中国の圧力に揺れる香港、「国家安全法」で再び治安不安定化の恐れ

国家安全法は、5月22日から北京で始まった全国人民代表大会(全人代)で議論されているが、28日にも可決される見込み。中国の王毅外相は国家安全法を早く成立させると強調し、香港の林鄭月娥行政長官も同法を全面的に支持する意思を表明している。

昨年、逃亡犯条例改正案を巡って、香港のセントラルやコーズウェイベイ、チムサーチョイやモンコックなどの繁華街では、警官隊とデモ隊の衝突が次々に発生し、付近の店は閉店を余儀なくされ、その一部は破壊された。

そして、現地の日系企業のオフィスや駐在員の生活にも大きな影響を与え、操業の停止や帰国を余儀なくされた。

抗議デモが行われている最中、筆者は香港を訪れたが、警官隊とデモ隊の衝突に遭遇しないよう、事前にデモの開催場所や日時をチェックし、遠回りをしてホテルに戻ることもあった。

それでも、抗議デモに参加する若者の数が多いことから、参加帰りの若者と地下鉄で遭遇し、若者たちが地下鉄内で反中国のスローガンを掲げて叫び出す様子を鮮明に覚えている。

香港返還記念日に向け抗議デモが激化する可能性

逃亡犯条例改正案に反対する抗議デモが激化してから、6月9日でちょうど1年となる。同改正案は昨年10月に撤回される形になったが、香港市民の不満は依然として何も改善されていない。

また、7月1日の香港返還記念日に合わせて200万人規模のデモを呼びかける動きもあり、国家安全法と合わせて抗議デモや暴動がいっそう激しくなる恐れがある。

再び、あのような状態が訪れるのであろうか。今後の香港情勢を注視する必要がある。

和田 大樹

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清和大学講師/ オオコシセキュリティコンサルタンツ アドバイザー、岐阜女子大学特別研究員、日本安全保障・危機管理学会主任研究員を兼務。
専門分野は国際政治学、安全保障論、国際テロリズム論。日本安全保障・危機管理学会奨励賞を受賞(2014年5月)、著書に『テロ、誘拐、脅迫 海外リスクの実態と対策』(同文館2015年7月)、『「技術」が変える戦争と平和』(芙蓉書房2018年9月)など。研究プロフィールはこちら