最も大きな話題をさらったのは任天堂(7974)の株価急騰です。前週末からわずか2営業日で時価総額が約7,900億円も増加しています(自己株式を除く)。

この金額の大きさを分かりやすく言えば、わずか数日で富士通、キッコーマン、ローソン、TDKのいずれか1社の時価総額に匹敵する価値が増えた、ということになります。

きっかけは、米国などでサービスインしたポケモンGOというスマホゲームで、いわゆる拡張現実の技術を使って屋外で遊ぶ仕組みです。基本は無料ですが、アイテム課金がなされるため継続的に収入をもたらす可能性を秘めています。GPS情報をマネタイズしたり、IoTで多くのデバイスを連動させ、さらにゲームを楽しくすることもできそうです。

開発元・発売元はグーグルの社内スタートアップから始まったNiantic, Inc.です。任天堂としては、スマホを活用してゲーム資産を有効活用できる初めての成功モデルになりそうです。ポケモン自体の展開もありますが、他のキャラクターのスマホゲームも登場してくると予想するべきでしょう。

短期急騰のチャートは「三空」?

では、チャートはどうなっているか見てみましょう。2016年7月13日までの日足を取り上げます。

 

3日急騰して7月13日に上昇が一服しています。上昇3日目に下ひげが出ているので異論があるかもしれませんが、上昇した3日の日足の箱部分を見ると、それぞれ前日に対して大きなギャップができています。これを「空(くう)」といい、それが3つ並ぶと「三空」といいます。

物の本には、上昇時の三空の格言が生きるのは「全部陽線(その日の初値より終値が高いこと)」、そして三空に売り向かうのは「相場の上昇局面で三空が現れた時」というものがあるようです。

このあたりのことは何が正解なのか分かりませんが、市場参加者でチャートが好きな人なら「三空を見たら、逆のポジションを取る」と考える方が多いと思います。

実際、7月13日は前日比下落で終わりました。前日の始値近辺で寄り付くと、上値と下値を試した後、当日始値とほぼ同水準で引けています。強弱感が対立し、拮抗して終わったといったところで、さすがに上昇が一服したと言えるでしょう。

短期急騰後の押し目買いはすべきか?

今後調整が続くのか、それが価格の調整なのか、価格ではなく値動きの乏しい日が続く日柄調整なのかも、正直なところ分かりません。今後はユーザー数の伸び率がどの程度のペースになるのかに一喜一憂することになりそうですが、どこかでユーザー数の伸びは鈍化しますので、それを株価が嫌気して調整することも十分に想定されます。

しかし、今回のような急騰局面で一番注目しなければならないのは、出来高の急増です。任天堂のスマホゲームとして初めてのヒット作になりそうですので、これが将来どれだけの収益インパクトを生むのか、現時点では情報に制約もあり、アナリストも精度の高い予想を立てるのが難しいと思われます。

そして、こういう時こそ株価は人気化しやすく、「自分も一口乗っておきたい」という群集心理が生まれやすいというのが経験則です。この数日間の出来高の増加は、幅広い投資家の認識が変わりつつあると解釈することもできるでしょう。

こういう場合、必ず見ておくべきは長期のチャートです。過去の高値に匹敵するインパクトが期待できるのか、次の10年チャートをご覧いただき一度お考えになってみてください。

 

任天堂の株価が今後上がるのか下がるのか、はっきりしたことは申し上げられません。しかし、大変興味深い株価の動きであることは間違いありません。サマーラリーの本命になるのか、大いに注目していきたいと思います。

 

LIMO編集部