投資型クラウドファンディングで、どこの誰に投融資するのか?

読者の皆様の中には、インターネットを通じた投融資(投資型クラウドファンディング)に抵抗のある方も多いかもしれません。一般的には、投資や融資は証券会社の窓口を通じて行うもの、という感覚なのではないでしょうか。

しかし、そんな時代は少しずつですが、確実に変わってきているようです。金融以外の産業、たとえば広告業や出版業、小売業はデジタル化が進み、取引コストが大幅に下がることによって、需要と供給をよりきめ細やかに合致させることが可能になってきています。

この流れが金融産業に当てはまらない、と考える方が難しいでしょう。読まなくなった書籍をAmazonに出品する感覚で、余っている資金を貸し出す時代がそこまで来ているのかもしれません。

では、投資型クラウドファンディングで、どこに、また、誰に投融資をするのでしょうか?

インターネットでの投融資のハードルが下がったとしても、貸出先や投資先がなければ意味がありません。先進諸国が超低金利時代に入る中、自然と目が向くのが途上国、新興国市場です。これらの国々が高い金利水準を保っていることは周知の事実ですが、魅力はそれだけではありません。

最大の魅力は、途上国、新興国市場においては人口に占める若者の割合が圧倒的に高く、彼等がこれから成長の原動力となってくることです。そして、彼等は「デジタルネイティブ」と言われるように、パソコンや携帯電話を通じたコミュニケーションや取引に慣れ親しんでいる、という点です。

成長余力が大きい途上国、新興国の若者

たとえば、BRICSの一角であるインドでは、0歳から14歳までの人口が全人口の29%、巨大な人口を抱えるインドネシアでは28%、成長著しいフィリピンは32%、アフリカにおける成長の牽引役を担う南アフリカは30%、といったように、途上国、新興国市場における人口の多くが若者です(日本は13%)。

そして、以前ご紹介した携帯電話の浸透率の調査からも分かるように(参考:『携帯電話会社が新興国経済発展の主役?』)、彼等の多くがインターネットに慣れ親しんでいます。この、途上国新興国の若者市場には資金需要があり、インターネットでの資金供給が容易だと考えられるのです。

また、途上国におけるお金の流れはオフラインからオンラインへと急速にシフトしています。例えばケニアではM-PESAという電子マネーに成人人口の93%が登録し、そのうち60%がアクティブユーザーとして送金や決済をオンライン(キャッシュレス)で行っています。

また、これらの国において、若者への従来型の金融サービスのアクセスが発達していない点も投資型クラウドファンディングを後押しします。もともと途上国、新興国においては先進国のように金融インフラが整っていない上に、取引履歴がなく、信用程度の査定のしようがない若者への投融資に従来の金融機関は尻込みするからです。

課題は信用程度の審査ですが、これも、ビッグデータやフェイスブックによる簡易審査の精度が高まるにつれ、解決の糸口が見えてきています。

このように、途上国、新興国の成長余力がある若者向けにインターネットを通じて資金を提供するというのは、非常に理にかなった投資戦略なのではないでしょうか。

出典:世界銀行(人口統計、2014年)、CGAP(Bitcoin vs. Electronic Money、2014年

 

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