子どもは、大人が言っても聞かないときがあって当然。親の持ち物ではないので、自分の思うように動かなくて当然だ、とAさんは考えているそうです。しかし夫は、自分が“今!”と思うときに子どもが動いてくれないと、すぐに「早くやれよ!」や「さっさとしろ!」という言葉が出るのだとか。

「一緒に片づけて“あげる”からこっちこい!」などという言葉も出るらしく、Aさんは「子どもたちは何も頼んでないじゃない」と内心腹を立てているそう。こんな言葉をかけられている子どもたちに悪影響が出はしないか…。また、ご主人の言い方に対していちいちイライラしてしまう自分に対しても、このままでいいのかと考えているようです。

意識せずに“命令口調”を使っている?

Aさんの話を聞いて、筆者(30代前半)は自分が子どもだった頃のことを思い返してみました。昭和から平成に元号が変わったばかりのころで、まだまだ“昭和的”な考えの人が多かった時代。

親や学校の先生から「〇〇しなさい!」と言われることは、日常的なことでした。また、中学校に上がって部活動が始まると、顧問の先生から命令口調の言葉が投げかけられることも当たり前だったと記憶しています。

当時の親や先生などの大人たちに、現代ほど「子どもへの“正しい(?)”言葉のかけ方」が求められていたかどうかはわかりませんが、“地震雷火事親父”という言葉があった昭和生まれの人が、子どもを教育する立場にあった時代です。大人の男性は怖くて当たり前という考えが常識だったのでしょう。

しかし今は、そのような時代とは考え方が変わっています。現代では、子どもの考えをまず肯定してあげるような声かけが大切だという考えが主流。「〇〇しろ!」ではなく、「○○しよう!」や「〇〇したらどうかな」などという言い方に変えていこうと唱える育児系メディアが多く存在しています。

この考えに対しては、「そんなことをしているから、子どもがちゃんと育たない!」というような意見があるのも事実です。しかし小さい子どもを持つ親としては、できるだけ親子双方が穏やかに、かつ社会に出ても他人に従うばかりでなく、しっかり自分の意見を言えるような人間に育ってほしいと願うものではないでしょうか。