今年、2020年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のニュースで世界的に一色に塗られるような状況にあります。これによって改めて感染症に紐づけてあらゆる物事を考える必要性が高まっています。そこで今回は「人類の歴史≒感染症との闘い」との観点から、これと投資の関係について考えていきます。
「人類の歴史≒感染症との闘い」
人類の歴史、それもこれまでにいくつもあった人類が危機に陥る局面を思い浮かべる時、何を連想されるでしょうか。戦争や災害など様々ありますが、「大勢の人が亡くなる事象」という共通点を見出すのは容易なことでしょう。一説によると、人類の累計人口は約1,080億人だそうです。2019年の人口は約77億人ですから、単純に考えると地球上ではこれまで約1,003億人が亡くなっていることになります。
第一次世界大戦では約900万人〜1,500万人、第二次世界大戦では約5,000万人〜8,000万人の方がなくなったとされています。約1,003億人全員の死因を特定することは困難ですが、戦死者数の増加は近年の兵器の増強に伴うことを考えると、戦争だけでなく自然災害や飢饉、感染症や疫病により亡くなった方が相当割合となることは想像に難くありません。
人類の歴史は戦争と紐づけられることが多いですが、人類の歴史は感染症との闘いの歴史でもあります。有史以前から人類は幾度となく感染症と闘ってきました。現代に生きる私たち同様、今から約5,000年以上前に栄えたエジプト文明やメソポタミア文明に生きた人にとっても疫病や感染症は代表的な災厄でした。中国においても甲骨文字の時代から記録が残っており、日本においても日本書紀に疫病の大流行について記されています。
感染症との闘い~感染症対策としての「インフラ整備」~
それでは、私たち人類の祖先は、どのようにして繰り返し発生する感染症と闘ってきたのでしょうか。農耕社会が発展し、人々が集まって都市を形成し生活を開始すると、必ずごみや糞尿の処理問題が発生します。この問題に上手く対応できない場合、ペスト、コレラ、結核などの病気が蔓延します。近代以前は特に人手が労働力や戦力に直結していたので、死を招く感染症の流行は文明や国家の衰退の要因にもなりました。
感染症が蔓延するような不潔な環境は悪臭等も伴い住空間として適さないことから、上下水道の整備や死体置き場の設置といった「公衆衛生」に分類される対策は古来より手探りで進んでいました。しかし、産業革命により人々の住空間は一変します。都市化と資本家と労働者の間の格差が激化し、著しく不衛生な環境で暮らす人々が増加したのです。不衛生な環境で暮らす人が多ければ、感染症の広がりも爆発的になります。