シリーズでお伝えしている「注目小売店月次実績」。今回は牛丼チェーン店「吉野家」他を運営する吉野家HD(9861)の、2020年4月の月次動向及び過去実績、また過去1年の株価動向について振り返ってみましょう。
直近の月次実績
2020年5月に更新された吉野家HDの2020年4月既存店売上高は、対前年同月比96.0%でマイナス成長となりました。内訳は客数99.0%、客単価97.0%です。
全店売上高も97.6%でマイナス成長。客数は100.6%とプラスを維持したものの、客単価97.0%のマイナスをカバーできなかった形です。
今期の既存店売上高の振り返り
では、同社のここまでの既存店売上高はどう推移してきたのでしょうか(同社は2月決算)。
前期の既存店売上高は特殊要因のあった2月を除き、11カ月全ての月でプラス成長が続きました。しかし、3月の売上高は新型コロナウイルス問題の本格化を受け、対前年同期比98.2%とマイナス成長に。4月も96.0%と引き続きマイナス成長となりましたが、90%台を維持しています。
一方で全店売上高は前期全ての月でプラス成長を達成。3月も100.0%でしたが、4月は97.6%とマイナスに転じました。しかし客数は100.6%で、緊急事態宣言で飲食店が打撃を受ける中、健闘している状態です。
過去1年の株価動向
最後に同社の株価動向を見ていきましょう。
同社の株価は2018年から1,600円台で底値を形成し、2019年5月から上昇を開始しています。そして2020年1月に3,050円の高値に到達しました。
しかし3,050円が天井となり、2月後半以降の株式市場全体の下落もあって3月には1,700円台まで下落しました。その後はWボトムパターンを形成し、4月の安値1,829円を付けた後の反発により、現在は2,200円付近での取引が続いています。
新型コロナの影響が本格化した3月・4月はマイナス成長が続きました。しかし既存店及び全店ともに、売上高は対前年同月比90%台を維持しています。外出自粛の緩和が見込まれる5月から、プラス成長に転じることができるのかが注目されます。
参考資料:吉野家月次推移(2020年度)
LIMO編集部